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魔法少女リリカルなのはエトランゼ(異邦人) 再構築

作者:南條 綾
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7部 中学生編
6章 エトランゼ2
  最初のレリック事件2

 ヴィータとシグナムは久しぶりの任務だなという話をしていた。

「あたしとシャマルは本局付きでシグナムはミッドの地上部隊。
ザフィーラはもっぱらはやてかシャマルの護衛。
アインスは家で主婦業っとま、家に帰れば顔を合わせるしあんま関係ねーけどな」

「緊急任務がない限り休暇には皆揃うしな」

「そうだな。それがなにより幸いだ」

「しかし来年には引越しか、海鳴のじーちゃん、ばーちゃんともお別れだな…」

「住所が変わるだけで別れではなかろう。会いたいと思えばまた会える」

「ちょっと間が開いたら変身魔法を使わねぇと会えねぇな。育たねぇから心配されるし…。年齢だけならじーちゃん達より年上なんだけどな」

「違いない」

 そこにシャマルが話しかけてきた。

「あらーじゃぁ私がちゃんと調整して可愛く育った外見に変身させてあげるわよ」

「…いい。自分でやる」

「私達は当分は服装や髪型程度でごまかせるしな」

「ザフィーラはいいよな。犬だし」

「…狼だ」

「…それにしても、ミッドへのお引越しは色々と不安が多いのよ。」

「「そのへんはお前とアインスに任せた」」

 シグナムとヴィータはシャマルとこの場にいないリーンフォースアインスに丸投げした。
綾が聞いていればこれも適材適所っていうやつだなと言っていただろう

「むっ…?」

 そこでザフィーラがなにかを察知した。

「ザフィーラ? どーした?」

「森が動いた…座標を伝える。シャマル、調べてくれ」

「うんっ!」

 それですぐにシャーリーが分析して、

『こちら観測基地! 先ほどと同系統と思われる機械兵器を確認! 地上付近で低空飛行しながら北西に移動中。
高々度飛行能力があるかどうかは不明ですが護送隊の進行方向に向かっているようです!
狙いは……やはりロストロギアなのではないでしょうか?』

「そう考えるのが妥当だな。主はやてとテスタロッサ、なのはに綾の四人が揃って機械兵器ごときに不覚を取ることは万にひとつもないだろうが…」

「運んでいるものがアレだものね…、こっちで叩きましょう!」

「ああ」

 それでまだ険しい目つきをしているヴィータの背中をシグナムは叩き、

「観測基地! 守護騎士二名。シグナムとヴィータで迎え撃つ!」

「…あに勝手に決めてんだよ?」

「なんだ…? 将の決定に不服があるのか?」

「…ねーけどよぉ」

ヴィータは少し拗ねた感じだった。

「こっちは二人で大丈夫よ」

「危険あらば駆けつける」

 シャマルとザフィーラは二人で大丈夫だという。

「守るべき者を守るのが騎士の務めだ。行くぞ、その務めを果たしにだ」

「しゃーねぇーなっ!」

「というわけです。主はやて。邪魔者は地上付近で我々が撃墜します………テスタロッサ、手出しは無用だぞ?」

『はい…わかっています。シグナム』

「なのは! おめーもだぞ!」

『はぁい! 片手はロストロギアで塞がってるしね』

『私の手を煩わせないでね』

「綾てめぇ」

『何?』

「こんなのすぐにぶっ飛ばしてやらぁ」

「期待してる」

『2人共おーきにな…気ぃつけて』

「はい」

「おう」

 そこでフェイトからAMFについて話されるが、

「テスタロッサ。貴様、誰に物を言っている? おのが信ずる武器を手にあらゆる害悪を貫き敵を打ち砕くのがベルカの騎士だ」

「魔導師共みてーにゴチャゴチャやんねーでもストレートにブッ叩くだけでブチ抜けんだよ! リインもあたしの活躍をしっかりと見てろよ!」

『はいです、ヴィータちゃん!』

「出撃!」

「「おう!」」

 それでシグナム、ヴィータ、は空を駆けていった。

『機械兵器移動ルート変わらず!』

『あまり賢くはないようですね』

『特定の反応を追尾して攻撃範囲にいるものを攻撃するのみのようです。ですが対航空戦能力は未確認です。お気を付けて!』

 その通信を三人は聞き流し程度に聞き、

「未確認アンノウンなのはいつものことだ。問題ない」

「………」

 それでヴィータはまたあの日を思い出す。
あいつらも未確認だったと。
それも同じくAMFを展開した憎い奴ら。
だからもう手加減はしない。
そう意気込む。
シグナムはシュランゲフォルムを展開し、ヴィータはグラーフアイゼンを力づくで振り回し、
それによってあっという間に機械兵器達を屠っていく。
それを画面越しで見ていたクロノとエイミィは、

「シグナムとヴィータすごいね。未確認だとしても歯牙にもかけない。
合流地点までもうすぐだしそろそろアースラも回収の準備をしておこうか。…ん? どしたの、クロノ君。難しい顔をして…」

「………ああ、この後のことを考えていた」

「あと?」

 そしてなのは達はその映像を見ながら、

「はやて、特別捜査官としてはどう見るの? 今回のこと」

「んん? あのサイズでAMF発生兵器が多数存在してるゆーんは一番怖いなー。
今回この世界に出現してるんが全部であって欲しいけど…そうでないなら規模の大きな事件に発展する可能性もある。特に量産が可能だったりするとなー。
執務官と教導官の2人はどないやろうか?」

「…私はあの 未確認アンノウンがロストロギアを狙うように設定されているのが気になるかな?
猟犬がいるってことはその後ろに狩人がいるってことだもんね」

「…ロストロギアを狙う犯罪者ね。」

「そう。技術者型の広域犯罪者が一番危険だから」

「私も同意見や。技術者型は魔術師と似たような考えだから大々的に自身の力を誇示したいと思うやつもいるやろうし、なにか企みがあるかもしれないからな」

同じようにクロノとエイミィもそんな会話をしていた。

「そういった事件になると管理局でも対応できる部隊はどれくらいあるか…?
人や人材が揃ったとして動き出せるまでどれくらいかかるのか、そんな状況を想像すると苦い顔になるさ」

「なるほど…指揮官の頭の痛いとこだね」

「はやても指揮官研修の最中だからな。一緒に頭を悩ませることになる」

『シグナムさん、ヴィータさん、未確認撃破! 護送隊と合流です!』

 画面の向こうではシグナム達となのは達が合流する映像が映し出される。

「まぁ、今回の事件資料と残骸サンプルはそのテの準備の貴重な交渉材料でしょ。事件がどう転ぶのかわかんないのなんていつものことだし」

「それはそうなんだが…」

「なんとかなるよ。『P・T事件』も『闇の書事件』もその他の色々な事件もみんなでなんとかしてきてるんだもの。
今日はきっちり任務を済ませて予定通りに同窓会! 笑顔で迎えてあげようよ!」

「そうだな」

 それでクロノは苦笑する。



『こちら護送隊、全員無事に転送ポートに到着!』

「こちらアースラ。転送了解!
観測基地の二人もナビとサポートご苦労さま。そちらの任務は無事終了!」

『ありがとうございます』

『さて、転送処理開始! 食事の準備してあるからねー。最後まで気を抜かずに戻ってきて!』

「はぁい!」

 それで全員はアースラに入るとレクリエーションルームに向かうのだった。
クロノとヴェロッサが話をしているがここでは割愛する。
そこではリンディ、リーンフォースアインスが食事の準備をしていた。

「おおー! すごいですねぇ」

「肉がある!」

「こんなに用意されていたんですね」

「そりゃこれから大勢来ますからね」

 エイミィ達が驚く。
そこには何人前だ!? とツッコミがきそうなほどの料理の数々が置かれていたのだ。
当然調理したのはリンディとアインス

「三分の一くらいはアコース君からの差し入れよ。任務を終えたエース達に…ですって」

「艦長…じゃなかった。リンディさんやアインスさんもすみません」

エイミィが感謝を込めて伝えていた

「ふふ、いいのよ。私も艦を降りてからは平穏な内勤職員だもん。子供達のお世話をしてあげたいしね。っと…言ってるそばから」

「来たみたいですね」

「ただいま戻りました!」

 ドアが開かれて綾達が中に入ってきて一気に騒がしくなる部屋。

「おかえりー」

「おつかれー」

「フェイト♪」

 まずリンディとエイミィ、アルフが話しかける。

「すごい量。よく短時間でここまで作ったもんですね」

「この辺はアコース君からのものも多いわ」

「ロッサ、来てるんですか?」

「クロノ君と一緒に本局まで護送だって」

「それは残念。ヴェロッサに久しぶりに会う機会だったんですけど…」

「お疲れ様です、母さん」

「うん」

「ユーノ君三日ぶり!」

「うん、なのは」

「ロッサもクロノ君と一緒なら会いに行ってもお邪魔かなぁ?」

「あの二人は仲良しさんですものね」

 やはりこの人数では騒がしいのはしょがない。
エイミィが通信を開き、

「アースラ本局直通転送ポイントに到着。クロノ君とアコース査察官転送室から無事出立!…というわけでみんなは安心して食事を楽しんでねー」

 それで元気よく返事を返すなのは達。
それからというものそれぞれ任務終了のお疲れ会的な流れになりそれぞれ食事を始める。
そこでリインが聞きたいことがあるらしくなのはに質問をしていた。

「なのはさん達が所属している『戦技教導隊』ってよく考えたらリインは漠然としか知らないんですが、やっぱり教官さん達の部隊なんですか?」

「あぁそれ私も気になっていた」

「綾ちゃんもですか」

「教えて導くと書いて教導だからね」

「んー、一般イメージでの『教官』は教育隊の方かな…?」

 なのはがそう一言。

「私達戦技教導隊のお仕事は魔導師用の新型装備や戦闘技術をテストしたり、そうね。他には最先端の戦闘技術を作り出したり研究したり、それから訓練部隊の仮想敵として演習の相手、想定される敵の能力やシュミレーションするからいろんな飛び方や戦い方をするかな。後は、預かった部隊相手に短期集中してでの技能訓練…これが一番教官っぽいかな。私はこれが好き」

 なのははやっぱり訓練が好きだという。

「ま、端的に言えば要はあれだ。戦時のエースが戦争のない時に就く仕事だ。技術を腐らせず有用に使うためにな」

 ざっくばらんにシグナムがそうまとめた。

「うーん…シグナムさんのそれは、まぁそんな感じではあるんですが…。
でも、ウチの航空教導隊にもいろんな年齢や経歴の人がいるんですけどみんな飛ぶのが好きなんですよね」

 なのはが語る。

「空を飛ぶのが好きで一緒に飛ぶ人や帰り着く地上が好きで、だから自分の技術や力で自分の好きな空と地上を守りたいって…そういう思いはみんな一緒なの」

「なのはがずっと憧れていた舞台だものね」

「夢はまだまだこれからだけどね! 」

「勉強になりました。ありがとうございます。なのはさん!」

「うん」

 そこでフェイトがユーノに話をする。

「なのはは本当に嬉しそうだけどユーノはやっぱり心配でしょ? あの事件のあと、私達は付きっきりだったし…」

「うん…。心配は心配だけどなのはが空を初めて飛んだ時からなんとなく思っていたんだ。なのはには他のどんな場所より青い空がよく似合うって…」

 それでヴィータとフェイトはなにか感じたのか一緒になっていい顔になる。

「そういやフェイトまた孤児院に行っているの」

「うん。私の事件で知り合った子たちの今後を知りたくてね」

「そうか。フェイトちゃんが専門のロストロギアの私的利用とか違法研究の捜査とかだと子供が巻き込まれる事多いからな」

「…うん。悲しいことなんだけどね。特に強い魔力や先天資質のある子供は…」

「だからお前はそれを救って回っているのだろう」

「そーだよ」

 シグナムがフェイトに質問をしていた。

「子供が自由に未来を見られない世界は大人も寂しいですからね」

「そう言う意味ではお前は執務官になれてよかったのだろうな。試験に二度も落ちた時はもう駄目かと思ったが…」

「あぅ………! シグナム! あなたはそうやって事あるごとに…写真見せてあげませんよ!」

「し、試験の時は私が色々と心配かけたりしましたから…」

 なのはが萎縮してそう語る。
確かにあの時は色々と重なっていた時期だったとみんなは思う。

「その点はやてさんはすごいわよね」

「上級キャリア試験に一発合格!」

「ふぇ…私はそのタイミングとか色々と運が良かっただけですからー。 希少技能レアスキル持ちの特例もありましたし」

「またまたぁ」

 エイミィがはやてをからかう。
かっこうの餌なのだろう。

「すごい勉強してましたもんね」

「あの時から試験と聞くともう心配で心配で」

「 希少技能レアスキル保有者とかスタンドアロンで優秀な魔導師は結局便利アイテム扱いやからなー。適材が適所に配置されるとは限らへん」

「はやてとヴォルケンズの悩みどころだな」

「でも、はやてちゃんの目標通り部隊指揮官になれば…」

「そのための研修も受けてるじゃない」

「準備と計画はしてるんやけどなー。まだ当分は特別捜査官としていろんな部署を渡り鳥や」

「でも経験や経歴を積んだり人脈作りができるのは良いことですよね」

「まぁ確かに」

「陸上部隊は海や空と違って部隊ごとの縄張り意識みたいなんも強いしそのへん肌で感じてみるといい………ってクロノ君も教えてくれたしな。
まぁ、部隊指揮官はなったらなったで大変そーやしどこかで腰据えて落ち着けたらそれはそれで………ゆー感じやね。


 クロノとヴェロッサは本局の廊下を歩きながら、

「ところでクロノ君。君から見てどうだい? 君が見守ってきたエース達は」

「………なのはやはやて、フェイトの事か? 今更僕が語るまでもないよ。それぞれ優秀だよ綾に限っては僕が見守っていたわけではないが」

「しかし4人ともまるで申し合わせたように技能と能力がバラけているね。
希少技能レアスキルと固有先力を持って支援特化型で指揮能力も持つ八神はやて特別捜査官。
法務と事件捜査担当。多様な魔法と高い戦闘力で単身でも動けるフェイト・T・ハラオウン執務官。
部隊メンバーを鍛え育てることができてこと戦闘となれば単身でも集団戦闘でもあらゆる戦況を打破してみせる勝利の鍵高町なのは二等空尉
この世の一人しか使えない魔法を駆使し、一人で戦闘をひっくり返す戦闘能力を誇る南條綾嘱託魔導士
彼女は気まぐれに動くからジョーカーに近いのが怖いところ。
四人が揃えば世界の一つや二つ軽々と救ってみせてくれそうだなってさ。かの「三提督」の現役時代みたいに」

「まぁ夢物語ではあるがな。部隊の魔導師は保持制限があるしそれぞれの目的や進路もある。
だがまぁそれでも正直夢は見たくなる。しがらみとやるせない出来事と手を伸ばしても届かない苦しみばかりの仕事の中でも、あの四人なら光だけを掴んでくれそうに思っている」

「クロノ君はやっぱり優しいお兄ちゃんだねぇ」

「なんだ、それは…?」

 クロノとヴェロッサは笑いながら歩いて行った。
 
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