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詩集「棘」

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暮れゆく秋に黄昏て



秋の虫は恋を歌い
公園の木々は衣を替えて…

流れゆく刻を悲しみ
振り返った道には何もなく…
いずれ訪れる絶望を
ただ一人…待つだけで…

暮れゆく秋に黄昏て
君のいない街は幻…
たとえ今を遣り過ごそうと
寂しい明日を繰り返す…
なぜ生きるのかと問う日々に
いつかはきっと砕け散る…


風に香る金木犀
遥か遠い記憶を垣間見せ…

逢えもせず辛さを抱き
夢の中でさえ溜め息をつく…
そよぐコスモスは人知れず
秋を染めて散ってゆく…

暮れゆく秋に黄昏て
君のいない四季は移ろい…
求めて得られる筈もなく
願う虚しさ堪えられず…
歪んだ世界に頽れて
いつかは一人 消えてゆく…


暮れゆく秋の小夜更けて
君のいない今に嘆いて…
月影さえ見えない空に
祈ったところで意味もなく…

暮れゆく秋に黄昏て
君のいない街は幻…
たとえ今を遣り過ごそうと
寂しい明日が待つだけで…
君に逢えないこの日々を
いつか優しく振り返る…



 
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