レーヴァティン
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第二十六話 騎士その五
「二割ってな」
「有り得ないな」
「そんな制度がいいなんてな」
「そこでもアホか」
「日本の皇室はそこまでいかないだろ」
到底、という言葉だった。
「宮内庁の予算少ないぞ」
「はっきり言って質素だよね」
源三も日本の皇室について述べた。
「ええと、宮内庁の予算は国家財政の中で」
「一パーセントも絶対にないな」
「ないよね」
「六百億円だからな」
「日本の国家予算って一千兆以上だけれど」
「その中で六百億だからな」
「少ないね」
「あそこは日本の百分の一以下でな」
それだけの財政だ、ざっと考えて十数兆位か。
「そのうちの二割が将軍様個人の贅沢費だよ」
「何兆だね」
「しかもあの統治だぞ」
暴政の極みと言っていいそれだというのだ。
「漫画の独裁者とか悪の組織みたいなな」
「日本の皇室はね」
「そんなこと絶対ないな」
「これまでもね」
二千六百年以上の皇紀の中でだ。
「なかったね」
「あそこまで無茶苦茶な状況はな」
「日本自体に」
「そう考えるとな」
それこそとだ、正は言い切った。
「日本の皇室はよくて北朝鮮の世襲の共産主義がいいとか言う奴はそうした意味でもな」
「馬鹿だって言うんだね」
「ああ、アホだ」
「馬鹿あとアホで意味が違うんじゃ」
「じゃあ馬鹿でいい」
正はそこにはこだわらなかった。
「とにかくどうしようもないレベルだ」
「頭わいてるっていうか」
「そんな奴だ」
「そうなんだね」
「そんな奴だ、完全にな」
「そうした奴が世の中にいるのも凄いね」
「そこまでのアホがな」
正はまたそうした輩についてこのアホという表現を使った。
「いるのも世の中だな」
「イデオロギーしか見ていないのかな」
「そうだな、イデオロギーばかりみてるとな」
「そうした奴になるんだね」
「日本でもな」
「そうです、そう考えるとです」
ここでまた順一が言ってきた。
「イデオロギーも宗教です」
「宗教を否定していてもか」
「そうなるのです」
「成程な」
「そうした一つの宗教を絶対視すると」
「国家としてはか」
「おかしくなってしまいます」
こう久志に話した。
「危険なことに」
「十字軍とか異端審問とかか」
「そうしたことに」
「若しキリスト教がおかしくなっていないとな」
中世の様にとだ、久志は考える顔になって言った。
「テンプル騎士団とか十字軍みたいなことはか」
「なかったでしょう」
「異端審問もか」
「この世界で異端審問がないことはいいことです」
「そしてその理由はか」
「はい、キリスト教だけがあるのではなく」
唯一絶対の宗教になっておらずというのだ。
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