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世界をめぐる、銀白の翼

作者:BTOKIJIN
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第六章 Perfect Breaker
  砲・撃・熾・烈


「そこに揃った六人は―――――!!!」より
BGM:水樹奈々「Sacred Force」


★☆★☆★



今までのあらすじ

突如として召喚されたライダー。

真名はクライド・ハラオウン。
所有する戦艦はエスティア。


大気圏外という規格外の遠距離召喚。


空を越えた宙の彼方より、時空を断つ砲撃が「EARTH」に向けて放たれる―――――!!





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「アルカンシェルの砲撃は、それ自体に攻撃力はない」

医務室に残ったショウが、心配そうな顔をするメンバーに静かに話し出す。


「あれは次元を・・・・空間を裂くエネルギーを、アホほど積んだのを発射して、それによって発生する次元断裂によって消失させる砲撃だ」

それは単純な攻撃力や破壊力ではない。
そうして発生した時空の狭間に物質を閉じこめ、そのまま世界から文字通り「消滅」させる砲撃だ。


「その威力は、大都市を一発で消滅させる。発射の際には可能性がある、って言う段階でも山ほどの書類にサインをかかなきゃならない。実際に撃つとなると、大騒ぎだ」


その話を聞き、その威力を知っていた物も知らない者も戦慄する。
だが、それを知って飛び出していった彼等ならば―――――


「まあ安心して空でも眺めてろ。あいつらなら止めるだろうさ」


そう言って、ショウが外を見やる。

そこに揃った六人は―――――!!!







「時間がない!!翼刀!!アルカンシェルの原理は解ったな!?」

「あ、はい!!でもマジでやる気ですか!?」

「やらなきゃ「EARTH」どころかこの街全部消えるぞ!!!」


もはや猶予はない。
さっきまでは目を凝らさねば見えなかった光は、すでに周囲の星よりも強い光を発しているほどまで成長していたのだから。


「アルカンシェルの砲撃は、そうはいっても小さな光が一発だ!!」

「相殺させるには、あっちが撃ったのを迎撃するってことか」

「こっちは限界までエネルギーをチャージする!!朱里!!相手のエネルギーは!!」

『映像から、発射まで推測一分を切ってます!!』



朱里からの報告を聞きながら、彼等は「砲台」を準備する。


翼刀が空に向けてヴァルクヴェインを突き出す。

その背に一刀、クラウドとが手を当て、その二人にそれぞれ理樹と観鈴が手を当てた。
そして理樹と観鈴の背に片手ずつ、蒔風の手が添えられた。


その準備をしているうちに、朱里からのリアルタイムの報告が流れ来る。


「オレらのエネルギーを、全て渡航力に変換して翼刀へと流す!!」

『エネルギー反応が止まりました!!』


「そいつでアルカンシェルを打ち消すぞ!!」

『アルカンシェル、発射!!!』


遥か天空の先にて、巨大な砲首からは見合わない小ささの光がキラリと光って放たれた。
それは周囲の大気を歪ませながら、地球の大気と接触する。


「あれは・・・・!!!」


上を見上げていた翼刀が、それを見た。

空が渦巻いている。
空気の流れが雲を引きずり、更に上空へと引きずり上げて行っていた。



「大丈夫か?」

「覚悟しろ・・・・直撃したら、あんなもんじゃない」

「・・・はい!!!」


光は対象に衝突するまで、その威力を発揮することはない。
しかし、停滞していた雲の高さまで飛来してきた瞬間、空に向かって渦巻いていた雲は一瞬にして消え去った。


今までは綿を引っ張っていたかのような形だった雲が、一瞬にして吸い込まれて消えたのだ。


そして、周囲の星とは違う赤い光が、翼刀たちの頭上に輝いた。



「赤星を狙って!!」

「全力で大丈夫!!私たちがサポートするから!!」

「ウッス!!解りました!!」


暴風が轟音を立て始めた。
周囲の空気が巻き上げられていき、大気が一点の星へと集束していく。


「翼刀!!行くぞ!!」

「はい!!」




「「「「「開翼!!!」」」」」

ドッ、バサァッ!!




「ヴァルクヴェイン、上方5°訂正!!」

「翼力を渡航力変換!!」

「ノイズ0.3%、行けるぞ!!」

「流し込め!!」


ドンッッ!!

「う、お・・・・!!!」

「押し込め、理樹、観鈴!!」

ズ・・・・ォオッ!!



『アルカンシェル、上空500メートル通過!!着弾まで20秒!!』



「カウント3!!」

「2!!」

「1!!」



「ッてェ!!!」

「発射ぁッッ!!!」

ドンッッッ!!!


蒔風の号令と共に、ヴァルクヴェインの先端から一筋のエネルギーが放たれていった。


それは発射の瞬間に300メートルの空間を一瞬にして飛び越え、紅き凶星と正面からぶつかりあった。





バッッ――――――!!!!!



ドンッッッ!!!!


全身に伸し掛かる衝撃。
それは弾き飛ばされてきた大気ではなく、押しやられてきた世界その物の重さ。

衝突しあった瞬間、互いの光は波状にエネルギーをまき散らしてそれを消費していく。



「グォォおおおおお!!!!」

翼刀はヴァルクヴェインを握って真っ直ぐに突き出している。
その先端からはエネルギーが放たれ続け、アルカンシェルのエネルギーを拡散させている。

対してアルカンシェルは単発式砲撃だ。
にもかかわらず、未だ衰えぬエネルギー。



「なん・・・だこれ・・・・!!!」

「あくまでオレらが使う渡航力は、人間を運んだりするための物だ!!」

「対してあれは、大都市一つを丸々消失させるだけのエネルギー!!」

「なんだ翼刀、今更泣き言か!?」


空が圧し掛かってくる。
その表現で何一つ間違っておらず、その表現しかできないほどの重圧。

そして、それは表現というどころではなくまるっきり現実。

圧し掛かってくるよう、ではない。


今、この六人は間違いなく落下する天空を支えているに等しいのだ。



「泣き言か・・・って?」

確かに、これは文句も言いたくなる威力だ。


だが―――――もし自分がそれを言う時があるなら―――――



それは!!!

「そんな時は、とっくの昔に終わってらァ!!!」

ブンッッッ!!!

剣を引く。
しかし、それは再び振るいだすために


「おォォおオオオオオオ!!!鉄流剣術応用!!破断剣―――――槍薙巳《ツナミ》!!!」


ドッ―――――ボゴァッッッ!!!


大きく振りかぶって、一回転してから再びヴァルクヴェインを突き出す。
それは、まるで神話のワンシーン。


世界を守護する者たちが、落下してくる天を支え、惜し返し、その紅き凶星を打ち砕く―――――!!!



「アぁぁぁアアアアアアア!!!」

その衝突点から放たれたエネルギーは、波状紋を空に描きながら世界中へと散っていく。
空を見上げれば、夜空に波が打ち、星の海がなびいているように見えるだろう。



しかし


「ォォおおおお・・・オオ・・・・ガぁァァアアアアアアアアアアああ!!!」

歯をかみしめ、恥も体裁もなく叫ぶ翼刀に対して、翼人たちは疲弊しすぎていた。
戦闘に参加していなかった一刀、観鈴はともかく、他の三人は少し回復した程度。

膝は笑いだし、腕が重くなって相手の背中から離れそうになる。




その光景をはっきりとみていたのは、医務室のモニターから状況を確認していたメンバーだ。


「だ、ダメだ!!やはりあの三人は限界だ!!!」

「他に渡航力を持つ者は!!あいつらのサポートに・・・・」

「やめろ」


騒ぎ出す医務室。
しかし、静かにそれをショウの一言が制した。

大きな声ではなかったが、皆の騒ぎがピタリと止まった。


「限界だっつったか?」

あれが?というように、ショウがモニターを指さす。
今にも膝は崩れそうだし、顎は下がり、腕は垂れ始めている。


誰がどこからどう見ても、それは


「あれ以上は危険すぎるだろ?」

「そう見えます?」

「あ、アリスまで?」

心配そうにするシグナムやはやてたち。
凩などは不死である自分が行った方がいい、と言う感じだが、それでも二人は



「いらん」

「ま、でしょうね」

そういって、彼等の手助けに行かない。

「あの状況に飛び込めば、邪魔以外の何物でもないです。そんなことをしたら、余計に危険でしょう」

そういって、起き上がろうとするなのはを押し込んで寝かせる。

ショウも、同じく立ち上がろうとする五代をデコピンで撃ち返し、入ってきてまた出ようとする津上を引きずりこんで、皮肉を込めた笑いでモニターをみた。




「ああ、確かに疲弊し切ってる。もうだめだろうなァ、あれは」

軽い口調でそう言い放つ。
しかし、その真意は違う。


「だがなぁ・・・あの程度の限界であいつらが膝ついて終わってくれるなら―――――」


モニターの中の蒔風が、ついに膝が崩れて倒れそうになる。
クラウドの腕が落ち、理樹の頭がガクリと倒れ―――――


ダンッッ!!
踏みとどまり

ガッッ!!
握りしめ

グンッッ!!
頭を上げた。



「―――――程度で終わる連中なら、オレはとうに世界を再構築していたさ」





「絞り出すぞ!!!」

「「「「オウッッ!!」」」」


「震え立つ勇気―――!!」

「繋がる絆を!!」

「溢れ出す、友情ッッ!!」

「愛を満たして・・・・」

「輝く希望を――――――この胸にッッ!!!!」


「「「「「大 開 翼!!!」」」」」


五つの光が天を突き、その奔流は一人の背へと託される。
全身に叩き込まれる膨大なエネルギーを、男は自らの技量と力の全てを使い果たす勢いで腕へ集結させる。



「負け るか よッッ・・・・翼刀ォ!!」

「ヴァルクヴェイン展開!!!」

ブワァァァアアア嗚呼ッッッ!!!!


放たれた刃が神剣を中心に花びらのように展開し、その切っ先はすべてアルカンシェルの光へと向けられる。

「華」の大きさは直径にして十メートル。
それが回転開始し、その刃一つ一つから、エネルギーが一気に吹き荒れ放たれていく―――――!!!



「分散させるからって甘えんなよ!!」

「行くぞ!!全部そのままの威力で―――――」

スゥッ

「「「「「「ブッ放せェッ!!!」」」」」」


ドンッッッッ!!!!


翼刀の鈍色を含め、六色のエネルギーが渦を巻いて天空を駆ける。
空に輝くただ一つの赤へと向かい、無数のエネルギーが空を覆い尽くす!!!



「こ」「れ」「でッッ!!!」

「終」「わ」「り―――――」

「ダァァァァアアアアアあッッッ!!!!」


一瞬にして周囲の花びらの切っ先が、ヴァルクヴェインの先端へと向けられた。
その切っ先に溜まった今までの数十倍のエネルギーが、その雄叫びと共に放たれていった。

それは、一瞬つぼみになった花が再び勢いよく開花するかのような―――――


ドッッ――――轟ッッッ!!!


その一発に、六人は地面に投げ出されて吹き飛んで行って転がった。
即座に起き上がろうとするが身体が言うことを聞かず、首だけで空を見上げる六人。


華を形成していた刃は砕けてキラキラと舞い散り、放たれたエネルギーはアルカンシェルと衝突、空を巻き込んで渦と共に消失した。


「やっ――――――」た


と、誰も声が出なかった。
最初の一言で最後の力だったのか、そのまま動いていた首すらもガクリと倒れて地面に倒れる六人。



一方、その光景を見ていた「EARTH」(仮)の中では、歓声が上がっていた。だがそれをショウが遮って叫ぶ。



「お前ら、終わってないぞ!!」

「そや!!アルカンシェル自体はまだ生きとる!!」


モニターが再び大気圏外へと移される。
そこには再びエネルギーと充填し始めるエスティアの姿が映し出されていた。



「八神、アルカンシェルの再発射までの時間は!!」

「えと・・・あの頃の戦艦は・・・・・」

『戦艦エスティアのアルカンシェル再発射までの時間は20分だ』

「その声は・・・・」

「クロノ君!!――――提督!!」

思わず君付けで呼び、階級をつけたしてその名を呼ぶなのは。
そこには、モニター越しに現れたクロノ・ハラオウンが映し出されていた。



『もうまもなく僕の船が「EARTH」上空へと着く。だから』

「感謝する、ハラオウン提督」

『君に言われると少し複雑だけどな』

「そういうな。話は聞いたな!!これより、戦艦エスティアを落とすッッ!!移動を考慮して、15分以内にアルカンシェルの発射を阻止せよ!!」

『連れていくメンバーは、宇宙(そら)での活動が可能なものに限らせてもらうぞ』


「そうなると絞られてくるな―――――今後に及んで、危ないから止めることはしないぞ!!行けると思ったものは、クロノのいるクラウディアに向かえ!!連絡は向かいながらで良い!!」



それを聞き、長門が静かに外へと向かった。
同時、天道と加賀美もマシンを取りに外へと飛び出していく。


そして―――――

「みんなの魔力、私に預けてくれるかな?」

「まどか・・・・・」

「大丈夫!!ちゃんと、帰ってくるから!!」

「まあ、そう言われちゃね」「あたしたちの分まで、しっかりやれよ」「頑張って、鹿目さん!!」

「帰ってくるために―――――行ってらっしゃい、まどか」

「行ってくるね!みんな!!」

自らの四人の指輪を預かり、まどかが窓から跳びおりる。
一瞬姿を消したまどかは直後、純白のドレスを纏い、上空のエスティアへと飛翔していった。





そして




「おい・・・・動けるか?」

「ダメだ」

外に倒れる翼人たちと翼刀は、見事に行動不能だった。
エネルギーの一端まで使い果たし、更には集束までしてしまったのだ。

もはやエスティアに向かってアルカンシェルを止めるだけの力は残っていない。


「おい!!あんたら、大丈夫か!?」

と、そこにやってきた声。
仰向けに倒れる蒔風が、重力に任せて首をその方向に倒す。

そこにいたのは、奇抜な恰好した青年だった。



髪の毛は一つにまとめて前へと突き出されているリーゼント。
上着の裏には燃える炎の詩集が入れられており、手には「友情」と書かれたカバンを手にしている。


言ってしまえば「学生」の姿だが、もっと詳しい言い方をすると「不良」か「番長」のような服装と髪型。

しかし、彼の精悍な顔つきはそうとはとても思わせることがない。
その妙な闖入者は、蒔風を抱えあげて背負おうとする。



だが、蒔風はそれを止めてその男に頼む。



「さっきの砲撃が、また宇宙から撃たれるかもしれない」

「なに!?宇宙から!?」

「ああ・・・・だが俺たちはそれを止めに行けないし、次を撃たれたらもう防げない」

「やべぇんじゃねぇの?」

「だから、今オレの仲間がそれを止めに行ってくれる」

「仲間・・・・ダチか!!!」


蒔風の口調からして、どうやら彼はこの男を知っているらしい。

その男の手をしっかりと握りしめ、震える上半身を無理やり起こして真っ直ぐに男に向かって、縋るように頼んだ。


「頼む。手伝ってくれ!!」

「よし、わかった!!!」

蒔風の頼みに、彼もまた瞳を真っ直ぐに見据えてその手を握り返した。


「あんたとダチになる前に、まずあんたのダチを助けて、友情を交わしてくるぜ!!」

「頼むぞ・・・・仮面ライダー フォーゼ!!!」



「ああ!!俺は如月弦太朗。「EARTH」の全員とだって、ダチになる男だからな!!!」


髪を整えるように撫で上げ、ドンドンと胸を叩いてから真っ直ぐに空を指さした。



「行くぜ!!宇宙!!!」

この瞬間に、新たなる結合。
新たなる仮面ライダー、現る。



戦場は、遥か600キロ以上上空。時空管理局戦艦エスティア。




アルカンシェル次砲発射可能時間まで



あと18分25秒。






to be continued
 
 

 
後書き

仮面ライダーフォーゼ参戦!!!


唯子の回想にちらっといたのは、結合しようとしている兆候だったんですよ!!
ちなみにあの時の弦太朗は「フォーゼ」の弦太朗ではなく「この世界」の弦太朗です。

結合で完全に一つになり、こうして前面に登場したと言うわけです。


え?なんで彼がいるかって?
それは次回で簡単に説明します。

彼が将来なりたい職業を考えると、まあ想像できますが



まどかは御存じ「アルティメットまどか」というもの。まど神様です。
せっかくだから出さないのはもったいないと言うことで出しました。

流石に一人でホイホイなられたらまずいので「五人の魔力を合わせてなれる」って感じにしてます。

ソウルジェムは無くても、指輪はあるのです!!
それでいいのだ!!(いいのか?)


とはいっても、本来のアルティメットまどかの出力にはやはり及びませんね。
龍騎で言うと、通常フォームとサバイブくらいの違いがあります。


蒔風
「それでもすげぇよ。最強フォームじゃん」


そして、六人はダウン。
そりゃそうだ、あんなもん真っ向から打ち消してんだから。



ではこの辺で



ショウ
「次回。戦艦内の戦い」

ではまた次回 
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