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アメリカンハウス

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第四章

「もうね」
「広過ぎるか?」
「そう思ったけれど」
「俺はそうは思わないけれどな」
「広くていいっていうのね」
「大きくてな」
 妻に笑って話した。
「キッチンだって立派だしな」
「それはそうだけれどね」
「庭にはピールもあるしな」
「時間があれば泳げるし」
「いいだろ」
「まあね。ただ芝刈りとか大変そうね」
「そこでそれ言うか」
「実際にそう思ったし」 
 だから言ったというのだ。
「芝刈り機あるわよね」
「それはあるだろ」
「じゃあ定期的に奇麗にしておくわね」
 奇麗好きな佑衣子はこのことも考えていた。
「お部屋も」
「どの部屋も掃除に時間がかかりそうか」
「まあ専業主婦だし時間はあるし」
「それならいいか」
「まあね、それにアメリカの食事って」
「ああ、やっぱりカロリー凄いだろうな」
「だからそれで太らない為にも」
 このことも考えてだった。
「お掃除もしていくわ」
「それとプールで泳いでか」
「ダイエットもするわ」
「じゃあ俺もそっちを考えないとな」
「ええ、会社にジムあるわよね」
「そっちで汗をかいてな」
「ダイエットもした方がいいわよ」
 夫婦でこうした話もしてだった、アメリカの家での生活をスタートさせた。木村はアメリカの家の生活、憧れだったそれを満喫してだった。
 いつもだ、会社の中で満面の笑顔で言っていた。
「いや、こっちの家は最高ですね」
「そんなにいいか」
「かなり気に入ったみたいだな」
「広くて大きくて快適で」
 それでというのだ。
「最高ですね、ベッドも大きくてのびのび出来て」
「ベッドも大きいよな、確かに」
「アメリカンサイズは」
「しかもキッチンは充実してていい料理も食えるし」
 尚料理は佑衣子がいつも作っている。
「最高ですよ、朝からスクランブルエッグにトーストにミルクで」
「アメリカの映画みたいにだな」
「その組み合わせでか」
「はい、それで夜は普通にステーキ」
 それが食べられてというのだ。
「何もかもが最高ですよ」
「そこまでなんだな」
「本当にアメリカの家での生活がいいんだな」
「快適なのね」
「快適も快適」
 それこそとだ、木村は満面の笑みで話していた。
「最高です、休日はプールもあるし」
「ドライブも出来る」
「車もあって」
「こんないい生活ないですよ」 
 心から楽しんでいた、彼にとってアメリカでの生活は最高そのものだった。この国の家でのそれは。
 しかし妻の佑衣子は夫にだ、家でよく溢していた。その溢す言葉はというと。
「広過ぎてね」
「毎日掃除してるとか」
「ええ、大変よ」
「洗車もしてるよな」
「芝刈りをしない日はね」
 奇麗好きなので芝生もそうしているのだ。
「そうしてるわ」
「じゃあ午前中は買い物と家の中の掃除でか」
「午後はね」
 芝刈りか洗車だというのだ。 
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