真のヒーロー

「だからね」
「それで、ですか」
「そうこのことを解決するよ」
　少年に強い声で約束した、そしてだった。
　少年にその友達を連れて来てもらった、見ればひょろりとした外見の小柄な子だった。その子は名前を丹羽義弘といった。
　その義弘の外見を見てだ、パンサー仮面は彼に穏やかな声で言った。
「毎日事務所に来られるかな」
「パンサー仮面さんのですか」
「学校が終わってからね」
「はい、お家近くですし」
　幸いにだった、義弘はそうだった。
「出来ます」
「それじゃあ毎日来てね」
「そうすればですか」
「そう、お父さんにもお母さんにもいじめられているんだね」
「はい」　
　弱々しく頷いてだ、義弘は彼に頷いて答えた。
「ずっと」
「それじゃあね、毎日トレーニングをしよう」
「トレーニングですか」
「そう、そして身体にいいものを沢山食べるんだ」
「あの、御飯残るとお父さんお母さんに」
「お家で御飯を食べられる位でいいんだ、とにかく事務所に来てね」
　パンサー仮面は義弘に優しい声のまま話していく。
「トレーニングをしよう、そのトレーニングを続けていって私がいいという時になったら」
「その時は」
「私がまた言うからね、あとね」
「あと？」
「さっきお家で御飯を残すと言ったけれど」
「はい、物凄くぶたれるんです」
「それはすぐに何とかしないといけないからね」
　それでというのだった。
「私が何とかするよ、そこもね」
「やっつけてくれるんですか？」
　この話を持って来た少年、安室慎太郎が言ってきた。
「まさか」
「いや、君のお父さんとお母さんはリングにいないからね」
　だからというのだった。
「私は戦わないよ」
「パンサー仮面さんの戦う場所はリングですね」
「そう、だからね」
　それでというのだった。
「そうしたことはしないよ」
「そうですか」
「このことは児童相談所に言おう」
「そちらのお話ですか」
「私が出来ることは義弘君が二度といじめられない様にすることだ」
「それがトレーニングで」
「身体を作ることなんだ」
　食べることもしてというのだ。
「それだよ」
「これからのことですか」
「もう二度と誰からもいじめられたくないね」
　パンサー仮面は再び義弘に尋ねた。
「二度と」
「絶対に嫌です」
　これが義弘の返事だった。
「痛い思いも辛い思いも」
「そうだね、じゃあね」
「毎日事務所に来て」
「トレーニングをして食べよう」
「わかりました」
「それが私が君に出来ることだよ」
　こう言ってだ、そしてだった。
　彼の両親のことはすぐに児童相談所に通報した、この時は社長がパンサー仮面に対して言った。
「普通に言ったんじゃな」
「中々ですね」
「動かなかったりするからな」
「そうした場合もありますね」
「警察のストーカーの話でもそうだろ」
「通報があってもまともに対応しないで」
「手遅れになったりとかな」
　中には殺人事件にまで発展するケースもある。