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第三章
「馬は馬を気遣って落馬しない様に注意しないといけないからな」
「俺馬に乗ったことないです」
「ニューヨークで生まれ育ってか」
「はい、全然」
「俺もないけれどな」
「それでもですね」
「車はな」
それこそというのだ。
「ちょっと覚えたらな」
「それで、ですよね」
「誰でも乗れるからな」
「馬よりも楽に」
「そうみたいだからな」
だからだというのだ。
「御前も運転出来てな」
「パトロールも出来ますね」
「結局俺が部隊で一番運転が上手にしてもな」
「この部隊でも結構な数が運転出来ますね」
「それで何でも出来る」
ジープを使って行う任務はというのだ。
「雑用ばかりでもな」
「いや、そう思うと便利ですね」
「馬より速くて楽に動けてものも運べる」
荷物を馬の背に乗せるよりも助手席や後部座席に乗せて運んだ方が多く運べるということである。
「そうなるからな」
「有り難いものですね」
「何かとな」
「物凄く役に立ってますよね」
「ああ」
実際にとだ、マッキントッシュはドーバーに答えた。ステーキはここで二枚目に入った。見れば三人共よく食べている。
「色々とな」
「もうジープなしでは考えられないです」
「それはその通りだけれどな、俺はな」
ここでだ、マッキントッシュは浮かない笑顔になってこうも言ったのだった。
「元々戦車兵だったんだよ」
「ああ、そうでしたね」
「それでこっちに来る筈がな」
「御前は車の運転がいいからな」
ハーディングが笑って言った。
「うちの部隊に配属になってな」
「戦車部隊からですね」
「ジープの運転手になったな」
「戦車兵じゃなくて」
「そうなったな」
「戦車に乗ってドイツの練習を次から次に倒したかったんですが」
こう言うのだった、もうドイツ本土にかなり近づいている中で。
「それがですね」
「もう毎日だな」
「ジープの運転してます」
「まあそれも仕事だ」
軍隊におけるそれだというのだ。
「頑張れよ」
「自分の与えられた仕事をですね」
「ああ、そうしろ」
「それでわかりましたとしかですね」
「軍隊だからな」
「ええ、じゃあ」
マッキントッシュは釈然としないがそれでも頷いた、そしてこの日の午後もだった。彼はジープを運転してだった。
午後のパトロールを行っていた、そうしつつ助手席のドーバーに言った。
「何かおかしなことはあるか?」
「ないですね」
ドーバーは周りを見回しつつ運転をするマッキントッシュに答えた。
「特に」
「そうか」
「はい、別に」
「それは何よりだな」
「ドイツ軍の連中は敗走に次ぐ敗走ですね」
「ああ、それでな」
「ここにはですね」
彼等の基地があるこの辺りはというのだ。
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