目標でありライバル
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第二章
「勝ちたいのよ」
「完全に本気なのね」
「勿論よ、お祖父ちゃんが生きている間に」
沙綾は目をめらめらと燃え上がらせて友人に語った。
「勝ってやるわ」
「全力のお祖父さんに」
「全力で向かってね」
「そうするのね」
「気功もね」
祖父が使うそれもというのだ。
「使える様になって」
「そうしてなのね」
「今よりもずっと強くなって」
「勝つのね」
「その為に修行してるし」
それも熱心にだ、そうしてというのだ。
「強くなるわよ」
「今もかなり強いけれど」
「それでもまだまだっていうのね」
「それでお祖父さんに勝つ」
「絶対になの」
「鬼ならね」
祖父がそれならというのだ。
「私は鬼女になるわよ」
「いや、鬼女はちょっと」
「何か鬼よりやばい感じしない?」
「安達ケ原にいそうな」
「包丁持って人捌きそうな」
友人達は沙綾の鬼女になるという言葉を聞いてどうかという顔になって返した。
「空手じゃなくてね」
「鬼女って何か陰惨よね」
「鬼と比べてね」
「どういう訳かね」
「ううん、じゃあ鬼神にしておくわ」
鬼女が駄目ならというのだ。
「確かに鬼女って既女にもなって」
「あの巨大掲示板じゃ一番怖い人達みたいよ、その人達」
「敵に回したら終わりらしいから」
「それこそニュー速民やVIP民よりも怖い」
「そう言われてるからね」
「怖くなりたくはないのよ」
沙綾はそちらへの関心はなかった。
「お祖父ちゃんも謙虚だしね」
「腰が低いの」
「強くても」
「暴力振るって人を怖がらせてね」
そうしてというのだ。
「その相手が頭下げてるのをふんぞり返って前を通ってウッス、とかいうのはね」
「ああ、そういう奴いるわね」
「前にうちの学校でもそんな先公いたらしいわね」
「暴力が問題になってクビになったけれど」
「剣道部の顧問でね」
何故か学校の教師はこうした暴力常習者や痴漢、下着泥棒等社会不適格者が多い様である。聖職者と聞いて呆れる限りだ。
「そんな奴にはなりたくないのね」
「沙綾ちゃんにしても」
「お祖父さんもそうじゃないし」
「私は強くなりたいの」
あくまでそれが目標だというのだ。
「だからね」
「威張ったりしないのね」
「暴力も振るわない」
「そうしないのね」
「お祖父ちゃんもそんなことしないから」
絶対にという言葉だった。
「だから私もよ」
「そうなのね」
「そういえば沙綾ちゃんいじめしないしね」
「威張らないしね」
「後輩の子にもいつも穏やかで」
「クラスでもそうだしね」
「そんなのしたらお祖父ちゃんに勝てないわよ」
真剣な顔で言い切った。
「お祖父ちゃんに勝つにはね」
「心もっていうのね」
「身体だけの強さじゃなくて」
「そちらも必要ってことね」
「そう思うからよ」
だからこそというのだ。
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