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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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820部分:第六十六話 バイスとマチュア、闇の中で話すのことその十


第六十六話 バイスとマチュア、闇の中で話すのことその十

「焔耶にとってはのう」
「そうよね。誰がどう見てもね」
 馬岱はその魏延を横目に見ながら話す。
「焔耶は味覚以上にね」
「好きな相手の手料理を食べる」
「それでよね」
「絶対にそうじゃな」
「わ、私はただ」
 本人の必死の言い訳が来た。
「本当に。美味だからこそ」
「いや、そうは見えん」
「どう見てもね」
 しかし二人の言葉は冷静だ。それで魏延に言うのだった。
「まあそれでもよいがな」
「わかってるしね」
「何をわかっているというんだ」
「言わせるか?それを」
「今更」
 二人の言葉は実に醒めたものだった。
「最早殆どの者がわかっておるぞ」
「御本人以外はね」
「な、何が言いたい」
 言われてもまだ白を切ろうとする魏延だった。
「私はだ。桃香様の手料理に感謝してだ」
「そもそも何故それを食したいのじゃ?」
「御料理ならね。お店に言って食べてもいいし」
「そうじゃ。紫苑もいつも作るじゃろう」
「それで桃香様って」
「主の御心を食べているのだ」
 強引にこう言う魏延だった。
「だからだ。私は嬉しいのだ」
「そういうことにせよというのじゃな」
「何か強引ね」
「強引って?」
 しかしだ。劉備は気付いていない。きょとんとした顔でだ。
 三人、特に魏延に対してだ。尋ねるのだった。
「何がなの?」
「あっ、いやそれは」
 魏延は主のその言葉にだ。慌てふためきながら返した。
「何でもありません」
「何でもないの?」
「はい、桃香様の御心」
 それだというのである。
「堪能させてもらっています」
「そう。じゃあまだまだあるからね」
 魏延のその言葉にだ。劉備はにこりとして返した。
「じゃあね」
「はい、頂きます」
 魏延にとってもだ。願ってもない言葉だった。そうしてだ。
 劉備の手料理を貪る。そして食べ終わってから。
 待ち足りた顔と声だった。目がきらきらと輝き顔にも照りがある。
 喜びを全面に出し。言う言葉は。
「我が生涯に一片の悔いなし!」
「いや、まだ望みがある筈だ」
 今度は趙雲が彼女に突っ込みを入れる。
「まだな」
「それは何だというんだ?」
「寝屋だな」
 くすりと笑ってだ。こう魏延に言うのだった。
「それではないのか?後は」
「な、何が言いたいのだ」
「だからだ。桃香様と褥を供にだな」
「そ、それは別に」
 ここでも白を切ろうとする。だが顔は真っ赤だ。まるで林檎の様だ。
「違うというのだな」
「私にそうしたやましい気持ちはないっ」
 強引に断言する。
「桃香様に対する赤い心があるだけだ」
「ではこう言おう」
 趙雲の方が一枚上手だ。これはどうしようもないことだった
 その一枚上手の趙雲がだ。魏延に述べる。
 
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