ドリトル先生と春の花達
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第二幕その八
「百合や菖蒲、菫そして何といってもね」
「紫陽花だね」
「あのお花も凄く奇麗よね」
「赤からピンク、紫、水色、青になっていって」
「色が凄く奇麗よね」
「何といっても」
「そうだね、本当にね」
先生は顔を綻ばせて皆に言いました。
「だから日本人は桜を今からの一時期でもいいんだ」
「他のお花も楽しめるから」
「そうした心があるから」
「四季の全てを楽しめるから」
「桜をいつも見ようとしないんだ」
「それに夏や秋に桜が咲いても」
そうした季節にというのです。
「風情に合わないからね」
「あっ、確かに」
「日本のそうした季節に花が合わないね」
「その時の気候にね」
「どうにもね」
「そうだね、日本人もそのことがわかっているから」
もう最初からというのです。
「だからなんだ」
「それでなんだ」
「もう最初からだね」
「桜を一年中見ようとしない」
「そうしているんだ」
「そうだよ、日本人は確かに桜が大好きだけれど」
それでもというのです。
「それだけじゃないからね」
「ううん、凄いね」
「日本人の四季の楽しみ方は違うね」
「広いよ、とても」
「しかも大きいわ」
「あの広さと大きさこそがね」
まさにというのです。
「日本人の真骨頂だろうね」
「どの四季の全てもあらゆるお花も愛せる」
「桜は大好きだけれど桜が全てじゃない」
「それがだね」
「日本人だね」
「僕も日本に来て肌でわかったよ」
まさにそうなったというのです。
「いや、本当にいいよ」
「ううん、じゃあ僕達もだね」
「日本のそのことを知っていくんだね」
「あらためて」
「そうしていくんだね」
「そうだよ、もっとね」
先生は皆に微笑んでさらにお話しました。
「皆で楽しみながらね」
「知っていくんだね」
「そうしていくべきだね」
「今は」
「そうあるべきだね」
「是非ね、僕もまだまだだよ」
それこそというのです、先生もまた。
「日本についての学問が足りないよ」
「先生でもなんだ」
「学問が足りないんだ」
「先生みたいに日本を深く広く知っている人でも」
「まだまだなんだね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「もっと知りたいね、だからこそね」
「うん、皆で学んでいこう」
「それも楽しく」
「日本のことをね」
「学んでいこうね」
こうしたことを皆とお話したのでした、そしてです。
先生は論文をさらに書いていきました、それでまた一つ論文を書きましたがそれでさらにでした。
次の論文を書きはじめます、そこで皆は新たな論文を書く用意に入った先生に対して尋ねました。
「今度の論文は何?」
「何についての論文なの?」
「先生色々な論文書くからね」
「今度は何の論文なのかしら」
「数学だよ」
そちらの論文だというのです。
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