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魔法少女リリカルなのはエトランゼ(異邦人) 再構築

作者:南條 綾
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7部 中学生編
3章 夏休み突入
  綾ミッドに行く 葬式

 海鳴に帰ってきてから、あれからなのは達も忙しく当日まで会うことは無かった。
そして今日ミッドに行く当日。
ミッドに行くのは、俺、なのは、フェイトの仲良し3人組。

「そういえば、仕事以外でミッドにいったことってほとんどないかも」

「ミッドも良いところだよ、区画整備がしっかりしているけれどね」

「二人とも今日は何時に上がるの?」

「あれ見学は」

「今日はパス。見知らぬ土地に来たら探索しないといけないでしょ」

「なにそれ」

「あれ知らない?そうやってアリサとすずかと知り合えたんだから」

「でも綾ちゃんそれってトラブルも巻き込むって言わない」

「気のせい」

「もう話が進まないから、なのはも綾も20時にここに集合」

「フェイトが美味しいお店につれてってくれるの?」

「美味しいかはそれぞれだけど、良いお店だよ」

「わかった 楽しみにしてる。 二人とも行ってらっしゃい。お仕事頑張ってね」

 二人を見送って朝からクラナガンをぶらぶらしていたんだけど、
地球と変わらないんじゃないと思えてきた。
手塚先生の未来の感じを予想していたのに残念
やはり基本魔法を使うのに許可がいるらしい。
次元航空の船があるからてっきり道は少し中に浮いている車とかテレポーター施設がバリバリ有るところを想像したんだけど全く地球と文化レベルは同じみたい。

そろそろ時間になるから歩いていたらお葬式の看板
普段なら気にしていないのだが、ランスター家と書いてあり
ふっと小さく名前を見た瞬間動きが止まった。

『テーダ・ランスター』

 自分の目を疑った。
たぶん同姓同名の人だ。
信じたくなかったのだが、係の人に聞いたら本人だった。
俺は少しWCに行って喪服に着替えて、今18時だから間に合うはずと思って葬式に参加をした。
  
 ティーダ・ランスター執務官
俺がこの仕事を手伝って友人以外でスムーズにけりをつけれた人。
すごくやりやすかったのと執務官でもありエースだった人
俺がこの身長だからみんなごまかされ飲みに行ったあの日
この日完璧に近いと思っていた人はすごいシスコンだった。
あれはいいギャップで面白かった。

 記帳をして中に入った。
俺はこの人と2回ぐらいしか一緒に仕事していなかったが、
フェイトに紹介をしたかった。
クロノをお手本にすることは悪いわけではないが、
中々いい執務官ってのはいないことを知っている。
ペーパーテスト執務官も多い中、きちんと捜査ができる人がいないんだよね。
今日ここに来たのもフェイトにあわせようと思ったのもあった。

 流石に本局執務官と言うこともあり、結構な人数とまだあどけない少女が泣きそうなのを我慢していた。
俺は何を言っていいかわからずに焼香をしようとした時に、
そこで信じられないものを見た。
きっと上官なのだろう。
その上官が死者に対して暴言を吐いている。
無駄死にとか言っている。
確かに管理局の人間が、犯罪者を相手に後れを取り、
あまつさえ命を落とした。
本来ならばそれは絶対にあってはならないことだと思うが
このような場所で言うことではないと思う。
それも10歳かそこらの遺族の前で言うせりふ。
ありえないことだとだろう。
その子は必死になって涙をこらえて下を向いていた。
その男は言いたい放題言っていたが周囲も止めることはしない感じだったので俺は気にしずに中央を歩き近づいた。
周囲もその異様な場面で時が止まっている感じだった。

「最近の下種は人様の会話をするのは本当らしい。
聞いてると頭が腐るのでやめてもらえないかな」

 葬儀の会場に響きわたるぐらいの大声を発した。
その言葉を向けられた男がどういう立場の人間かをよく知っていた。
周囲の人間達は、あまりの出来事にしん、と静まり返った。

「部外者か」

「数回仕事をしたので部外者とはいえませんね」

「わしのことを知っているだろうが」

「生憎とカスな人間の名前を覚える趣味はないので」

 男の額にはっきりと青筋が浮かんでいた。

「小娘、所属と階級を言え」

「嘱託魔導師の綾 南條 綾ですよ」

 彼女の階級を聞いて、会場の人間はざわつき始めた。
彼らは皆、この男が一佐であることを知っていた。
軍隊色が強い管理局は上の言葉が絶対の風潮もあるから、
男の言ったことを聞き流すしかないのが普通なのに、
侮蔑の言葉を発しているので周囲も驚いている感じだった。

「嘱託の癖にわしに指図をするとは、そういえばその名聞いた記憶があるな。本局はいつから学生隊になったんだ」

 男の言葉が、引き攣るようにして途中で止まった。
ざわついていた周囲の人間達も、再びしんと静まり返る。
俺はその場を少し黙って聞いていた。

「ガキは大人の言うことを効いていればいいのだ」

「上官は選べないというのは本当らしいな」

 俺は少しだけ怒気を出しながら言葉にした。
男は俺の襟首をつかんで来たのでそれを受けた

「女性の襟首をつかむんじゃない。離していただけませんか?」

「黙れ! 貴様のような子供がいるから」

「奇遇だな私も同じことを思っていたよ。
殉職した人間を、葬儀の場で罵倒するような人がいるなんてびっくりだなぁ」

「貴様、私に楯突いてタダで済むと思うなよ」

「どうなるんですか?」

 俺は男の手を襟元からはずさせた。
ついに男の堪忍袋の緒が切れた。渾身の力が込められた男の拳が、俺の顔面を捉える。
思わず顔を背けたくなるような轟音。
誰もが俺が無様に吹っ飛ぶ様を想像したと思う。
彼は自分の足でしっかりとその場に立っていた。口の端に流れる血を拭いながら、男を気丈に睨み返している。
倒れない俺に、男はさらに激昂し拳を振り上げた。
それに対応し、俺はこぶしが届く前にその男を殴った。
先に聞いた轟音よりも、もっと異質な音が会場に響く。
男の意識は、一瞬で刈り取られたのだ。
大柄な身体は冗談のように吹っ飛び、ごろごろと床を転がってようやく止まった。

 周囲は何が起きたのか理解はしていなかったが、
最初に動き出したのは男の部下だった。
完全にノビている男に駆け寄り安否を確認すると、
上司の復讐を果たさんとばかりに視線を向けてきた。

 この段階になって、ようやく周囲の人間も慌て出した。
嘱託が佐官を殴り飛ばしたのだ。
そしてこの葬儀は故人の所属していた地上本部が取り仕切っている。
男の行動を最初から最後まで見ていた周囲の人間はどちらに追従したものか決めあぐねていた。
組織の人間としては男に味方するべきであるが、
最初に問題のある行動をしていたのは男であり、
手を挙げたのも男である。
綾自身は即座に対応したのではなく、一発は無抵抗に拳を喰らってから、反撃を開始した。
最終的に手を挙げたことに変わりはないが、一度は堪えたという事実は、周囲の人間が職場意識に従って拳を振り上げさせることを躊躇わせるには十分だった。

「前に進んで殉職した誇りある人を称えるのではなく、貶め辱めるなんてあったらならないこと。女のやわなパンチ一発で倒れるなんて訓練不足じゃないの。1発は1発だ」

 躊躇なく綾に味方する人間もいた。それまで拳を握るだけだった故人の同僚達が綾に掴みかかろうとする男の部下達に、
背後から奇襲をかけたのだ。後はもう、皆入り乱れての乱闘騒ぎである。
厳粛な場であるはずの葬儀会場での乱闘は騒ぎを聞きつけた警備の人間がやってくるまで続き、綾を始め多くの人間がしょっ引かれていった。

 綾は警官につれてかれる前に棺桶の前に立ち止まった

「今からティーダに暴言を言うことを許してほしい。
妹が嫁に行くまで死なないって言ってたじゃんか。
・・・執務官のくせに嘘つかないでよ、悔しかったらそこの棺桶から出てきなさい・・・ばか」

そういって綾はしょっ引かれた。

 綾はふと思い出したかのようにしょっ引かれながら思念波を送った。

《なのはごめん》

《何か起きたの?警備員が沢山向かっているけれど》

《理由があってしょっ引かれました。今日は2人で食事を取ってね》

《綾ちゃん・・・》

俺はそれっきり念波を閉じた。
また迷惑かけるな
少し自己嫌悪に陥った。 
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