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真田十勇士

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巻ノ百五 祖父との別れその四

「だが父上が巻物を持っておられてな」
「その巻物にですな」
「その秘奥義のことが書かれていてじゃ」
 そしてというのだ。
「使える域に達していればな」
「その書かれていることがわかりじゃ」
「出来る様になる」
「その様じゃ」
「左様ですか」
「だからじゃ」
「殿はお帰りになられれば」
「父上にお話してじゃ」
 そのうえでというのだ。
「その巻物を読ませてもらう」
「そしてですか」
「その秘奥義を備えたい」 
 こう言うのだった。
「拙者もそう考えておる」
「そうですか」
「うむ、お主達十勇士もそれぞれ修行を行ってじゃ」
「強くなられて」
「拙者もじゃ」
「忍術の秘奥義をですか」
「備える、そして出来れば兵法もじゃ」
 そちらについてもというのだ。
「より究めていきたい」
「兵を使うそれを」
「出来ればな」
「そうですか」
「あくまで出来ればじゃがな」
 兵法の話もするのだった。
「そう考えておる」
「忍術も兵法も」
「そのうえで時に備えたい」
「何か我等よりもです」
 幸村のその言葉を聞いてだ、猿飛は唸ってこう言った。
「殿は備えるべきものが多いですな」
「そう思うか」
「はい、何か」
「そうやも知れぬな」
 幸村自身もそれを否定せずに言葉を返した。
「拙者は将でもあるからな」
「一軍を率いられるが故に」
「お主達も動かす」
 将であるが故にだ。
「だからな」
「備えるべき者も多いですか」
「己の武に加えてじゃ」
「将としてもですな」
「備えるべきものを備え」
 そうしてというのだ。
「時を迎えたい」
「ですか」
「そしてそれもまた拙者の望みにもつながろう」
「武士の道を極める」
「それにな」
 猿飛にこうも話した。
「そうも思うからな」
「秘奥義備えられますか」
「是非な」
「左様ですか」
「兵法も極める」
「では」
「拙者もより一層修行じゃ」
 幸村は笑って返した。
「そして強くならねばな」
「そういうことですか」
「さもなければ望みは果たされぬわ」
 こう言ってだ、幸村は今は風呂を楽しんだ。そのうえで猿飛と共に修行をしていったのだが。 
 猿飛はその腕を極めていってだ、遂にだった。
 猿よりも素早い動きをした、その動きは。 
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