艦隊これくしょん~男艦娘 木曾~
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第三十九話
前書き
どうも、みっくみっくにしてやんぜ。
はい、何を言ってるのか分からない人は、今回が何話が確認してください。そう言うことです。
なお、作者はバカです。
―数十分前―
「……………………。」
私は食堂の席に座って、食い入るようにテレビの画面を見ていた。
そこには今日の演習の様子が写し出されていた。今は、なぜか敵側に立っている赤城さんと木曾さんが話してる所だ。
…………買収したのかな?確かに、赤城さんは食べ物にはめっぽう弱いけど…………そこまでなのかな。
すると、敵側にいきなり水柱が立った。
千尋さんが潜ってたらしい。
そして、急に現れたにも関わらず、そこに砲撃を撃ち込む敵さんたち。
……………………それを一刀両断する千尋さん。
「……………………格好いいなぁ。」
私はボソッとそう言った。
「いやー、ホントですよ。まさかここまでの存在になるとは、ビックリですよ。」
「わぁ!?」
私はいきなり話しかけられて驚いた。机に置いてたココアが零れなくて良かった。
「いやぁ、そこまで驚かれるとは心外ですよ。」
声の主である青葉さんは、にこやかに笑いながら私の前の席に腰を下ろした。目の前には親子丼が置かれたトレーがあった。
「青葉さんはこれからご飯ですか?」
今、時計の針は一三〇〇を指していた。恐らく他の人達は全員食べ終わっただろう。
「いやー、明日用の記事の用意をしてましてね。気がついたらこんな時間に。」
「あぁ、なるほど。いつもお疲れさまです。」
それなら納得だ。青葉さんは基本的に自分に厳しい人だから、一度決めたことは必ずやりきる。毎日発行してる『呉鎮新聞』も毎日なかなかのクオリティだ。
「いやぁ、どもども。ところで、一つ聞いてもいいですか?」
青葉さんは照れくさそうにしながら、コーヒーの入ったコップをもつ。
「格好いいなぁって誰のことですか?」
「ふぇっ!?」
再び机に置いてたココアをこぼしそうになった。零れなくて良かった。
「えっ、えっ、え?な、なんのことですか?わわっわ、私はそそそそんなことをひひひ一言も、」
「いやぁ、二号さんですか。いや、今では千尋さんと言った方がよろしいかな?確かに最近より一層雰囲気が良くなりましたしねぇ。」
「~っ!」
私は思わず机に突っ伏してしまう。
やだ、顔が熱い。多分顔真っ赤になってる。
そのようすを見てか、青葉さんがより一層色々言ってくる。
「んで、どうなんですか?」
「…………なにがですか。」
私はとぼけてみるが、最早隠せない気がする。
「好きなんですよね?千尋さん。」
「~っ!」
核心を突かれ、声にならない悲鳴を上げる私。
「いやぁ、青春ですね~。」
顔は見えないが、恐らくニヤニヤしてるであろう青葉さん。
「……………………い、言わないで下さいよ…………?」
自分でもビックリするぐらい小さな声で青葉さんにお願いする。
「ええ、そこは保証しますよ。むしろ保証しなくても大丈夫と言いますか…………。」
青葉さんの言い方に違和感を感じた私は、顔を上げて青葉さんの顔を見る。青葉さんは困ったような呆れたような、それでいて笑ってるような、そんな微妙な表情をしていた。
「えっと、どういうことですか?」
すると、青葉さんは少し間をあけてこう言った。
「多分、この鎮守府の殆どの人はあなたが千尋さんを好いてるって知ってますよ?」
「へぅっ!?」
変な声が出てしまった。幸い周りには間宮さんしかいない。
「いやだって、毎日のように図書館で一緒になにか勉強してますし、お昼ご飯もグループ内で入れ替わりがありますけど、毎日一緒ですし、こないだの摩耶さんとの対決もなかなか息ピッタリでしたし。」
「うぅ…………そ、そんなにですか…………?」
「はい。そりゃあもうラブラブだなぁと。」
「~っ!」
三度顔を伏せる私。頭がくらくらしてきた。
「ちょっと待ってくださいね?」
青葉さんがそう言ったあと、椅子が動く音。立ち上がってどこかに行ったらしい。
「…………ふぅー。」
私は体を起こしてきちんと椅子に座る。深呼吸をして、落ち着こうとする。しかし、やはり頭がボーッとしてしまっている。
「………………………………はぅ。」
テレビには演習が終わってその後処理をしている様子が写し出されていた。赤城さんがなにかを言ったあと、千尋さんが何やら険しい顔をしていた。何を言ったのだろうか。
「まてやゆいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「待つわけないでしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
轟音と共に叫び声。
どうやらまた大淀さんと提督さんが鬼ごっこを始めたらしい。私がここに来てから五回目だ。
提督が追いかけてると言うことは、またなにかやらかしたのだろうか。
「はい、春雨さん。これどうぞ。」
すると、私の前にオレンジジュースが置かれた。そして、青葉さんが再び私の前に座る。青葉さんもオレンジジュースを飲んでいた。
「あ、ありがとうございます……………………。」
だんだん涼しくなってきて、冷たいものを飲むことも少なくなってきたが、今のこの状況ではありがたい。
私はオレンジジュースをコップの半分まで飲み干す。
…………うん、だいぶ頭が冷えた気がした。
「それで、どの辺がですか?どの辺が好きなんですか?」
青葉さんは机に肘を置くと、体を若干前のめりにさせて聞いてきた。
私は半分観念したように話し始める。
「えっと…………その…………わかりません。」
私は一言、曖昧な感じでそう言った。
「……………………はい?」
驚きながら首を傾げる青葉さん。私はお構い無く話していく。
「えっと、なんて言うか…………初めて千尋さんを見たのは、千尋さんが着任した日で…………その日の午後は夕立ちゃんと時雨ちゃんと一緒に鎮守府を案内したけど、珍しいなぁ位にしか思ってなくて。」
「それで、暫くは通りかかったら挨拶する程度だったんです。その間は、こんな所なのによく溶け込んでるなぁって思ってました。」
「でも、あの日、いつもみたいに図書館で勉強してたら、千尋さんが来たんですよ。それこそ、青葉さんになにか頼まれて来たみたいですけど。」
「それで、ビックリしましたよ。私がやってたページをあっさり解いたんですもん。」
「それに、木曾さんについて調べるとか言ってましたし、私も気になったから一緒に調べるとかいったんですよ。今となっては笑えますね。積極的すぎですよ。」
「そしたら、なんか千尋さんが変わりに勉強教えてくれるって言って……………………そのあと、摩耶さんと戦って、ボロボロなのに最後の最後では折れなくて。」
「それから毎日、毎日ですよ?毎日同じ時間に図書館にやって来て、勉強教えてもらって、今ではかなりできるようになって。優しいと言うか、お人好しと言うか…………。」
「それでいて、絶対に負けないんですよ。何にとは言いにくいですけど、いろんなものに絶対に向かっていくんですよ。」
「それに、責任感が強いと言うか…………私の件についてもそうですし、週に二、三回は必ず食堂で手伝いますし。他人のために、あそこまで動けませんよ。」
「それで、努力するんです。朝は木曾さんと自主トレして、夜は遅くまで。勉強も、私に教えながら自分もドンドン勉強してますし。」
「なんと言うか……………………どこがす、好きとか、い、言えないと言うか……………………いつも間にか、好きになってたと言うか…………。」
私はそこまで言って、恥ずかしさのあまりまたまた机に突っ伏す。
ヤバい、色々とリミッターが外れてる。思ってること全部吐き出した気がする。
「……………………………………いやぁ。」
青葉さんは少し間をあけて、口を開いた。
「本当に、大好きなんですね。」
「……………………はい。」
私は伏せたまま肯定した。
「それで、告白する気は?」
「えっ……………………。」
私は思ってもみない台詞に飛び起きる。青葉さんはさっきまでと違う真面目な表情だった。
「そんなに千尋さんのことを想ってるのなら、いっそのことぶちまけてみてもいいんじゃないですか?そりゃあ、断られるかもと思ったら、簡単にできることとは思いませんけど…………。」
珍しく、自信のない表情を見せる青葉さん。それほど真剣に聴いてくれているのだろう。
「………………自信が、ないです。私が、千尋さんに好かれてるって、どうしても思えなくて…………。」
それに、と私は続ける。
「多分ですけど、千尋さん、木曾さんのこと好きですし。」
「ぶっ。」
飲んでいたオレンジジュースを吹き出す青葉さん。机に飛ばなくて良かった。
「え?」
私は青葉さんのその反応に驚く私。てっきり皆そう思ってるものだと思った。
「くっ…………くふふっ…………はははっ……………………はははっ!そ、それ、本気ですか!?」
青葉さんは笑いを堪えながら私に話し掛ける。
「ほ、本気ですよ!だから、その、不安で…………。」
木曾さんは千尋さんをみつけた張本人。千尋さんが鎮守府に溶け込めるようになったきっかけも作って、千尋さんと話が合う。
それこそ、千尋さんにはあんな気の強い人の方がお似合いだと思う。私みたいな気の弱い人なんかより。
「いやぁ……………………なら私からは何も言うことは一つだけ。」
青葉さんはそう言うと、いつの間にか食べ終わっていたトレーを持って立ち上がった。
「後悔しないように。」
その一言が、なぜか怖く感じた。
「それでは、私はこれで!そろそろ帰ってくる頃ですしね。」
青葉さんはそう言うと、トレーをカウンターに返して、食堂から出ていった。
「…………………………。」
『後悔しないように。』
その言葉が、私の頭の中でずっとグルグルしていた。なにを後悔するんだ?いつ?どこで?
そんなことをずっと考えていた気がする。
「スタミナオバケかあああああああああああああああああああああああああ!!」
「艦娘が言うんじゃねぇええええええええええええええええええええええええ!!」
そんな雑念は、再び聞こえてきた二人の叫び声で吹き飛んだ。
「…………出迎えに行こう。」
私は、今すぐに千尋さんの顔が見たくなって、食堂を後にした。
顔は、まだ熱かった。
後書き
読んでくれてありがとうございます。手元にある恋愛小説に恋愛ゲーム、アニメ等々を見て必死に考えましたとも。僕自身が恋愛経験が無いようなものなので、かなり苦しかった。
それでは、また次回。
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