GS美神他、小ネタ集
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
つのつのにほん
これは昨日70円で買ってきた4巻を見て、「きょうぢゅ」さんの角萌えSSを思い出して書いてみました、元ネタもご覧になって下さい。
ある日…
「あの、横島さん」
「何ですか? 小竜姫様」
「最近、角が伸びてしまったので、短く刈りたいんですけど、お願いできませんか?」
「ええ、でもどうやって?」
初登場の頃、角の長さが20センチはあった小竜姫だが、妙神山で横島の影法師に逆鱗を触られて、施設を自分で破壊して以来。 竜の本性が出過ぎないよう、頭から10センチ程度、竜にとっては坊主に近い所まで切って反省していた。
「私の角も霊体ですから、霊刀で切って頂くといいと思います。 でなければこの神剣で」
「うわっ、頭に近すぎますよ、刀は駄目ですっ! ちょっと待って下さい」
ハンズオブグローリーを調整し、金ノコ状に短く変形させる器用な横島。
「こ、これで大丈夫だと思います、どの辺りで切りましょうか?」
「では… 付け根から5センチぐらいでお願いします」
それは今までで最短、髪の毛で隠せるほどの長さだった。
「準備はいいですか…?」
「はいっ」
服の上に薄いビニールシートを被り、周囲の髪の毛をヘアピンで止めて、左の角を露出させている小竜姫。 気合十分である。
「(ゴクッ)じゃあ、行きます」
「はいっ」
霊ノコギリ?が当てられ、ゆっくりと前後に動き始める。
ギーーコ、ギーー-コ
「ひいいっ!」
「あっ! 痛かったですかっ?」
悲鳴を上げた小竜姫に驚き、慌てて霊ノコギリを離す。
「いえ、痛いんじゃなくて、くすぐったいと言うか… 頭に響くんです」
以前のように、頭蓋骨から20センチも離れていて、その先も枝毛ならぬ枝角だけ切っていれば良かった頃と違い。 頭に近付くほど振動が伝わり、まるで歯医者で前歯の裏側の歯垢を削られているような、むず痒く、気味の悪い感触を味わった小竜姫。
「じゃあ、前はどうやって切ってたんですか?」
「それは…… ふふっ、こうやってですねぇ、剣を構えて上から逆に振り下ろして一刀の元に切り落としっ! 自分の肩を切り裂かないよう、寸止めしていたんですよ… うふふふふふっ……」
角を切り落とす姿勢を、目の前で再現し、とっても危ない目付きで解説されてしまう…
「うわーーっ、アブねえっ! よくそんな事できましたねっ」
「ええ…… 妙神山で貴方の影法師にイタズラされて… 竜化して自分で施設を壊してしまってからは… もう二度と同じ過ちを繰り返すまいと、自分を戒めるためにも、敢えてそうして来ました」
ビクウッ!
美神令子のような欲の塊にまで弱みを握られてしまい。 そこまで思い詰める原因になったのが自分だったと知って、この状況を何とかしなければ、本当に命が危ないと悟る横島。
「こっ、これからは俺にやらせて下さいっ、お願いしますっ!」
「ええ… 是非」
その願い出に、血走って座った目で答える小竜姫。
「どうしましょう? やり方を変えますか?」
「いえ、そのまま続けて下さい、少し動くスピードを上げれば耐えられると思います」
そう言うと、手近にあったタオルを咥え、振動に備えて歯を食いしばる。
「そ、そうですか? じゃあ、続けますよ。 我慢できなかったら言って下さい」
「ふぁい(はい)」
シャーーーッ、シューーーーッ、シャーーーッ、シューーーーッ
今度は霊ノコギリのスピードを速め、少しでも振動が少なくなるよう努力する横島。
「どうですか? 大丈夫ですかっ?」
「ふ~~~~っ! は~~~~~~っ! ふ~~~~っ! は~~~~~~っ!」
息を荒げながらも、頷く小竜姫を見て作業を続けようとするが、その憤怒の表情が怖すぎて、後ろに回って角を持ち変える。 右利きの横島の場合、最初からこの方がノコギリの角度も安定していたのである。
シャーーーッ、コーーーーッ、シャーーーッ、コーーーーッ
「ふううっ! ほふうううっ!」
ガクガクと体を揺らし、椅子の肘掛を握り潰しながら、奇妙な感覚に耐える小竜姫。
シャーーーッ、コーーーーッ、キーーーーーッ
「うむうううううっ!!」
バキバキバキッ!
ついに握り潰され、圧壊した肘掛。 厚みが変わって中心に近付いた所で共振し始めたらしい。
「あっ! すいませんっ! 大丈夫ですか?」
「ふーーーっ! ふーーーっ! ふーーーっ!(コクリ)」
「じゃあ、端から切りなおしますね」
木や金属を切る時、熟練者以外は端から切って行き、切りにくくなると、別の端に移ったり、また中心に戻って切って行く。
シャーーーッ、コーーーーッ、シャーーーッ、コーーーーッ、シャーーーーーッ、コーーーーッ…………
そして大抵の場合、両端の接続は上手く行かない(笑)。
キュィーーーーーッ、クキィーーーーーーッ
「いやあああああああああああっ!! もうだめえええええええっ!!」
仏の顔も三度まで、神にも耐えられる感触に限度があった。 この場合、最後の「クキーー」は、黒板を爪で引っ掻いたような音と、その爪の感触が脳髄にまで達したような、常人には到底耐えられない物だったらしい。
ドタドタドタドタドタッ!
その大音響の警報で、警備の魔物達がガチャガチャと近づいてくる音が聞こえ、横島は「面倒な事になった」と思い始めた。(ウィ*ードリー)
「何してるでちゅかっ! ポチーーーーッ!!」
「横島さんっ! 小竜姫様に何したんですかっ」
「先生っ! 酷いでござるっ!」
「散髪?」
「つのだーーーっ」
「途中まで切れてるのねーー」
正気を取り戻すまでに全員に見られ、半分白目をむいたまま、晒し者になっている小竜姫。
「アッテンションッ!!」
ビクッ!
真打ちが登場し、全員の動きと私語が止まった。
「この場にいていいのは戦士のみ!! 失せろ民間人っ!」
「「「「「「「イエッサー!」」」」」」」
ドタドタドタッ!
教育が行き届いているのか、お子様や非戦闘員は別室に退去した。
「現状報告っ!」
「はっ! 本日フタマルマルマル時、自分は角の切断を依頼され、任務を遂行中でありましたっ!」
すでに軍隊用語で、指揮官に報告する二等兵。
「ヒャクメ」
「小竜姫の角の散髪なのねーー。 でもノコギリとかヤスリで切ると、頭に響くからとっても気持ち悪いのねー」
まだアッチの世界から帰還しない小竜姫に代わり、顧問のヒャクメが解説した。
「貴様っ! それを知っていたのか?」
「はっ、以前はご自分で剣で切り落としていたとお聞きし、あまりにも危険なので自分が代行しましたが、隠密行動には失敗しましたっ!」
「馬鹿者っ、歯を食いしばれっ!」
「はいっ!」
バキッ!
鉄拳制裁で精神が注入された。
「無事かっ? 傷は浅いぞっ!(ビシッビシッ!)」
戦友の頬を叩き、正気に戻そうとするが、よほど精神的ダメージが強かったのか、回復には時間を要した。
「駄目だな… どんな状況なのだ?」
「例えばねーー、貴方の牙にノコギリを当てて、キーコキーコしてる間は耐えられてもねーー。 固い所に当たって「キーーーーーッ」ってなったら我慢できないでしょー? 多分そこで壊れちゃったのねーーー」
「うっ! 何て酷い拷問だ、羽根を切断された方がまだましだぞ」
想像しただけでも鳥肌が立ち、牙を押さえるワルQ隊長。
「貴様っ! そんな濃厚なプレイをしていたのかっ!」
「いえっ、これは竜化した時の被害を最小限に押さえるための苦行だとお聞きしましたっ!」
「くっ! 見上げた根性だ、ではせめて苦痛の無いよう切断してやろう、戦場でも手足を切断する例はいくらでもあるっ! 覚悟はいいなっ小竜姫?」
「へ…?」
ドスウッ!
やっと現世に帰ってきた時、鳩尾に「軍隊式麻酔」が施され、再び別世界の住人となった。
「切断手術を開始するっ! テーブルの上に乗せろっ、グーラー、首を90度に固定しろっ、ヒャクメは手を押さえておけっ、パピリオは足をっ!」
「「「了解っ!」」」
ボキボキッ、ゴキッ!
もし切られても、比較的被害が少ないグーラーが首を担当した。 さらに隊長が上に乗ってニーベルンゲンの指輪を盾に変形させ、頭の上に乗せてカバーする。
「さあ、こんな物は一気に切断してやるのが一番苦痛が少ないっ、貴様の霊刀の切れ味を見せてみろっ!」
「イエッサー!」
シャキーーン!
糸のように研ぎ澄まされた霊刀が出現し、盾からはみ出した角の上に構えられる。
「頭はガードしてあるっ、盾の縁をかすめるつもりで切り落とせっ! 行くぞっ、スリー、ツー、ワンー、ゴーーー!!」
ザシュウウウッ!!
「よしっ! 成功っ! もう一本だっ、髪の毛を掴んで逆に固定っ!」
「「「了解っ!」」」
ボキボキボキッ、ゴキッ! ゴキン!
「もう一度来いっ、スリー、ツー」
「ち、ちょっと、どうなってるんです? 何してるんですかっ? これはっ?」
「麻酔が浅かったかっ、動くな小竜姫っ! 残りは一本だっ、グーラーっ、しっかり髪の毛を掴んでおけっ、スリー、ツー、ワンー、ゴーーー!!」
ザシュウウウッ!!
「いやああああああああああああああああああああああああああっ!!!」
何が起こっているか分からないまま、真っ暗な中で、自分の角が切り落とされる音と、耳の横を撫でるように通過した霊波刀の音を聞き、壮絶な悲鳴を上げる小竜姫。
子供達や民間人達は、その悲鳴を防空頭巾を押さえて塞ぎ、全員で抱き合うようにして爆撃が終わるのを待っていた。
「よしっ! 手術は成功だっ、ん? どうした小竜姫っ、おーーーいっ!」
戦友は翌朝まで帰って来なかった… 罰として二等兵は隊長の「上」で腕立て三百回。 民間人達は隊長の号令?で明け方まで眠れなかったと言われている……
「次からは我々に言え」
「絶対に嫌ですっ」
翌朝、首を寝違えて、さらに右の角を「深爪?」した小竜姫が痛む角と首を押さえながら、隊長に毒づいていた。
ページ上へ戻る