GS美神他、小ネタ集
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星海の七夕2002 7/7
「……と言う訳で、ナヘーヌ(地上世界)では一年に一度だけ、牽牛と織姫が出会えるって言うロマンチックな話なんだ」
アーブ以外の地上の神話を話し、文化の違いを説明するジント。
「そうか、ナヘーヌにもタナボタはあるのか」
「…僕達の世界ではタナバタと言うんだけどね」
日本や中国の文化が残る世界では、西暦、旧暦、アーブ暦を問わず、七夕が存在していた。
「同じベガとアルタイルの神話ですか、比較文化人類学的にも興味深いですね」
「アーブでは、男女別に子供達が同じ場所に向かって飛ぶ、伝統の儀式になっている」
「へえ、さすがに星海に暮らす民族だな、ちょっと現実的になってるんだ」
まるでモンゴルの子供が、小さい頃から馬を与えられるのと同じように、自分の力で飛べるようになるため、この日、各地でレースが行われるらしい。
「今年は子供の競技ではなく、ベガからアルタイルまで飛ぶ本戦に参加したい、そなたも力を貸して欲しい」
「え? 僕にできる事があるのかい? こんなフローシュも無い地上人が」
「いいから来るのだっ(ポッ)」
この競技に異性を誘うのは、特別な意味があったが、他の乗員のニヤ付きや、エクリュアの嫌な顔が何を意味するのかを知るのは、もっと後の事だった。
やがて七夕当日…
「さあ、あれが「年に一度だけ開く」と言われるソード(門)だ! 行くぞジント!」
そこは、ベガとアルタイルの間にある、地球から見て「白鳥座」と呼ばれる場所。
「あ、あれって! もしかしてブラックホー…」
「ゴール・プタロス!」
「うわあああああっ!」
次々とソードに突入する船達、アーブに残る七夕とは、地球の一部でこの日に行われた、「キャノンボールレース」 つまり、どのような手段を使ってでも、出発地点の東京から、北海道の湖のほとりに最初に到着した者が勝者となる違法なレース(信号と速度制限は当然無視)、を元にしていた?
「ぎゃぁあああああああああっ!」
その日、ナヘーヌの少年は、お空の星になった。
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