| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

歌集「春雪花」

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

371




 もみじ葉を

  染めゆく秋の

    あかねさす

 風ふきければ

    露そこぼるる



 紅葉の夏の緑色を紅く染めてゆく秋…。

 そんな色鮮やかな秋の夕暮れは、空さえも秋が染めていると思えてしまう物寂しい茜色…。

 風が吹き抜ければ葉の露が散ってしまうように…こんなにも時間が早く流れてしまうと、自らの歳を考えて涙が流れてしまう…。


 彼を想うことさえ憚られるこの身…如何にすべきか…。



 来ぬ人を

  想ふはねやの

   夜半の月

 忍び堪へなむ

     松虫のこゑ



 来ない…そんな当たり前のことを今更に悲しく思い、それでも想い続ける…。

 そうして…眠ろうと一人布団に入ると、やけに月が明るく感じるもの…。

 来ない誰かを待っているのか…外からは松虫の物悲しい鳴き声…。


 そんなに物悲しいく鳴かれると…私も悲しく…堪えることが出来なくなってしまいそうだ…。

 会いたい…そう呟き、溜め息をつく…。



 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧