ヘタリア大帝国
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106部分:TURN10 アイドルレーティアその十
TURN10 アイドルレーティアその十
ギリシアも艦隊を用意して彼等を迎え撃つ。しかしだ。
己の国のその艦隊を見てだ。こう言ったのだった。
「これだけか」
「はい、三個艦隊です」
「これが今の我々の戦力です」
「敵は六個艦隊」
その数はだ。ギリシアは既に把握していた。
「そして物凄く強い船ばかり」
「ポッポーランドは一瞬にして敗れました」
「まさに完敗でした」
「それなら俺も」
どうかとだ。ギリシアは彼の旗艦にいる軍人達に話した。
「危ない。それなら」
「降伏ですか?」
「そうされますか?」
「うん。戦っても負けるのなら」
ぽつぽつとした感じでだ。ギリシアは軍人達に話していく。
「そうしよう」
「わかりました。それでは」
「仕方ありませんね」
「ドクツ軍に使者を出す」
ギリシアはこう言った。
「そして降伏する」
こうしてだった。ギリシアは戦闘に入る前に降伏したのだった。
東欧はポッポーランド戦だけで終わった。そうしてだった。
レーティアはグレシアと共にだ。ルーマニアやブルガリア、そしてギリシアも回った。その中でだ。
レーティアは浮かない顔でだ。こうグレシアに言ったのである。
「しかしだ」
「またステージ衣装の話?」
「そうだ。今度はあの格好か」
「日本帝国風にね」
「着物だったな、あの変わった服は」
「下のあれは袴よ」
「上が白、下が赤だが」
「向こうじゃ巫女の格好なのよ」
グレシアはにこにことしてレーティアに話す。
「いいでしょ」
「よくない」
憮然とした顔になってだ。レーティアはグレシアに言い返した。
「あんな格好の何処がいいのだ」
「人気あるのよ。ドクツでもね」
「そうなのか?」
「楚々とした中にも可愛さがあるっていうことでね」
「動きにくそうだな。あの袴というのは」
「いえ、それが結構動きやすいらしいのよ」
「そうなのか?」
そう聞いてもだ。レーティアは信じられなかった。
それでだ。首を捻ってまたグレシアに言った。
「軍服の方が遥かに動きやすそうだが」
「はい、そこで軍服を比べないの」
「軍服は別だというのだな」
「そうよ。とにかく今度の巫女ルックはね」
「何故そうしたのだ?」
「同盟国への配慮よ」
それによるというのだ。
「日本帝国のね」
「その日本か」
「そう。日本との同盟を祝福するって意味もあるのよ」
「それでなのか」
「他にもイタリンのものも用意してるわよ」
「イタリン?ローマ帝国になるのか?」
「いえ、今度は男装よ」
そちらになるというのだ。イタリンの場合はだ。
「ロミオになってもらうわ」
「今度はロミオか」
「ロミオとジュリエットのね」
「何故私がロミオなのだ」
「男装萌えって人もいるのよ」
だからだというのだ。
「それでその格好にしたのよ」
「巫女に男装か」
「かなり不満そうね」
「その通りだ。何故御前のステージ衣装はいつもそうなんだ」
「アイドルのステージ衣装は奇抜さだけでなく萌えも大事なのよ」
「わからないな。服なぞ着られればいいだろう」
レーティアの本音が出た。ここで。
「軍服やジャージでだ」
「ジャージって」
「ジャージはいい。動きやすいうえに洗濯も楽だ」
「だから。ジャージは駄目よ」
「普段着としていいだろう」
「それで演説とかステージに出るつもりなの?」
グレシアは呆れた顔でレーティアに返した。
「全く。そんなのだからあの時もね」
「御前しか気付かなかったというんだな」
「そうよ。女の子は服も大事なのよ」
グレシアもグレシアでその持論を述べる。
「何度も言ってるでしょ。服のことは私に任せてね」
「そうすれば上手くいくというのだな」
「レーティアのことなら何でもわかってるわ」
グレシアはにこりとしてそのレーティアに話した。
「だから任せて。貴女は最高のアイドルよ」
「そして総統か」
「そう。そしって私はそのアイドルをね」
「プロデュースするというのだな」
「その通り。任せてね」
こう話してだ。レーティアはグレシアと共にツアーを続けるのだった。
そしてそのうえで東欧の国民の心も掴んだ。今ドクツはまさに飛ぶ鳥を落とす勢いだった。
TURN10 完
2012・3・12
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