転生とらぶる
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ペルソナ3
1864話
「ここが……ラーメン屋、か。ラーメンは食べた事があるが、ラーメン屋に来るのは初めてだな」
はがくれの前で、桐条が物珍しげにその店を見ている。
殆ど駄目元で一緒にラーメンを食いに行くかと誘ったんだが、まさか本気で来るとは思わなかった。
いや、桐条だってラーメンを食いたいと思っても不思議じゃないんだが。
そもそもの話、真田と一緒に寮に住んでいるんだから、ラーメンやら牛丼やらを食っていてもおかしくはないし。
それに、普通の女子高生が間食としてラーメンを食うのは、ダイエット的な問題で色々と危険かもしれない……いや、桐条の場合は普段から生徒会長や影時間の一件といった風に、普段からかなり激しく動いているから、その辺りは気にする必要がないのか。
そもそもの話、戦闘というのは全身運動であるのと同時に命懸けの戦いで精神的な消耗も激しい。
ダイエットという意味では、タルタロスツアーは有効なのかもしれないな。
実際、ゆかりもタルタロスに行く前に比べて食う量そのものは増えたらしいが、体重は逆に減ったらしいし。
それで女子寮やクラスの友人にはかなり羨ましがられたとか。
……ただ、ダイエットをする為に命懸けを戦いをするのは、割に合わないと思うんだが。
もっとも、そのダイエットをするにはペルソナの覚醒……そこまでいかなくても、最低でも影時間に対する適正が必要となるのだが。
うん、どれだけ難易度の高いダイエットだって話だな。
だが、正直なところこのダイエット方法は諸刃の剣とも言える。
影時間に関わるようになって、明確な程以前よりも多くを食べるようになっているのに、微妙に痩せているのだ。
つまりこの状況で影時間の一件が解決したら……運動量は圧倒的に減り、食べる量はそのままという事になる。
勿論その場合は食べる量を減らせばいいのだろうが、それを簡単に出来るかと言えば……ちょっと難しい。
まぁ、影時間の解決がいつになるのかは分からないのだから、今はその辺りを気にする必要もないのだろうが。
「さて、じゃあ準備はいいか? 入るぞ?」
「あ、ああ。こちらの準備はいい」
桐条が、まるでタルタロスに挑戦するかのように緊張しながら、そう告げる。
白い喉が唾を飲み込む様子は、見る者が見れば欲情してもおかしくないだろう。
ラーメン屋に入るのに、何故そこまで緊張しているのかという思いはあるが、一種の上流階級に生きてきた桐条にとって、こういう庶民的な店というのは今まで入った事がないのだろう。
そんな桐条を伴いながら、俺ははがくれの中に入る。
「へい、らっしゃい!」
その瞬間、そんな声が響き渡った。
一瞬緊張した桐条だったが、タルタロスと違って特に何か攻撃される訳ではないというのは理解したのだろう。すぐに安堵の息を吐く。
そんな桐条の様子を確認し、店の中を見る。
俺が途中で抜けたが、本来なら友近の奢りで順平と一緒にラーメンを食べる予定だったのだ。
だから、もしかしたら……と思ったのだが、残念ながら――もしくは幸いにも――順平と友近の姿はない。
「その、アルマー。どうすればいいんだ?」
「別に難しい話じゃない。食券制って訳でもないから、このまま席に座るぞ。……幸い向こうのテーブル席が空いてるし」
昼だったり夕方だったりすれば、ラーメン屋もそれなりに混む。
だが、今は放課後だ。
運動部とかもまだ部活をやっている時間帯なので、そこまで混んでいない、狙い目の時間なのだ。
……そんな時間帯であっても、それなりに客の姿が多いのは、このはがれくという店がどれだけ人気店なのかを示しているのだが。
ともあれ、そうして席に着けば、当然次に選ぶのは何を頼むかだ。
「メニューは分かるな? それを見て、好きなのを注文すればいい」
「そう言われてもな。……何か、お勧めはないのか?」
基本的にラーメンの類を食べ慣れていない為か、何を注文していいのか迷っているのだろう。
この店の名物と言えば、チャーシューを使ったはがくれ丼だが……ラーメン屋に来たんだから、やっぱりここはラーメンを食べた方がいいだろう。
となると……普通のラーメンも美味いし、チャーシュー麺も美味い。
だが、やっぱり初めてはがくれの来たのであれば、これを頼むのがいいだろう。
「トロ肉しょうゆラーメンとかどうだ?」
「トロ肉しょうゆラーメン?」
「ああ」
はがくれの名物料理の1つでもあり、コラーゲンたっぷりのラーメンだ。
こういう、いわゆる健康食とか美容食ってのは、身体にいいかもしれないんだが、味はそこまで美味いって訳じゃない。
だが、トロ肉しょうゆラーメンに限って言えば、それは十分以上に美味いのだ。
唯一の難点としては、男ならともかく、女であれば食べきるのはちょっと難しそうだという事なんだが……幸い、桐条もタルタロスでの戦いもあって、食べる量は普通の女よりも多い。
であれば、それを十分に食い切れるだろう。
「ふむ、分かった。アルマーがそう言うのであれば、それにしよう。アルマーはどうするのだ?」
「そうだな、桐条に勧めた以上、俺もそれを頼むか。俺はそれに餃子と五目チャーハンを注文するけど、どうする?」
「……さすがにそれは、ちょっと食いすぎではないか?」
「問題ない。この店のメニューはどれも美味いしな」
それに、今までにも同じようなメニューを何度も注文した事があるので、店員や店長もその注文に驚きはしない。
勿論最初は、残して料理が無駄にされるのではないかと、そんな風にも思われたのだが、目の前で注文したラーメン6杯をあっさりと食べきった事で、大量に注文しつつも、残さずに全て食べきる良客と認識されるようになった。
ただ、普通ならラーメンのスープを6杯分飲み干したりはしないらしいが。
塩分とか、かなり身体に悪いだろうし。
この辺り、栄養とか塩分とかそういうのを全く関係なく、食事が生きる糧ではなく、純粋に娯楽の為に食事が出来るという、混沌精霊の体質様々だな。
「そうなのか? まぁ、アルマーがそう言うのであれば、嘘ではないだろうが……私はトロ肉しょうゆラーメンだけでいい」
そういう事で注文も決まり、店員に注文する。
幸いその店員はこの店で何度か見た事のある店員だったのだ、俺の注文を聞いても特に驚いたりする余裕はなく、すぐに厨房に注文を知らせに向かう。
そうして注文を取りに来た店員が持ってきた水を飲みながら、ようやく落ち着いたのだろう。桐条も興味深い様子で店の中を眺めていた。
もっとも、特に何か珍しい物がある訳ではないのだが……いや、こういう普通のラーメン屋というのが、桐条にとっては珍しいのか。
「明彦もこの店にはそれなりに寄ると言っていたのだが……なるほど、このような店か」
「俺がこの店を知ったのは、荒垣に紹介されて、だけどな」
「荒垣に? また、珍しい事もあるものだ」
桐条が何を言いたいのかは、分かる。
荒垣がこういう店を紹介するというのは、かなり予想外の行動だったのだろう。
勿論俺から見てもそんな感じではあるのだが……まぁ、この店を紹介して貰って良かったとは思っている。
「そう言えば、有里がいなくなった影響はどうなっている?」
「どう……と言われてもな。有里が学校に来たのは数日だったけど、その数日で随分とファンが出来たみたいだぞ。何人もが見舞いに行ってみるらしい」
「ふむ、有里がそこまで人気が出るというのは、少し驚きだな」
「そう言ってもな。有里もそうだが、桐条や真田もかなり人気が高いぞ? それこそ、ファンクラブとかがあるらしいし」
「……言うな。正直、何故私がそこまで人気があるのか、理解出来ん」
そう言う桐条は、本気で何故自分がそこまで人気があるのか分かっていないといった様子だ。
「桐条の場合は大人っぽい美人だし、性格も凛としている。頭もいいし、桐条グループの令嬢というのもある。それで人気が出ない方がおかしいと思うけどな」
「ばっ!?」
俺の言葉に、桐条が反射的に何かを言おうとし……だが、次の瞬間、ここがラーメン屋であるということを思い出したのか、慌てて言葉を小さくする。
「ア、アルマー、お前いきなり何を……」
「何をって、一般的な認識だが? まさか、お前も自分の顔立ちが整っていない、とは思っていないだろう?」
また、桐条はこうして制服の上からでも分かる程に大きな胸をしている。
胸の大きさでは、ゆかりも相当なものなのだが、そのゆかりと比べても更に上回っている大きさだ。
……それこそ、レモンを始めとして俺の恋人の中でも巨乳、爆乳と呼ばれている者達には及ばないが、あやか、円、美砂、凛……といったような平均かそれ以上であっても、決してレモン達程ではない大きさの者達よりは大きいだろう胸。
凛とした性格とその巨乳がミスマッチさを醸し出している……のかもしれない。
「それは……」
「へい、おまち。餃子とチャーハンはもう少々お待ち下さい」
桐条が何かを言うよりも前に、ちょうど店員がラーメンを持ってくる。
ラーメンの中で一番に目を引くのは、やはりトロ肉しょうゆラーメンという料理名になっているように、トロ肉……豚肉だろう。
豚の角煮がチャーシューの代わりに入っており、その様子は見るからに食欲を刺激する。
いや、こういう脂っこい食べ物が嫌いならどうか分からないが……少なくても、桐条は丼を見て嫌そうな顔を浮かべてはいない。
「じゃあ、食べるか」
「あ、ああ。……何かこの店特有の作法のようなものはあるのか? あるのであれば、前もって教えてくれると助かる」
「作法というか……そうだな、ラーメン、うどん、蕎麦といった麺料理は音を立ててすすりながら食べる」
世の中には、このすするという食べ方が出来ない民族とかも多いらしい。
まぁ、パスタとかそういうのはすするようにして食べるのは正直どうかと思うし、そっちの関係からだろう。
「すする……なるほど」
頷きながらも、桐条はまず最初にレンゲでスープを飲む。
そして麺を食べ……ようとし、すするのに苦戦する。
うんまぁ、すするってのは決して上品な食べ方じゃないし、それが出来ないというのは何となく予想出来ていた。
それで苦戦しながら何度か試すと、無事に桐条も麺をすするといった真似が出来るようになった。
……それを見ていた周囲の客達が、思わずといったようすで拍手したのは……それだけ、桐条がこの店の中で目立っていたということのだろう。
当の本人は、何故自分が拍手されているのか分かっていない様子だが。
ともあれ、メンマや海苔、長ネギのみじん切りといった具を楽しみながら……次にこのラーメン最大の具の豚の角煮に手を伸ばす。
脂身の部分がトロトロになるまで煮込まれたその肉は、箸で触っただけで容易に裂ける。
「凄いな、これは」
その事に驚きつつ、桐条は豚肉を口に運ぶ。
そして浮かべるのは、幸せそうな表情。
見ている者の全てが幸せな気分を抱いてもおかしくない。
普段凜々しい桐条だけに、余計にそんな風に思ってしまうのだろう。
「エクセレント! 私が以前食べたラーメンも美味かったが、こちらの方がより美味く感じられる」
感嘆の声が、桐条の口から出る。
それを聞きながら、俺もラーメンを食べていく。
「お待たせしました、チャーハンと餃子となります」
そうして俺がラーメンを半分くらい食べ終わると、ちょうどそのタイミングで店員が残りのメニューを持ってくる。
このチャーハンもな……こうした料理店の火力でないと、なかなかこうしてパラパラには出来ない。
少なくても、俺の料理の腕とアパートにあるガスコンロでは、どうやっても無理だ。
ラーメン屋のチャーハンらしく、具には長ネギやチャーシュー、ちょっと珍しいところでは刻んだメンマといった具が入っている。
残っていたラーメンを全て食べ終えると、次にそのチャーハンに手を伸ばそうとし……桐条がこちらを見ているのに気が付く。
いや、正確には、こちらではなくチャーハンを、だ。
「……少し食うか?」
「い、いいのか?」
「ああ。せっかくこうしてはがくれに来てるんだ。しっかりと食べたい料理を食った方がいい」
そう言い、店員から一枚皿を借りる。
それに3分の1くらいチャーハンを取り分けると、桐条に渡す。
「……すまない」
「いいって。ラーメン屋初体験なんだから、しっかりと楽しめよ」
「ふふっ、そうだな。なら、そうさせて貰おう」
そう言いながら、桐条はチャーハンを口に運ぶ。
箸で食べたので少し食べにくそうではあったが、それでも十分美味かったのだろう。笑みを浮かべて、俺の方に視線を向けてくる。
「これは……美味いな」
「だろう? この味はちょっとその辺の家庭だと出せないな」
そう言いながらも、桐条の家……寮ではなく実家の方には本格的な厨房があるのだろうから、そこでもこういうチャーハンとか作れそうではあるが。
そんな風に考えながら、俺は桐条と食事を楽しむのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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