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レーヴァティン

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第二十七話 騎士の参入その十二

「報告する」
「軍隊のお仕事だけれど」
「騎士団の騎士も同じです」
「本当にそうなんだね」
「そうです、騎士は言うなら士官で」
「ああ、見張りの責任者なんだ」
 源三もここで納得した。
「その塔の」
「そのうえで任にあたるものです」
「そういうものだね」
「はい、では」
「今から会って」
「出来ればです」
「彼にも一緒に来てもらうってことだね」
 城壁の上、道になっているそこを四人で歩きつつだ、彼がいる塔を目指していた。その塔は街の城壁の東門の近くにあり。
 その塔のところでだ、塔の入り口にいた兵士にだ。 
 騎士に会いたいと言うとだ、まずは兵士にこう言われた。
「またおかしなことを言うな」
「やっぱりそう言うか」
「確かにあの方は外から来られているが」
 こう正に言うのだった。
「しかしな」
「いきなり出て来た俺達にか」
「会う筈もないだろう」
「そこを何とかだよ」
「お会いしたいのか」
「そうなんだよ」
 実際にとだ、正は兵士に話した。彼の後ろには久志達がいる。
「俺達にも事情があってな」
「どうした事情なんだ」
「話すと長くなるがいいか?」
「長い話か」
「それでもいいなら話すけれどな」
「そうしてもらおうか」
 これが兵士の返事だった。
「その話を聞いて俺が納得したらな」
「騎士さんに会わせてくれるか」
「ああ、俺も兵隊だが騎士団にいるんだ」
 兵士は正にはっきりとした声で答えた。
「それならな」
「納得したならだな」
「紹介するさ」
「いえ」
 だがここでだった。
 一人の黒髪をオールバックにした若い騎士が来た、身体は銀色の甲冑で多い白いマントも羽織っている。
 面長の顔は鼻が高く彫刻の様に整い細目の光は強い、その彼が兵士に言った。
「拙者のことですな」
「あっ、これは」
「それならば拙者が」
 こう言うのだった。
「お話を聞きましょう」
「宜しいですか」
「はい」
 こう答えたのだった。
「拙者のことならば」
「それでは」
「ああ、あんただな」
 久志はその彼を見て言った。
「外の世界から来たな」
「そう言う貴殿達も」
「俺達もだよ」
 その通りだとだ、久志は騎士に笑顔で答えた。
「顔見たらわかるだろ」
「はい、この世界の人種構成は」
 そこからだ、騎士は話した。
「白人でござるが」
「そうなんだよな」
「しかしです」
「俺達はな」
「アジア系でござる」
「あんたもな」
「この島でアジア系といえば」
 それこそというのだ。
「東の島か」
「俺達みたいな、な」
「外の世界から見た」
「そうだからな」
「わかり申した」
 騎士は微笑んで答えた。 
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