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さらばラバウルよ

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第二章

「どんどんな」
「ここも寂しくなったな」
「戦局本当にやばいのかね」
「ここでこれだけ減ってるってな」
 海軍の南洋における最大の航空基地であるラバウルがというのだ、戦略の重要基地にもなっている。
 しかしだ、そのラバウルでもというのだ。
「これじゃあな」
「日本まずいか?」
「亜米利加はどんどん強くなってるみたいだしな」
「どでかい空母がどんどん出て来てな」
「航空機の数も尋常じゃないってな」
「凄くなる一方だってな」
 そうした状況だというのだ。
「それに対してな」
「俺達はこうか」
「ラバウルでもこれだけ減って」
「これからはな」
「もっと悪くなるか?」
「どんどん減ってくか」
「そうなるか?嫌な話だな」
 大林は落ち込んだ口調になっていた、そのうえでの言葉だ。
「逆転といきたいな」
「ああ、劣勢を跳ね返してな」
「そうしていって欲しいな」
「辛くてもな、今が」
「最後は勝っていたいな」
「そうしたいな」
 同僚達も言う、とにかくだ。
 大林も同僚達も今の状況に辛いものを感じていた。しかしその辛い状況はさらに進んでいき。
 大林は上官にだ、ある日こう告げられた。
「本土にですか」
「ああ、本土防衛の為にな」
 上官はこう大林に話した。
「御前は戻ってもらう」
「それで本土の基地で、ですか」
「これまで通り働いてもらう」
 整備兵として、というのだ。
「わかったな」
「本土防衛ですか」
「そろそろ危なくなってきたらしい」
 この状況が懸念される様な、というのだ。
「だからだ」
「ラバウルからもですか」
「本土防衛の戦力を送る」
「それで自分もですか」
「そうだ」
 その通りという返事だった。
「わかったな、ではだ」
「本土帰還ですか」
「そこでも頑張れ」
 こう告げられた、そしてだった。
 大林は本土に帰還した、彼は関東の方に基地の所属となったが。
 よく遠くのラバウルの方を見てだ、戦友達に言った。
「あっちはどうなるんだ」
「戦局は悪くなる一方だからな」
「本当にな」
「どんどんな」
「マリアナで負けてな」
「サイパンにも来たらしいぞ」
 アメリカ軍がというのだ。
「サイパン取られたらまずいな」
「敵にぐっと近寄られるぞ」
「あそこからこの本土も爆撃受ける」
「いよいよまずいな」
「そうなってきたら」
「いよよな」
 それこそというのだ。
「日本はまずいか」
「南洋もどうなるか」
「フィリピンも攻められてな」
「どんどん追い詰められていくのか」
 こんなことを話した、ラバウルは彼にとってはもう遠くになっていた。そして実際にサイパンが陥落しそこからB-29が来て本土爆撃が行われる様になってだ。
 昨日は東京、今日は横浜とだ。爆撃の話を聞いてだ。
 大林は暗い顔でだ、俯いて言った。 
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