真のヒーロー
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第六章
毎日続けていた、すると二月程経つとだった。
力が強くなりスピードも上がり体力もついた、それで言うのだった。
「何か前と違ってきた感じがします」
「そう、確かにね」
「変わって来たんですか」
「毎日とレーニングを続けているからだよ」
パンサー仮面はその義弘に確かな声で答えた。
「だから次第に強くなってきているんだ」
「毎日しているからですか」
「少しずつでも強くなってきているんだ」
「そうなんですね」
「そう、君は強くなっているんだ」
このことは間違いないというのだ。
「そして強い者は誰からもいじめられない」
「誰からも」
「私は強い、だからいじめられはしない」
パンサー仮面は義弘の正面から彼に堂々と言った。
「そしてどんな悪い奴にも負けない」
「誰一人として」
「そうだ、私はだ」
まさにというのだ。
「決していじめられない、そして誰にも勝つ。それが出来るのはだ」
「トレーニングをしているからですか」
「毎日している」
このことは事実だ、プロレスラーとして一日たりとも欠かしたことはない。
「そして君も毎日トレーニングをすれば」
「食べるものも食べればですね」
「いじめられなくなるのだ」
「そう、ですか」
「いじめられたくないなら自分が努力してだ」
「強くなることだ」
やはり義弘に正面から告げた。
「もっともっと強くなれ、そして強くなれば」
「その力で、ですね」
「私の様になって欲しい」
パンサー仮面は正面から彼に言った。
「君の様にいじめられてきた、いじめられている子供を助けてくれるか」
「僕が強くなって」
「そうだ、なって欲しい」
こう義弘に言うのだった、そして実際にだった。
義弘はトレーニングを続け強くなった、何時しか慎太郎も共にいてそうしてだった。二人は強くなり身体も大きくなった。
そしてパンサー仮面が二人に教えてくれたことを伝えていった、社長はその彼等を見てパンサー仮面に言った。
「こうしたことがだ」
「正義のヒーローのすることですね」
「ただ救うだけじゃなくてな」
「その道を照らすこともですね」
「ヒーローのすることだ」
こう言うのだった。
「御前はそれが出来た、本当のヒーローだ」
「それならいいですが」
「だからだ」
社長はパンサー仮面にさらに話した。
「これからもそうしていけ」
「ヒーローとしてですね」
「リングで戦うだけじゃなくてな」
「困っている子供達を助け導いていく」
「そうしていってもらうぞ、いいな」
「わかりました、これからもヒーローでいます」
パンサー仮面は豹の仮面を被ったその姿で応えた、そしてだった。
正義のヒーローとしてリングに上がり続け子供達を助け導いていった。そのことを誇ることもなく続けていった。仮面を被っている時は。
真のヒーロー 完
2017・5・15
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