歌集「春雪花」
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忍びても
なを余りある
紅に
染まりて見ゆる
秋の夕暮れ
叶わぬ恋を忍び…生きることさえ虚しくなり…それでも生きるために働き…。
人生とは、斯くも侘しいことと知りつつも…それでも彼への愛を止められず…。
夕暮れの空を紅が染める…。
その紅が更に朱く…燃えるように見えるのは…私が未だ諦められずにいるからなのだろう…。
澄みし空に
浮きしは明き
秋の月
君ぞ恋しく
ものを憂きける
澄みきった秋の夜空に、美しい月影が輝く…。
それが余りに眩しくて…彼も月を眺めてはいないかと想像した…。
彼と二人で眺めることなど…もうありはしない…。
だがこの一時…同じ月を見られたら…。
そう考える自分が馬鹿馬鹿しく思え、そして…虚しく溜め息をついた…。
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