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【完結】戦艦榛名に憑依してしまった提督の話。

作者:炎の剣製
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0200話『満潮の改二改装』

 
前書き
更新します。 

 



ついにこの日が来たと思う。
先日はあの悪夢のレイテ沖海戦から74年目の日だった。
あの西村艦隊が栗田艦隊を支援するべく戦いに挑んでいき時雨を残して沈んでいった日でもある。
そんな中で満潮の改二が今から行われようとしていた。
私は大本営からの電文を読みながら、

「なるほど……満潮の改二改装には改装設計図はいらないのか」
「そのようですね提督」

大淀とまた勲章を改装設計図にしないで済んだことに安堵していた。
まぁ、それでも現在は約9人は改装設計図は使える状態には勲章は溜まってきているから誰かを二人目を改装を目指すのも吝かではないけどな。
でも今は駆逐艦強化月間が続いているしその終わりの目途が立ったら北上に大井の二人目も育てる予定だから他になかなか手を回せないのも現状である。
数日前に朧が練度70になり今現在残りの駆逐艦は21人にまで減っていて今は子日を育てているけどまだまだ時間は要しそうだからな。
そんな事を頭でまとめている中でそれとは別の意味での溜息を吐く。
まぁ、

「それならそれでいいとしようか。それじゃさっそく西村艦隊と第八駆逐隊の面々を集めようか。満潮にはどちらにも欠かせない仲間達だからな」
「うふふ。そうですね」

それなので私は満潮を始めとしたまずは西村艦隊の扶桑、山城、最上、時雨、山雲、朝雲の七人と、第八駆逐隊の朝潮、荒潮、大潮の三人を入れた10人を執務室へと呼ぶ事にした。
各々の部屋に電話をかけて招集をかける。
そしてしばらくしてメンバーが執務室に揃って集まってきた。

「提督……扶桑以下西村艦隊集合いたしました」
「司令官! 朝潮含め第八駆逐隊集合しました!」

扶桑はお淑やかに、朝潮は元気に敬礼をしながら挨拶をしてきた。
それにしても……、

「しかし、ここまで朝潮型のメンバーも揃っているなら霰と霞もいっそのこと呼んでおくべきだったか……」
「そうですね提督」

大淀もミスしたように苦笑いを浮かべていた。
それは呼ばれたみんなも思ったのだろう同じく苦笑いを浮かべていた。

「あはは……まぁ大丈夫です。後で二人も含めて朝潮型でパーティを開いておきますので」
「そうか。それならいいんだ」
「それより提督……ついに、満潮が改二になるんだね?」

時雨が少し真剣な表情になって私にそう聞いてきた。
だから私もここは茶化さないで真面目に答える事にした。

「そうだ。今回は改装設計図も使わない普通の第二次改装だけど練度は77で十分らしいから今の満潮なら十分だろう」
「そ、そう……司令官、私をここまで育ててくれて……その、ありがとね……」

満潮はそう言って照れながらも感謝の言葉を述べてきてくれた。

「いつかの約束を果たせてよかったよ」

私も満潮の嬉しそうな顔を見て満足そうに頷き返す。
それから駆逐艦のみんながあれこれ騒ぎ出し始める。

「もう、満潮姉ったら顔が真っ赤よ……?」
「朝雲姉ぇのいう通りね~」
「あはは! 満潮、顔が真っ赤です。気分はアゲアゲですか?」
「満潮ちゃんたら、とっても嬉しそうね~」
「あー! もうみんなしてウザいったら!」

相変わらず素直になれない満潮はツンツンしながらも、だけど満足げに口元が緩んでいた。
一方で扶桑が私にある事を聞いてくる。

「……ですが提督」
「ん? なんだ扶桑?」
「あの運命の日に満潮の改二が実装されるという事は……例の秋と冬の作戦はやはり……なのでしょうか?」
「扶桑姉さま……」

扶桑の不安げな表情に山城も同じくどことなく不安げだ。
そうだよな。
なにかしらのモチーフの海戦が毎度お来ているのだからついにあの悪夢の海戦がモチーフになってもおかしくはない。

「多分、そうだろうな。……だけど、今回は過去のようにはいかせない……。私が信じる君たちの事だ。必ず勝利ももぎ取ってくれることを固く信じているよ。だからそう不安になるな……とは言わないけど前向きに行こう。きっとそれが力になるから」
「そうですね……」
「提督もたまにはマシな事を言いますね」
「たまにはは余計だ、山城」
「あはは! そうだよー。もう過去の過ちを起こさないために僕たちは戦ってきたんじゃないか。だから今回もきっと勝てるよ!」

最上が表裏ない笑みを浮かべてそう言う。
うん。こういう時は最上の明るさがいい感じに状況を一変させてくれるよな。
それで聞いていた他のみんなも笑みを零しているからな。
それからある程度落ち着きも見せてきたので、

「……それじゃ満潮」
「なに……?」
「そろそろ行こうか? 改装室へと……」

私がそう言うと満潮も真剣な表情で、

「そうね。行きましょうか司令官」
「それじゃ善も急げというかみんなで改装室へと向かうとするか。もう明石も待ちくたびれているだろうしな」
「「「了解」」」

私達はそれで一同で揃って改装室へと足を運んでいった。
そして案の定待っていてくれたのか、

「あ! 提督、待ってましたよ。さ、満潮ちゃん、改装室はもう準備万端だからいつでも入っていいよ!」
「分かったわ。司令官……」
「ん……なんだ?」
「行ってくるわね」
「ああ。行って来い」

最後に好戦的な笑みを浮かべた満潮は改装室へと入っていった。
妖精さん達の準備が整うまで私達は雑談をしていた。

「そう言えば……朝潮、それに荒潮に大潮」
「はい、なんでしょうか?」
「あら~? なぁに……?」
「なんでしょうか?」
「うん。以前にあの秋刀魚漁での報酬でもらった大漁旗なんだけどな。明日に新規書下ろしでまた贈られてくるらしいから楽しみにしておいてくれ」

私がそう話すと三人とも、

「「「やっぱり!」」」

と、口を揃えていた。

「やはり見栄えが少し悪かったと思ったんですよ。満潮だけ改のままだったのは……」
「そうねぇ~」
「だったら嬉しいです! 大潮も気分がアゲアゲですよ!」

三人とも気持ちは一緒だったらしく大漁旗の話で気分も上がってきたようだ。
そんな時に明石の声が聞こえてきた。

「提督! 準備が整いました! いつでもどうぞ!」
「わかったー!……それじゃ押すとしようか。いいか、みんな?」
「「「うん……!」」」

全員の頷きを確認して私は改装ボタンを押した。
そしていつも通りに改装室の中から光が漏れてきて満潮の第二次改装が始まった。
全員は固唾を飲みながらもそれを見守っている。
そして……、改装室の扉が開かれてそこから朝潮型の改二特有の制服を着こんでチャームポイントの緑のリボンを付けていて少し背も伸びたような感じがした成長した満潮の姿がそこにあった。

「悪夢を乗り越えて、真の力を発揮した満潮の力を見せてあげるわ! レイテでもスリガオでもなんでもかかって来なさい!」

そう宣言した満潮は力強い笑みを浮かべているのであった。

「満潮……立派になって。この扶桑、嬉しいわ……」

この中で一番の年長者である扶桑がホロリと涙を流して満潮の成長を喜んでいた。
それからみんなが揃って満潮を囲んでいたので、

「よかったな、満潮……」

ただ一言そう言ってあげた。
囲まれている満潮は素直な笑顔を浮かべているのであった。
きっと今度もうまくいくはずさ。だから私がみんなを導かないとな。


 
 

 
後書き
記念すべき200話達成です。
この話数で満潮が改二になるのはなにかしらの縁を感じますねー。



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