ヘタリア大帝国
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12部分:TURN1 殿軍その十二
TURN1 殿軍その十二
「お願いします」
「また俺の出番なんだな」
「貴方のその爆走を頼りにさせてもらいます」
「わかったぜ。じゃあ一気にいくな」
「お願いします。まずは私達が安全な場所に撤退しないことにはです」
「あいつも撤退できねえか」
「だからです」
それ故にだとだ。田中に言う日本だった。
「お願いします」
「わかったぜ。じゃあやらせてもらうな」
「はい」
こうしてだ。日本は艦艇をまとめてだ。三個艦隊の残存兵力の撤退に入った。その指揮に田中があたった。
田中は一気にだ。全軍に命じた。
「下がるぜ野郎共!」
こう叫び艦隊を動かしてだ。まずは一旦下がった。そしてまた艦隊を動かしてだ。残存艦隊を安全な場所にまで下がらせたのだった。
その頃東郷が率いる第四艦隊は敵に総攻撃を浴びせその動きを止めていた。そしてだった。
友軍が安全な場所まで下がったのを見てだ。東郷は満足した顔で言った。
「流石だな。田中は攻める場合だけじゃない」
「撤退戦にもですね」
「撤退はどれだけ速く逃げられるかだ」
それが大事だとだ。東郷は秋山に話す。
「しかもあいつはあれで艦隊の唐突が上手い」
「一隻の落伍艦も出しませんでしたね」
「何よりだ。他の奴じゃああはいかない」
「あそこまでの高速移動の撤退の後では」
「これで安心して俺達もな」
「ええ、下がれますね」
「さて、今の総攻撃で敵の数は多少は減らせた」
見れば今の総攻撃でだ。多少なりとも減っていた。
「あともう少し攻撃を仕掛けてだ」
「敵の数を減らしたうえで」
「俺達も下がるぞ」
東郷は秋山に言う。
「それでいいな」
「もう一度総攻撃を浴びせてからですか」
「そうだ。今度はありったけのビームとミサイル、それにだ」
「鉄鋼弾をですね」
「放ってそのうえで撤退する」
一度総攻撃を仕掛けて退けた中帝国軍を見ながら言っていくのだった。
「そうすれば満州に攻め入ることもないからな」
「敗れてもそれでもですね」
「敵にダメージは与えておく」
それは絶対だというのだ。
「そのうえで下がるからな」
「わかりました。それでは」
「さて、それにしてもな」
態勢を整えてまた来る中帝国軍を見ながらだ。東郷は言う。
「樋口はな」
「あの男ですか」
「逃げた様だな」
「はい、司令の乗艦を撃沈してすぐにです」
秋山は嫌悪に満ちた顔で東郷に話す。
「中帝国軍に走りました」
「そうか。艦艇ごと寝返ったか」
「艦艇の乗組員もかなり逃げた様です」
「当然だな。訳なくして裏切りに従う人間もいない」
「裏切り者は殆どあの男だけの様ですが」
それでもだというのだ。秋山は言うのだった。
「ですが今回の戦いはです」
「ああ、あいつの裏切りのせいでな」
「敗れ。そして」
「大損害を被った」
「艦隊の再建が大変です」
秋山はこのことも心配していた。
「只でさえ我が軍は今艦艇が足りないというのに」
「そうだな。それに新しい海軍長官もな」
司令は海軍長官でもあったのだ。連合艦隊司令長官だけでなく。
「これから色々と大変だな」
「全くです」
こんな話をしながらだ。彼等は再び来た中帝国軍に一斉射撃を浴びせてだ。ダメージをさらに与え怯ませたうえで撤退した。満州星域会戦は満州星域への侵入は防いだもののだ。それでも多くの損害を出して日本帝国軍は敗れた。日本帝国軍にとっては苦い敗北だった。
TURN1 完
2012・2・8
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