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魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者

作者:niko_25p
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第三十九話 機動六課のある休日 2

アルトに見送られて六課を出発したアスカは、リニアレールでサードアヴェニューまできていた。

そこでアスカは一人の少女と出会う。



魔法少女リリカルなのはStrikerS 前衛の守護者、始まります。





アスカside

一悶着あったけど、オレは何とか出かける事ができた。

アルトさんには迷惑かけっぱなしだ。今度、なにか奢らないとな。

「さて、後はバスで地下高速道路のインターまでいけば……ん?」

バス停まで歩いていたオレは、妙な物、具体的には大きな黒いバックがウロウロしているのを目にした。

見ると、ちょっと背の高い女の子が重そうなゴルフバックの2倍はありそうな荷物を背負ってメモ用紙を手にして右往左往している。

長い栗毛色の髪を黄色いリボンで後ろでまとめている女の子が、眉を八の時にしてメモ用紙とにらめっこしていた。

「どうみても迷ってるよなぁ」

《そうですね》

オレの呟きにラピが同意する。

「んじゃあ、しょうがねぇか」

道に迷ってるんなら、助けるのが人の道、なんてね。

オレはその女の子に近づいて声を賭けた。

「なあ、あんた。道に迷ってるのか?」

普通に声を掛けたつもりだったけど、その女の子はビクッと身体を震わせて驚いた目でオレを見て、キョロキョロと辺りを見てからまたオレを見た。

「うん……あんたに声を掛けたんだけど……」

なんか異常に警戒されてっぽい。

オレ、童顔だと思ってたけど、もしかしたら悪人面なのかな……

ヘコむわ~

「え……と、あ、あの……」

女の子が、もの凄く挙動不審になる。

よく見ると、いや、よく見なくてもオレより背が高い……羨ましいな、チクショウ!

いや、そうでなくて、人見知りが激しそうな子だな。田舎から出てきたばっかりなのかな?

まあ、とにかくこのままではいられない。

「それ、地図かい?見せてみな」

オレは女の子が手にしている紙を指さす。

女の子は一瞬考える素振りをした後、オズオズとした感じで紙を渡してくれた。

「どれ……なんだこりゃ?」

受け取った紙を見て、オレは思わず呟いてしまった。

その紙は、地図なんて代物じゃなかった。

いや、一応地図なのか?

一本の線がグニグニと折れ曲がって書かれていて、最後に”ここよ~ん”とゴールらしき物があるけど……

「あ、あの……」

オレの反応を見た女の子が不安そうな顔をしている。

マズイ……今更わかりませんなんて言えない……

「ちょ、ちょっと待ってくれ。こりゃ難航しそうだ」

声を掛けた手前、無理ですなんて絶対に言えない。

何とかしなくては……この地図?サードアベニュー付近の物か?

「ちょっと移動しよう。この先の公園に、確か周辺の地図があった筈だから」

オレは戸惑っている女の子を公園まで引っ張って行く。

なぜなら、公園には大きな地図がモニュメントのように掲示されているからだ。

「えーと、この線はこの道……いや、それだと前の線が……だとするとこの線は……あれ?この道がこの線…じゃない」

大きな地図とメモを見比べるけど……

下手なパズルより全然難しいぞ、このメモ!書いたヤツは相当性格悪いな!

オレが、あーでもないこーでもないと地図を見比べていると、女の子は心配そうに見つめてくる。かわいいじゃない……ゲフン!

背丈はあるけど、大人しそうな印象だな。何て言うか、大きい小動物みたいな?放っておけないと言うか……

地図を調べながらも、オレは女の子をジックリと観察した。

べ、別にイヤラシイ意味でじゃないんだからね!

……でも、胸もデカいし、くびれも中々………ゲフンゲフンゲフン!

いかんいかん、そんなつもりで声を掛けたんじゃないんだから、しっかりせな!

それにしても、女の子の背負った大きな荷物が気になるな。

結構重そうだけど、ケロッとしている所を見ると、軽いのか?

人見知りしそうな子だから、下手に聞いて警戒されても厄介だ。

まあ、とにかく目的地の見当をつけないと。

「何だ?この地図、サードアヴェニュー周辺じゃないのか?」

この地図、どう見てもサードアヴェニューにしては無理があるような気がする。

……この紙切れが地図と呼べるんならね。

「あの……分からないんだったら、もういいよ。君も用事があるんだろう?」

遠慮がちに女の子が言う。気を使ったつもりが使われた……

「んな事ないよ!大丈夫、絶対に分かるから!」

こうなりゃ意地だ。絶対に見つけてやる。と言う事で……

『ラピ、広域地図とメモを比べてくれ。それに近い場所がある筈だ』

こっそりとラピの力に頼るオレ。

『了解しました。サードアヴェニューを中心に、海岸線周辺部までの地図と比較します。しばらくお待ちください』

うむ、コッソリ念話で返すとは中々できたデバイスだ。

「もうちょっと待っててくれな?あ……」

振り返った時に、視界に赤い車が入ってきた。移動販売車だな。

どうやらアイスを売ってるらしい。

「ちょっとここで待っててくれ」

オレは女の子をそこに残して、車に走って行った。

「すんませーん!やってますか?」

まだ準備中のようだったけど、中にいるおっちゃんに聞いてみた。

「いらっしゃい、ちょうどこれからさ。何にしますか?」

小太りのおっちゃんが、愛嬌のある良い笑顔で聞いてきた。

何にって言われてもなぁ……

「オレ、アイスの事よく分からないから、一番人気のやつで」

正直に言うしかない。

「あいよ。恋人にかい?」

からかうように言いながら、おっちゃんはいくつかのトッピングをして、コーンに入れたアイスを渡してくれた。

「ちげーよ。道に迷っていた女の子がいたから、一緒に迷ってんだよ」

「わっはっはっ!そりゃごうちそうさま」

アイスを受け取って、金を払う。相変わらず高いな!アイスってのは!

この高級品を落とさないように注意しながら女の子の所に戻る。

「もうちょっと時間がかかりそうだからさ、これでも食べて待ってて」

オレはそう言って、女の子にアイスを渡した。

「え?」

なんか驚かれたけど、オレはそのまま地図に目を戻す。

「この地図……もしかして廃棄都市の方か?」

廃棄都市だとすると、駅からリニアレールに乗って終点までだけど……

ん?

女の子が不思議そうに、オレとアイスを見比べているけど、何で?

「……早く食べないと溶けるぞ」

アイスは見ていても減るんだから、早く食べなよ。

「え?あ、うん」

女の子は恐る恐る口をつけて……

「!!」

驚いたように目を大きく見開いて、今度は夢中になって食べ始めた。

まるで、初めてアイスを食べたみたいな感じだな。

歳はオレとそう変わらないだろう……身長はこの子の方が高いけど。

ちょっとコンプレックスに落ちいってら、ラピが検索結果を伝えてきた。

『マスター、廃棄都市に同じ地形があります。その場所は、一応立ち入り許可区域になってます』

『廃棄都市か。この子、何でそんな場所に行かなきゃいけないんだろうな?詳しい場所を教えてくれ』

廃棄都市付近じゃないかとは思ったけど、そのものだったとはね。

大きな荷物……人気のない廃棄都市……何か引っかかる。良くない事が起きそうな予感と言うか……

オレが女の子に目を向けると……まだアイスを食べていた。

美味しそうにアイスを食べるその顔は、無邪気な子供のようにも見える。

考え過ぎか?

悪い方へと考えてしまう頭を、ブルブルと振る。

どうかしている。こんな子が一人で何か出来る訳ないだろう。

「場所が分かったよ。これ、廃棄都市だ。サードアヴェニューじゃない」

そう言ったら、アイスを食べていた女の子が慌てて顔を上げた。

口の周りが汚れてるよ……

「アイス食べ終わってからでいいから……」

見かけの割に幼い仕草をする女の子に、オレは苦笑した。





outside

アスカは少女をリニアレールの駅まで送って行った。

「二番線のレールウェイの終点を降りて、駅を背にして真っ直ぐ行けば廃棄都市だから。立ち入り禁止区域もあるから、気をつけてな」

「うん、いろいろ助けてくれてありがとう」

少女は、最初に会った時には見せなかった笑顔でアスカに礼を言う。

「大した事じゃないよ。あ、その地図書いたヤツに言っておけよな?もっとちゃんとした地図を書けって」

文句を付け加えるのを忘れないアスカ。

少女はクスリと笑った。

「私はディエチ。君の名前は?」

少女、ディエチが右手を出してきた。

「オレはアスカだ。よろしくな」

特に意識せず、アスカはディエチの手を握る。

(ん?)

手を握った瞬間、アスカは違和感を覚えた。

「アスカはこれからどこに行くの?」

手を離したディエチが尋ねてくる。

「オレは、これから交通管理局の地下高速道路管理センターに行くんだ。知り合いがいてな」

アスカは違和感を感じながらも、それを表情に出さないように努めた。

変に勘ぐられるのを恐れたのだ。

「地下……そう。今日はそこから動かない方がいいかもね。それじゃ!」

ディエチはそう言って、駅の改札を通った。

「え?どういう……」

アスカが聞き返した時には、ディエチは既に人混みの中へと消えていた。

「……どういう事だよ?」

アスカは暫く首を捻っていたが、約束の時間も押している事もあり、急ぎ足で地下高速道路インター行きのバス停に向かった。





アスカside

まあ、色々あったけど、オレは無事に地下高速管理センターにたどり着いた。

懐かしい顔が出迎えてくれる。

「まったく、中々こねぇから何かあったのかと思えば、一緒に迷子になってりゃ世話ねぇだろ」

久々に会っていきなりそんな事を言われる。まあ、悪気があって言ってるわけではない事は分かってる。

「迷子にはなってねぇだろ。ちょっと地図が独特過ぎたんだよ」

そう言い返したが、オレの顔は笑ってた。

久しぶりに会う昔の仲間だ。色々積もる話もある。

「まあ、とにかく入れよ。こっちは勤務中だから酒とはいかねぇが、コーヒーは飲むだろ?」

連れられるままに中に入って行ったけど……通されたのはモニターがいっぱい並んでいる監視ルームだ。

「良いのかよ?同じ管理局員とは言え、オレは部外者なんだぞ?」

いわば地下高速管理の心臓部にいる訳で、六課で言えば指令室みたいな所だ。当然、部外者は立ち入り禁止なんだけど……

「俺が許可する。監視って言ったってほとんど自動だし、デバイスに反応するからな。事故った時が出番さ」

心配すんなとデュークが笑う。コイツ、元々大ざっぱなヤツだからな。

「まあ、それなら遠慮はしねぇけどよ」

ここの班長様が言うんだから大丈夫だろ。オレは近くにあったイスに座る。

「ところで聞かせろよ!機動六課は美人ぞろいって聞くからな!取り次いでくれた女の子も可愛かったじゃん!誰か狙いをつけてるのか?!」

「早速女の話ってのもどうかと思うぞ?嫁さんに怒られてもしらねぇぞ」

男集まればこんなもんだ。

まあ、六課では話せないような事も、男同士なら色々話せるって事で。

最近、品の良い話しかしてなかったからなー!ちょっと吐き出すぞ!





outside

「はぁー。何だか本当、ノンビリだね」

「うん」

キャロとエリオが、先ほどまでアスカが地図と格闘していた公園のベンチに座っていた。

入れ違いのニアミスだったが、当然エリオとキャロは気づくはずもない。

その二人の前を、一組の親子が通り過ぎる。

仲睦まじい、幸せそうな家族だ。少しだけ寂しい気持ちになるエリオ。

「……キャロは、六課に来る前はこういうお休みとか、過ごしてた?」

親子を目で追いながら、エリオは聞いてみる。

「実はあんまり。あ、でも、前にも言ったけど、フェイトさんに遊園地とか水族館に連れて行ってもらった事はあるよ」

「あ、ボクもだ。動物園とか連れて行ってくれたよ」

この二人の共通の話題は、やはりフェイトの事になる。

その話題が、今の二人には優しい時間をくれる。

「初めて遊園地に連れて行ってもらった時はすごく楽しくて、楽しすぎて。だけど、日が暮れて楽しい時間が終わっていっちゃうのが悲しくて。それでちょっと泣いちゃって」

「うん……何だかよく分かるよ」

同じ経験をした事があるのか、エリオは頷いてキャロを見る。

「前日は楽しみで眠れなくて、遊び終わった日はずっと淋しくて」

「うん、そうそう!」

同じ気持ちでいる事が分かったキャロが、嬉しそうに頷く。

「今なら分かるけど、フェイトさん、すごく忙しいのに、その合間に面倒見てくれてたんだなって……」

「うん……」

不意に、エリオのストラーダがシグナルを発した。スバルからの直接通信だ。

「あ、はい。こちらライトニング3」

「はぁ~い!こちらスターズ3!そっちの休日はどう?」

スバルのバカ明るい声が二人に届く。

「ちゃんと楽しんでる?」

ティアナの声もした。

「はい。まだ始めたばかりですが、何とか」

「いやあ、困ってる事とかないかなーって思っただけなんだけどね」

「うふふ、ありがとうございます」

スバルの気遣いに、キャロが答える。

「おかげさまで、ありません」

エリオも笑って答えた。

「そっちはどんな感じ?」

10歳コンビの動向が気になったティアナが聞くと、予想外の答えが返ってきた。

「えっと、予定通り公園で散歩して、これからデパートを見て回って、な感じです」

「この後、食事して映画見て、夕方には海岸線のお夕焼けを眺めるってプランをシャーリーさんに作ってもらってますので」

「「はぁ?」」

その答えを聞いたスバルとティアナが呆れたような声を上げた。

ここまでコテコテのマニュアルデートって今時あるのか?と思う。

「ちゃんと順番にクリアして行きます」

やはり、内容をよく理解していなかったエリオの答えに、ティアナが苦笑する。

「クリアって、あの子達は……」

「あはは、まあ健全だ」

スバルも、やや苦笑気味だ。

「「はい?」」

何の事だか分からず、聞き返すエリオとキャロ。

「いやぁ、こっちの話」

楽しんでいるなら、あえて言う必要はないだろうと考えたティアナが慌てて返す。

「じゃあ、何か困った事があったら、いつでもこっちに連絡するんだよ?」

結局、スバルが言いたかったのはそれだった。

困った事があったら、遠慮無く頼って欲しいと。それがどんな小さな事でも言ってもらいたいのだ。

「街中の遊びも、アタシ達の方が先輩だからね!」

思いは同じティアナも、彼女らしい素直じゃない言い方で二人を心配する。

「はい!」「ありがとうございます!」

「じゃ~ね~!」

通信がきた時と同じように、バカ明るいスバルの声で通信が切れた。

「スバルさんもティアさんも、優しいね」

「うん」

ちゃんと自分達が楽しめているか気がかりだったのだろう。

そこで、ふとキャロが思い出す。

「あ、アスカさんはちゃんとお休みとれたのかな?」

キャロがそう言った時、再びストラーダが鳴った。

「あー、そうそう、追伸ね。アスカは私達より少しだけ遅れて出かけたってアルトから連絡があったから安心してね。じゃ!」

スバルはそう付け加えて通信を切った。





ティアナside

「これでエリキャロも安心だね」

スバルが通信を終える。

心配したけど、どうやら休日を楽しんでいるみたいだ。

「そうね。あの子達も気遣いさんだしね。それにしても……」

何と言うか……その、何だ。アタシが微妙な顔をしていたからか、スバルがそれを察する。

「うん……シャーリーさん、デートした事ないよね、きっと」

「そう……ね。アタシ達も人の事は言えないけど」

ハァ、と同時にため息をついてしまった。

まあ、休みにスバルと街をぶらつく時点で、てんで色気なんかありゃしない。

「デートって、なに食べるんだろ?」

「いや、何をするんだろ?でしょ」

食い気一直線のスバルにすかさず突っ込む……ほんと、この突っ込み体質を何とかしたい……(ーー;)

「うーん。男の子と出かけるって、結局買い物したり映画見たりだったら、ティアと出かけるのと一緒のようなきがするんだけどなぁ」

恋愛など無関係のスバルらしい感想と言えばそうだけど……アタシも人の事を言えないのよね。

「そういうのが、好きな人とだったら楽しいんじゃないの?」

「そうかもしれないけど、どう違うのかよく分からないよー」

アタシもスバルも、彼氏いない歴=年齢だから、どう楽しいのかは想像の域を出ない……虚しい。

で、でも!シャーリーさんみたいに本から切り取ってきたようなデートプランなんか立てないよ!たぶん!

「六課で男の子って言うと……エリオ?イタッ!」

危なく道を踏み外しそうになるスバルを、チョップで軌道修正するアタシ。

「それじゃ本当に男の子じゃない。男性って見れば……ヴァイスさんにグリフィスさんとか?」

あんまり意識してなかったけど、身近な異性ってあんまりいないかな?

「あ、あとアスカだね」

トクン

スバルの何気ない一言に、何故か心臓が早くなった気がする。

頬が熱くなるのを感じた。

……あのゴタゴタでも、アスカはアタシと真っ正面から向き合ってくれた。

アタシの悪い所も、良い所も見ていてくれた。

スバルとは違う視点でアタシを見守っていてくれたんだ。

アタシが聞き分けなく、同じ失敗をしてアスカに大怪我をさせたのに、アスカは笑って許してくれた。

たくさん苦しんだんだろ?って言って。

あの後、ヴァイスさんやアルトさんに聞いたら、アスカも苦しみながら、迷いながらアタシに向き合ってくれてたのを知った。

今までのアタシの人生の中で、初めて会うタイプの異性だ。

兄さんとは違う優しさを持っているアスカ。

不器用で粗野で、冗談ばっかり言って、でも、苦しい時にはそばにいてくれる。

……で、でも、それは同僚としてよね!?

なにを浮ついてるんだ、アタシは?

その浮ついた心を吹き飛ばすような一言をスバルが言った。

「あ、でもアスカって、アルトと仲がいいよね」

「え?そうなの?」

ズキリ、と胸が痛む……なんで?

「うん。よく二人で話しているのを見るよ。ほら、アルトはキャロと同室じゃない?アスカはエリオと一緒の部屋だから、よくエリキャロ関係の話をしていたよ。保護者みたいな感じなんじゃないかな?」

スバルは特に気にしないで普通に話している。

「……」

あの二人、そんなに仲が良かったかな……

「ティア?」

急に黙ってしまったアタシに目を向けてくるスバル。

「あ、何でもないよ。あぁ!今日はこのまま事件とかなく、ノンビリできたらいいわね!」

ごまかすように、アタシは大きく伸びをした。

「そうだよね~」

うまくごまかせたみたい……

アスカには感謝しているけど、別にそういう……訳じゃ、ない……

なのに、なんでこんなに胸の奥がモヤモヤするんだろう?





outside

アスカはデュークとバカ話を続けていた。

「でもよ、あのシグナム二等空尉に直接訓練つけてもらえるんだろ?羨ましいな!」

デュークがニヤニヤとイヤラシイ笑みを浮かべてアスカを肘で突つく。

「おいおい、毎回命がけだぜ?最終的にはボコられるんだからさ」

「我々の業界ではご褒美です!」

キッパリ言い切る既婚者のデューク。

「まあ、プルンと揺れるモノが目の前にある訳だからな」

「「わーっはっはっはっ!!」」

バンバンとお互いに肩をたたき合う。

六課ならドン引きされるような会話である。

まあ、普段は抑えているから、昔の仲間がいる時ぐらいはバカ話をしたいアスカだった。

不意に、モニタールームにアラートが響きわたった。

「何があった!」

一瞬で仕事モードに切り替わったデュークがモニターを睨む。

《Bー25区画で横転事故が発生しました。至急、救護隊を派遣してください》

監視用デバイスが状況を報告する。

「救護隊、出られるのはいるか?」

《現在、地上での交通事故に出払っています。動けるのは班長だけです》

次の瞬間には、アスカとデュークは立ち上がっていた。

「アスカ!救急訓練、忘れてねぇだろうな!」

「こっちは休暇だってのにな。行くぞ、デューク!」

阿吽の呼吸で二人は動き出す。

「で、いいのか?オレ、部外者なんだけどさ」

今更ながら、アスカはデュークに聞く。

「オレから依頼した形にしておくさ!実際、人手不足だからな」

「分かった。久々のデュークとタッグか」

アスカとデュークは同時に車に飛び乗った。

アスカはまだ知らない。

サードアヴェニューで出会ったディエチ。

横転事故。

この二つがレリック事件に大きくかかわっている事に………
 
 

 
後書き
何とか投稿できました。
呼んでくださる方、本当にありがとうございます。
励みになります。ありがとうございます。

今回、他のナンバーズを差し置いてディエチが登場しました。
これからどんな風に絡んでくるのか、少しお待ちください。

アスカの元同僚のデュークはモブです。それほどストーリーに絡んでくる予定はありません。

さて、ティアナの様子が少しおかしいですね?乙女回路が作動し始めているのでしょうか?
自分の気持ちに素直になる時はくるのでしょうか?
対抗馬のアルトさんはどう動くのか?
つーか、他のヒロインもっとがんばれ! 
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