八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百二十五話 秋田の思い出その九
「他の部活もね」
「やってみたらなのね」
「いいよ、どっちかにしろっていう人も殆どいないし」
掛け持ちが多くてだ、しかしどっちかにしろとか部活に行けとか言う人間程部活をさぼっていたりする。お昼に話した他人の出席簿を改竄した奴はこのことでも評判が悪い。
「先生もね」
「それはいいっていうのね」
「部活は楽しむものってね」
「そうした考えなのね」
「この学園じゃね」
全国大会に出ている部活も多いけれどだ。
「楽しんで怪我をしない様にしてね」
「そうしてするものなのね」
「顧問の先生がやれとか言って締め付けたり暴力振るったりするのは」
それこそだ。
「楽しくないからね」
「そうした部活で何をしても」
「うん、楽しい筈がないよ」
それこそだ。
「そんなところだと」
「そういうことだから」
「そう、うちの学園はそうした方針じゃないから」
どの部活でもだ。
「掛け持ちをしてもいいしね」
「楽しくなのね」
「そうしているから」
「じゃあ考えてみるわ」
「うん、部活はあと一年位しか出来ないけれど」
普通の学園なら夏休みに入る頃には引退だ、けれどうちの学園は大抵夏休みが終わっても先輩達は部活にいる。これは僕おいるバスケ部も同じだ。
「それでもね」
「その一年の間ね」
「楽しんでいけばいいから」
「じゃあ前向きに考えていくわ」
「そうしてね」
「掛け持ちしていましても」
小夜子さんが言ってきた、この人がまさにその掛け持ちだ。
「それでもどの部活も楽しめますよ」
「小夜子もそうしてるのね」
「はい、茶道も華道も日舞も」
そのどれもをというのだ。
「そうさせてもらっています」
「じゃあ何かもう一つ」
「入られることをですね」
「そうするわね」
僕に対したのと同じ返事だった、そして。
その返事の後でだ、詩織さんはこんなことを言った。
「かるた部とかいいかしら」
「かるた部ですか」
「ふと思ったけれど」
「文化系にされますか」
「今入ってるのはテニス部だしね」
「体育会系だからですか」
「もう一つの部活はね」
体育会系のテニス部とは趣向を変えてというのだ。
「そっちにしようかしら」
「かるた部っていうと」
僕は詩織さんの話を聞いてだ、詩織さんにその部活のことを話した。
「結構面白い娘達がいるよ」
「面白い?」
「同じ二年生の商業科の娘達でね」
「どんな娘達なの?」
「一人は商店街の食堂の娘さんで」
そしてもう一人のことも話した。
「もう一人の娘は別の商店街のパン屋さんの娘さんなんだ」
「この町商店街二つあるけれど」
「そう、それぞれの娘さんなんだ」
「そうだったの」
「うん、それでずっと同じ学校で」
何でも校区が同じとのことだ、商店街は別でも。
「今もそうなんだ」
「それでその娘達が面白いの」
「一人がお母さん気質で」
食堂の娘さんの方だ、それで女の子達からはおかんとか言われている。ただ外見は普通に可愛くてお母さんみたいではない。
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