恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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95部分:第九話 陳宮、呂布と会うのことその五
第九話 陳宮、呂布と会うのことその五
「妖術使いなぞ所詮一人。邪教がこの世に栄えた試しはありませんぞ」
「それはその通り」
「なら大丈夫ですぞ」
「そう、一人だったらいい」
呂布の言葉は明らかに何かを感じ取っているものだった。
「けれど。それが何人もいて」
「何人も!?」
「そして人でなかったら」
「まさか。それは」
「人でない存在がこの世界にいる」
こう言うのであった。
「若しそうだったら危ない」
「まさか、それは」
「この国には何かがいる」
呂布の言葉は続く。
「そして恐ろしいことをしようとしている」
「ではどうすれば」
「戦う」
返答は一言だった。
「そんなこと許さないから」
「それが呂布殿が戦われる理由ですか」
「月や詠の為」
まずはそれであった。
「皆の為。犬や猫達の為」
「呂布は多くの為に戦われているのですね」
陳宮はこのこともわかったのだった。
「本当に」
「そう、恋は自分の為に戦いはしない」
「わかりましたぞ、ではこのねね」
陳宮はここまで聞いてであった。
「呂布殿と共に参ります」
「来てくれるの」
「呂布殿がその為に戦われるのなら。ねねもですぞ」
こう言ってそのうえで呂布と共に行くことにしたのだった。そして長安の董卓の屋敷に着くとだった。最初に会ったのは華雄だった。
「おい、呂布」
「何?」
「また連れて来たのか」
呆れた声と言葉であった。
「これで今月何匹目だ」
「一、二、三」
右手の指を折って数える。
「沢山」
「・・・・・・いい加減数字は覚えろよ」
流石に今の呂布には呆れ返る華雄だった。
「一軍を率いるのだからな」
「うん」
「わかっているとは思えんが。まあそれはいい」
それは諦めてであった。話を変えた。
「とにかくまただな」
「うん」
「そうか。だが随分と汚いな」
陳宮と犬を見ての言葉だ。
「しっかりと洗っておくようにな」
「わかってる」
「ならいいが。最近何かとこの擁州に人が来るようになったな」
「そうなの」
「そうだ。嬉しいことだが面接担当がな」
それが問題であるというのだ。
「賈駆だが」
「そうなの」
「気が短い。もう何かあると騒ぐからな」
「では華雄がするといい」
「私はそういうことは苦手だからな」
こう答えて困った顔になる華雄だった。
「できればしたいが」
「なら新しく入ったのにやらせれば」
「余計に駄目だ。あの面子はそれ以前の問題だ」
「そうなの」
「そうだ、今も山賊達を二十四時間修行と強制労働に駆り出している」
そうしているのは誰かはもう言うまでもなかった。
「悪は許さんと言ってな」
「悪なの」
「キムとジョンに言わせればそうだ」
つまり主観のみであるというのだ。
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