歌集｢春雪花｣

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　何ぞ思ふ

　　こづゑゆらせし

　　　ため息を

　つくや秋空

　　　　心くもりて

　厚い雲に覆われた空…この秋は雨が多く､憂鬱に思いて晩秋の景色を眺める…｡

　時折吹き荒ぶ風…まるで秋空が溜め息をついているように､木々の梢をざわつかせている…｡

　一体何を思っているのか…私も深い溜め息を洩らす…｡

　会いたい人に会えない…それだけで私の日々は､この見上げた秋空のように憂鬱なのだ…｡

　生きることが…愁いなのだ…｡

　寒々と

　　時雨打ちにし

　　　しのぶ草

　色も絶へだへ

　　　冬待ちにける

　空は時雨…冷たい雨が地を叩く…｡

　見れば…小さな裏庭の草は枯れ､色もなく閑散としている…｡

　誰も顧みないただの雑草…私もいつか､この雑草のように…虚しく逝くのだろうか…｡

　彼に会うこともなく…愛されることもなく…｡

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