恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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8部分:第一話 関羽二人の少女と会うのことその八
第一話 関羽二人の少女と会うのことその八
「それにしても」
「はい、いよいよですね」
「その張飛だ」
その彼女だというのである。
「いるな」
「奥にですね」
「そうだ。行くぞ」
こう話してそのうえで山の一番奥にいる。夕方になろうとしたところでそこに辿り着く。すると岩山になったそこの頂上に張飛がいるのであった。
「いたか」
「待っていたのだ」
張飛は関羽を見下ろしながら言ってきた。その手には蛇矛がある。
「御前が鈴々をやっつけに来たのだな」
「御前が鈴々山賊団の首領鈴々だな」
「真名で呼ぶななのだ!」
張飛はすぐにこう言ってきた。
「真名は親しい者同士でしか呼び合ってはならない名前なのだ」
「それは知っているが」
「なら呼ぶななのだ」
こう関羽に言うのだ。
「絶対に言うななのだ」
「それはわかった。では御前の名前は」
「張飛なのだ」
こう名乗ってきた。
「字は翼徳なのだ」
「そうか、張飛か」
「そうなのだ。御前は誰なのだ?」
「関羽」
まずは彼女が名乗った。
「関羽、字は雲長だ」
「関羽なのか」
「そうだ。覚えておくのだ」
「私はナコルルです」
続いてナコルルも名乗ってきた。
「宜しく御願いしますね」
「それでどちらが来るのだ?」
張飛は二人にさらに問うてきた。
「鈴々は別に二人でもいいのだ」
「関羽さん、どうしますか?」
「私が行く」
そうするというのである。
「それでいいな」
「わかりました、それでは」
「では行くぞ」
関羽は一歩前に出て言う。そのうえで張飛を見上げて告げた。
「張飛よ、いいな」
「わかったのだ。それではなのだ」
張飛はすぐに岩山を降りてきた。素早い動きで、まるでカモシカの如く岩山の上を駆け降りて来る。ナコルルはその動きを見て関羽に言ってきた。
「関羽さん」
「そうだな」
彼女が何を言いたいのかはもう察していた。
「できるな」
「はい、かなり」
「そういえば聞いたことがある」
ここで関羽はまた言った。
「この幽州に一人の腕の立つ幼い武芸者がいる」
「武芸者ですか」
「そうだ。蛇矛を持ち」
その得物についても話す。
「そしてその蛇矛で八百人の賊を一人で倒したそうだ」
「八百人をですか」
「そうだ。そしてその首領も倒した」
「全員ですね」
「その武芸者が山賊団の首領になっていたとはな」
「ではこの張飛さんは」
「そうだ。かなりの強さだ」
それを言うのであった。
「かなりのな」
「でしゃやっぱりここは」
「しかしだ」
それでもだというのだ。
「ここは私がやらせてもらう」
「いいのですか?それで」
「この関羽、戦いで敗れたことはない」
その巨大な刀を手にしての言葉だ。
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