レーヴァティン
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第二十二話 東の島その一
第二十二話 東の島
英雄は久志と別れ東の島に行く空船に乗った、その船が飛び立って空を飛ぶその中でだった。
英雄は船の翼、彼が見たところヘリのジャイロに似たそれを見てだった。船乗り達に尋ねた。
「あのジャイロ、いや翼でか」
「んっ、兄さん空船に乗ったことはないんだな」
「はじめてだ」
実際にとだ、英雄は髭面の船乗りに答えた。その船乗りの格好は日本の船乗りのそれの服だった。
「そしてはじめて見た」
「そうか、じゃあ知らなくて当然だな」
船乗りも英雄の言葉を聞いて頷いた。
「じゃあ空船のこと話すな」
「そうしてくれるか」
「俺は今は時間もあるしな」
笑ってだ、英雄にこうも言った。周りは青い空と白い雲がある。
「是非話させてもらうぜ」
「では頼む」
「ああ、実際にこの船は翼で飛ぶんだよ」
船乗りはその翼、三つあるそれを見つつ話した。
「空をな」
「その力の源は何だ」
所謂動力源のことも聞いた。
「一体」
「それは石だよ」
「石?」
「ああ、あんた西の島から来たよな」
「そうだが」
「その石はあっちの世界で言う錬金術で造った石でな」
「そんなものがあったのか」
実は空船のことは詳しくは調べていなかった、そうしたものがあると聞いていただけだったのだ。
それでだ、翼のこともその石のことも知らずに言うのだった。
「西の島に」
「こっちは丹術っていうんだよ」
「錬金術はか」
「そっちは金を生み出すだろ」
「それを目的としている」
無論それだけではないがだ、錬金術という言葉通り。
「そしてそちらではか」
「不老不死の丹薬を造るのが目的でな」
「それで丹術か」
「そう読んでるんだよ」
「成程な」
「あと魔術は陰陽術になるしな」
船乗りはそちらの話もした。
「妖術とも言うな」
「妖術か」
「ああ、色々呼び名が違うんだよ」
「しかしその使う術は同じか」
「そうさ、それで丹術で造った石があるんだよ」
「その石の力を使ってか」
「飛ぶんだよ、ただその石は高価でな」
船乗りは少し苦笑いになってその石の話をさらにした。
「それであまりな」
「空船も動かせないか」
「そうなんだよ」
実際にというのだ。
「そうそう持っていて動かせるお大名さんやお公家さんもいなくてな」
「力がないと金もないな」
「そうさ、だから港の船もあまりなかっただろ」
「確かにな」
それは港で見た通りだった。
「思った以上にな」
「そういうことなんだよ、その石は何でも地下から採れた幾つかの石を混ぜ合わせて造ったらしくてな」
「燃料か」
「燃料?」
「こちらの話だ」
彼等の世界のとだ、英雄は思って言ったが船乗りがわからない話と見てそれでこう言ったのだ。
「気にしないでくれ」
「そうか、まあとにかくな」
「この船はだな」
「その石と翼で動くんだよ」
「成程な」
「それで空を飛べるんだよ」
まさにというのだ。
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