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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1866話

 月光館学園に向かっている途中、いつものようにゆかりと会う。
 ……別に時間を合わせている訳ではないのだが、何故かいつも学校の近くで遭遇するんだよな。
 疑問に思いつつも、ゆかりに向かって声を掛ける。

「よう、ゆかり」
「アクセル、おはよう。……それにしても、毎日会うわね。もしかして、私が来るのを待ってるとか?」
「別にそんな事はないんだけどな。寧ろ、そっちが俺の来るのを待ってるんじゃないか?」
「そんな訳ないでしょ」

 そう言い、ゆかりは笑みを浮かべる。
 ゆかりも、別に俺が待っているというのは本気で言った訳ではないのだろう。
 言うなれば、挨拶代わりだ。
 そんな風にゆかりと話しながら月光館学園に向かっていると、不意に後ろの方からざわめきが聞こえてくる。

「何かしら?」

 少しするとゆかりもそのざわめきに気が付いたのか、後ろを見る。
 そして……そこで俺とゆかりは、驚きに目を見開く事になった。
 当然だろう。何故ならそこにいたのは、桐条によれば今朝退院したばかりの筈の、有里の姿があったからだ。
 つい昨日まで、1週間近く意識が戻らなかったとはとても思えないような、そんな姿で。
 もっとも、いつものように面倒臭そうな姿をしているので、普通ならちょっと見分けがつきにくいだろうが。

「え? 有里君? ……何で?」

 そんな有里の姿を見て疑問を口にしたゆかりは、次の瞬間俺の方を見て説明を求めてくる。
 だが、俺に説明を求められてもな……正直なところ、何故有里が今日学校に来ているのか、全く分からない。
 そもそもの話、俺が桐条から聞いた話によれば今日は1日寮でゆっくりしているって話だったんだが……

「ああ、おはよう」

 有里の方も俺の姿を見つけたのか、いつものようにやる気のなさを露わにしながらそう挨拶をしてくる。

「大体1週間ぶりだけど、もう身体の方はいいのか? 昨日まで入院してたんだろ? なのに……」
「ああ、大丈夫。身体の疲れとかはもうないから」
「……まぁ、1週間近くも眠っていれば、どれだけ疲れていた奴でも全快はするだろうな。もっとも、寝すぎて疲れるとか、そういうのもあるかもしれないけど」
「どうだろうね。……それより、学校に行かないの? まだ余裕はあるけど、完全にって訳じゃないと思うけど?」

 有里の言う通り、遅刻するまでにはまだ余裕があるが、それでも長い時間という訳ではない。

「そうだな。……けど、いきなり姿を見せるから驚かされたよ」
「そう? そんなつもりはなかったんだけど」

 俺の言葉に気怠そうにしながら答える有里だったが、それはポーズとかそういうのではなく、本当に身体が怠いのだろう。
 寝て疲れるって話を俺は口にしたが、実際に何日も寝たきりとなると身体の動きが色々とおかしくなるのは間違いない。
 それこそ、軽いリハビリが必要なくらい……と言われても、納得出来るくらいには。
 まぁ、こうして見る限り、そこまで重傷って訳じゃないんだろうが……これもペルソナのおかげだったりするのか?
 まぁ、この世界固有の能力なんだし、それくらいの力があってもおかしくはない……か。
 そんな風に考えている間にも、俺達は校舎に向かって進む。
 当然ながら、有里のファンが有里を見つければ、黄色い悲鳴が上がったりするのもあって、あまり落ち着かなかったからだ。
 いや、俺はまだ男だからいい――何故か俺と有里を見て嬉しそうな悲鳴を上げている奴もいたが――が、ゆかりは女なだけに有里に近すぎると思われているらしい。
 正確には有里と俺が仲が良く、そして俺とゆかりが色々と繋がりがあって……というのが正確なところなのだが、残念ながらその辺は考慮されないらしい。
 その辺りの事情を知っているのは、俺達のクラスとか近くのクラスとかだが、有里のファンには年上も年下もいる。
 そいつらは詳しい事情とかは知らないので、当然有里の側にゆかりがいるのは面白くない訳だ。
 そういう連中からの視線が、ゆかりにとっては面倒だったのだろう。
 ともあれ俺も異論はないので、有里とゆかりと共に学校の中に入り、教室に向かう。
 そうして教室に入ると……

『ええええええ!』

 普通に有里が教室に入ってきたのを見て、クラスの連中が声を上げた。
 当然だろう。このクラスの中には……いや、正確には有里のファンはと言うべきだろうが、ともあれ昨日まだ意識を失ったままの有里の見舞いに行った奴がいてもおかしくはない。
 なのに、昨日の今日でこうして普通に登校しているのを考えれば、この驚きようは寧ろ当然だろう。

「ちょっ、有里!? お前、何で普通に学校に来てるんだよ!」

 友近が俺と有里の姿を見て、そう言いながら近づいてくる。
 ちなみに順平の姿も探したが、残念ながらまだ来ていないらしい。

「何でって……退院したから?」
「いや、そうじゃなくてだな。……身体の方、本当に大丈夫なのか? 出来れば、もう少し休んだ方がいいと思うんだけどよ」
「平気」

 友近もそれなりに友人思いのところはあるのか、有里を心配そうに見る。
 いや、別にそこまで意外って訳じゃないけどな。
 友近は年上好きの女好きで、気が多いけど、友人は大事にするタイプだ。
 ……その行動に巻き込まれると、昨日みたいに教室を整理したりするように言われたりもするのだが。

「そうか。……そう言えば、俺達からの見舞いの品は見たか? かなり厳選したんだけどよ」
「うん、見たよ。なかなかのものだった」
「そうか。俺達で厳選した甲斐があったってもんだな。病院だとそういう本は売ってないだろうし、選ぶのにも苦労したんだぜ?」

 友近の言う見舞いの品がなんなのかは、それこそ考えるまでもないだろう。
 以前見舞いに行く時に買っていった、アイドルの写真集だ。
 結構際どい水着姿とかあった……というのを、あれから何となくネットで写真集のレビューを見て知った。
 けど、まさか有里の口からそんな言葉が出るというのは、かなり予想外だった。
 いつも怠そうにしているだけに、そっち方面に興味はないのかと思ったんだが……何だかんだと、やはり有里も女に興味のある年頃という訳なのだろう。
 この辺り有里も年齢相応の態度と言えるのだが……最大の問題は、俺達が側にいる時にそんな話を口にした事だ。
 近くにいるのが俺だけであれば問題はないのだろうが、俺は有里以外にもう1人と共に学校に来ていたのだから、当然のようにその人物も今の友近の話を聞いていた。
 ……最初は何を言っているのか分からなかったようだが、途中でその内容に気が付いたのだろう。ゆかりの頬が急速に赤く染まっていく。
 相変わらず、白い太ももを剥き出しにしているのに、そっち方面には弱いんだよな。
 ゆかりは月光館学園の中でも人気があるんだし、男に告白されたりとかも当然している筈だ。
 であれば、そっち方面に多少なりとも耐性があってもおかしくないんだが。
 まぁ、いいか。
 今はその辺りを考える必要もない。今考えるべきなのは、どうやってゆかりの機嫌を直すかという事だろう。

「ちょっ、あんたねぇっ! 一体病院に何を持ってってるのよ!」

 そう告げるゆかりが叫んだ相手は……何故か俺だった。
 え? あれ? 何で俺が怒られるんだ?
 いや、実際写真集を選んだのは俺だけど、それは友近も口に出していないだろ?
 なのに、何故俺が怒られる? ……女の勘か?

「そう言っても、男ならその類の代物は必須だぞ」
「……ふん」

 俺の言葉に何を……ナニを想像したのか、ゆかりは頬を赤くしたまま視線を逸らす。
 そうして俺達を教室の入り口に残し、そのまま自分の席に向かう。
 まぁ、その席は俺の隣なんだが。
 そして、このままだと周囲の連中……特に有里のファンがこちらに何かを言ってきそうなので、俺もゆかりの後を追う。
 ゆかりの隣に座ると、まだ薄らと頬を赤くしたままのゆかりが、俺と視線を合わせようとせずに、近くにいる友人と話していた。
 ちょっとからかいすぎたか?
 そんな風に思いながら、有里に話し掛けている連中の姿を眺めつつ、俺は時間を潰す。
 当然のように俺達よりも遅く教室にやった来た者達は、有里がいるのに驚いたりしていた。
 特に順平は嬉しそうにしていたのが印象深い。
 そして教室に鳥海がやってきて……こちらもまた、驚く事になる。
 そんな風に今日の1日はすぎていくのだった。





「じゃあ、寮に向かうのは夕飯前ってことでいいんだな?」
『ああ、そうしてくれ。こちらで食事の用意はしておく。……ふふっ、楽しみにしているといい』

 電話の向こうで桐条が嬉しそうに告げてくる。
 有里が退院したのが、それ程嬉しかったのだろう。

「そう言うのなら、楽しみにしてるよ。……けど、有里は今日1日ゆっくりと休ませる筈じゃなかったのか?」
『私はそのつもりだったのだがな……本人がどうしても学校に行くと言って、聞かなかったのだ。本来であれば、無理はして欲しくないのだが』

 小さく溜息を吐く桐条。
 有里が学校に……ねぇ?
 普段は面倒臭そうというか、テンション低い感じに見えるが、ああ見えて学校生活を楽しんでいるのか?
 まぁ、そういう意味では俺も十分学校生活を楽しんでいるのだが。

「まぁ、有里が自分で行きたいのなら、それでいいんじゃないか? それだけ、月光館学園に対して好意を抱いてるって事なんだろうし」
『そうか』

 俺の言葉に短く返す桐条だったが、その言葉には隠しようのない嬉しさがある。
 やはり自分の家で経営している学校に好意を抱いているというのは、嬉しいのだろう。
 その後も10分程桐条と会話をし、何故かラーメンの件で盛り上がってから電話を終わる。

「随分と楽しそうに電話してたわね」

 そんな俺に、どこか冷たい雰囲気のままに声を掛けてくるのは……後ろにいたゆかりだった。
 俺が電話をしていたのは、月光館学園から少し離れた場所にある通路だったのだが、その途中でゆかりがやってきたのだ。

「そうか? まぁ、いい。取りあえず今日寮に行くのは夕飯前だな。夕飯は向こうの寮で出して貰える事になった」
「ふーん……まぁ、いいけど」

 お、若干機嫌が直ったな。
 まぁ、豪華な夕食になるのは半ば決まったようなものだし、それが嬉しかったのだろう。
 桐条との関係も、現在のところは付かず離れず……といった感じなのが、丁度いいのだろう。
 もしこれでゆかりが桐条達と行動を共にしていれば、距離が近いだけに色々と問題が起きている可能性はあった。
 ……意外と、もし俺がこの世界に来ておらず原作通りに事態が進んでいるのであれば、そんな感じになった可能性は全く否定出来ない。
 そもそも、ゆかりがペルソナに覚醒してシャドウに襲われていたあの時、俺がいなければ助けられる相手は桐条達しかいない。
 ああ、いや。もしかしたら荒垣が助けたという可能性もあるのか?
 もしくは、ゆかりが1人でどうにか逃げ切って、1人で行動するようになっていたというのも有り得るか?

「とにかく、今日有里に俺達の事を知らせる。荒垣にもメールは送っておいたから、多分来るだろ」
「来る、かしら? 荒垣さんの性格を考えると、自分には関係ないって言いそうじゃない?」
「……それは否定出来ないな」

 基本的には桐条や真田と距離取っている荒垣だ。
 勿論実際には何かがあればすぐに駆けつけるというのは、普段の真田とのやり取りを知ってれば、誰でも容易に想像出来るだろうが。

「まぁ、今回はあくまでも有里と関係のある俺達のネタばらしだ。俺達と一緒に行動する荒垣は、いれば紹介してもいいかもしれないけど、どうしてもって訳じゃないだろ」

 実際、現状では荒垣と有里の接点は存在しない。
 であれば、こっちとしても特に無理に紹介する必要はないという事になる。
 勿論ペルソナ使いとして行動するのであれば、将来的には紹介する必要はあるんだろうが。

「ふーん。まぁ、アクセルがそう言うのなら、私は特に何も言う事はないけど」

 ゆかりもそれ以上は特に何かを言うでもなく、俺の言葉に納得した様子をみせる。

「それにしても、夕食……何かしら?」

 唐突に話題を変えるゆかりだったが、何かと言われてもな……

「意外とお好み焼きとかかもしれないぞ?」
「は? 何でよ?」
「この前、桐条と一緒にお好み焼きについて話をした時、随分と興味を持っていたみたいだったからな。なら、この機会に桐条が全員でお好み焼きパーティをやろうと考えても、おかしな話ではないだろ?」
「ふーん……そうなんだ。桐条先輩とデートの約束をしてるんだ」

 ジト目でそう告げるゆかりに、俺は誤解を解く為に口を開く。

「別にデートとかそんなんじゃない。一緒に食事をするだけだしな」
「だから、それを普通ならデートって言うんでしょうが」

 呆れた、といた様子のゆかりに、俺は何と声を掛けるべきか迷うのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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