転生とらぶる
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ペルソナ3
1811話
犬にドッグフードを与え、ふと気が付けば犬がこれ以上は食べられないと腹を上に向けて横になっていた。
一見すれば、それは犬が絶対服従を相手に示す時の姿勢に見えなくもないが……実際には、もうそれ以上食べる事が出来なくなったという、ただそれだけの事。
うん、まぁ、買ってきたドッグフードの殆どを食い尽くせば、それはこうなるか。
幾つか口に合わないのもあったが、それは空間倉庫の中に入っている。
いつか使うべき時が来るだろう。
……グリ辺りでも召喚して食べさせてみるか?
ふとそんな事を考えるも、グリが食べるかどうか分からないし……それ以前に、もし食べたとしても絶対に足りないだろう。
「ワフゥ……」
言葉も出ないといった様子で鳴く犬。
白と灰? 銀? が混ざったような珍しい毛並みをしている犬だが、その折角の毛並みもこう地面で横になってしまえば汚れるだろう。
「取りあえず、腹一杯になったようで何よりだ。これで、暫くは食べ物の心配をしなくてもいいな?」
そう言い、犬の身体を撫でる。……吐いたりしないように、腹じゃなくて肩とか胸とかだが。
ともあれ、携帯で時間を確認すると、そろそろ月光館学園が終わる時間になっていた。
体調が悪いって言ってたから、部活があってもゆかりは出ないだろうし、部屋に戻っていてもおかしくはない。
「ワウ?」
まるで、もう行くの? と言ってるような鳴き声。
そんな犬を、そっと撫でる。
「悪いな、俺も色々と用事があるんだよ。取りあえず、また時間があったら何か食べる物を持ってきて寄るから、それまで待っててくれ」
「ワフウ!」
嬉しそうに鳴き声を上げる犬。
うん、やっぱり俺の言葉をきちんと理解しているよな。
頭のいい犬……って事だけで済ませるのは、ちょっと難しい。
……もしかして、桐条グループで改造されたとか、そういう事はないよな?
何となくそんな事が思い浮かんだが、取りあえずそれは頭の端に寄せておく。
もしそうだとしても、今の状況では何が出来る訳でもないのだから当然だろう。
「じゃ、俺は行くぞ」
幸いにもこの辺には俺と犬以外の姿はどこにもないので、特に隠れたりせず影のゲートを展開出来る。
そうして影に身体を沈み込ませ……犬が寂しそうにしているのを見ながら、俺の姿は神社の境内から消え……次の瞬間には、ゆかりの部屋に姿を現していた。
「……え?」
……そう、着替えている途中の下着姿のゆかりの前に。
着やせするタイプなのか、平均以上の大きさを持つ双丘が、薄いピンクの下着に包まれている。
下の方も、上の下着と同じくピンクの下着だった。
制服を脱いで普段着に着替えようとしていたのだろうが……まさにそこに俺がやってきてしまったのだろう。
『……』
あまりに予想外だった為か、ゆかりは声を出すような事もせず、俺を見ている。
俺もまた、ここで何か声を出せばそれがゆかりを刺激してしまうと思った為に、迂闊に声を出せない。
お互いが無言で視線を合わせた状況のまま数秒が経過し……やがて、ゆかりが口を開く。
「きゃああああああああああああああああああああっ!」
その悲鳴は、俺がここにいるのを隠そうとか、そういう気遣いは一切存在しない悲鳴。
女子寮で……それも学校が終わって大勢が帰ってきてる時間にそんな悲鳴を上げれば、当然のように周辺から人が集まってくるのも当然だった。
「っ!? アクセル、消えて!」
走ってくる足音が聞こえたのだろう。
我に返ったゆかりが、ベッドの上に置いてあった服で身体を隠しながら、俺を見てそう告げる。
ここで気配遮断を使えば大丈夫と言おうとしたのだが、よく考えればゆかりの格好が格好だ。
気配遮断を使っても意味がないと判断し、俺は再び影に身体を沈めていく。
そして俺の身体が完全に影に沈む寸前……
「ちょっと、ゆかり! どうしたの! 何かあったの!?」
扉の方からそんな声が聞こえてくる。
それと同時に、俺の姿は完全に影に沈み……女子寮からある程度離れた場所にある建物の陰に姿を現した。
……さて、どうしたものか。
まさか着替え中だったとは、俺に取っても完全に予想外だった。
レモン達のような成熟した女と比べれば、やはりまだ未成熟と言ってもいいだろう。
だが、それでも既にその身体は少女から女に変わり始めているそれだった。
世の中には15歳でも幼稚園児や……よくて小学校低学年くらいにしか見えない奴もいるのに比べれば、ゆかりは非常に大人っぽいと言えるだろう。
まぁ、その小学生くらいにしか見えなかった2人は、俺が知らない間にかなり背が伸びたらしいが。
ともあれ、このままという訳にはいかない以上、ゆかりに連絡を取る必要がある。
……考えてみれば、寧ろ最初に行く前に連絡を入れておく必要があったんだろう。
そんな事を考えながら、携帯の電源を入れ……俺がゆかりに電話をするよりも前に、呼び出し音が鳴る。
誰が掛けたのかというのは、表示されている名前を見なくても明らかだった。
それでも、もしかしたら……出来れば違っていて欲しいという願いとは裏腹に、やはりそこに表示されているのはゆかりの名前だったが。
『ちょっと、どういうつもりよ!』
案の定、電話に出ると俺が何かを言うよりも先に、そんな言葉が聞こえてきた。
当然だろうが、声だけで怒っているのは十分に理解出来た。
「あー……悪い。まさか、着替え中だとは思ってなかったんだよ」
『せめて、来る前にノック……は無理だけど、電話くらいしてよね。でないと、折角携帯を買った意味がないじゃない』
「ああ、そうだな。今回の件は悪かった」
『全く……男の人にあそこまで肌を見せたのは初めてなんだからね』
見るからに……いや、聞くからにか? 怒っている様子を見せるゆかりだったが、それでも10分程怒り続けると、ある程度怒りも収まってきたのだろう。
やがて、小さく溜息を吐く。
『それで、一体何の用件があってきたの? 今は私、体調が悪いって言ったわよね?』
「ああ、それは分かってる。勿論タルタロスに行かないかって誘おうと思った訳じゃなくて……ちょっとゆかりにプレゼントがあってな」
『プレゼント?』
その言葉に多少ではあっても、どこか嬉しそうな様子があるのは、やはりゆかりもプレゼントを貰うというのは嬉しいのだろう。
「ああ、プレゼントだ。多分、ゆかりも喜んでくれると思うけど」
今は指輪を嵌めてもイオの使うガルの回数が1回増えるかどうか……といったところだが、この指輪は魔力……いわゆるMPを最大値の1割増やす効果を持っている。
つまり、このままレベルアップしていけば、イオの攻撃手段は多くなる筈だ。
……そんな風に思っているが、実はペルソナが成長しないなんて事はないよな?
ここが何らかの原作の世界なら、明確なレベルアップ……はないかもしれないが、何らかの成長要素はある筈だ。
『……分かった。じゃあ、もう1回来て。もう他の人達はいなくなってるから、心配しなくてもいいわよ』
他の人達というのは、丁度俺がゆかりの部屋から影で転移をしようとしていた時に聞こえてきた声の主だろう。
具体的にどのような相手なのかは分からないが、ゆかりの悲鳴を聞いて真っ先に駆けつけてきたのを思えば、友人思いなのは間違いない。
もしくは、単純に血の気の多い相手……って可能性も否定は出来ないが。
「分かった、ならこれから行くな」
そう告げ、再び影のゲートに身体を沈め……やがて、次の瞬間、俺の姿はゆかりの部屋の中にあった。
「……」
部屋の中に入ってきた俺を見て、ゆかりは無言のままだ。
だが、その頬が……いや、耳までもが赤くなっているのは、当然さっきの出来事が理由だろう。
その辺りを指摘してみたい気持ちがない訳でもなかったが、もしそんな真似をすれば間違いなくゆかりを怒らせる事になってしまう。
今でさえ、さっきの着替えの一件で完全に俺を許した訳ではないのに……ここでそんな真似をすれば、最悪この場でイオを召喚しかねない。
イオの大きさを考えれば、こんな場所で召喚すれば、間違いなく部屋にも被害が及ぶだろう。
普段であれば、ゆかりもその辺りは理解しているだろうが、頭に血が上っている状況ではそれを理解出来るとも限らない。
うん、やっぱりそれは色々な面で止めておいた方がいいな。
取り合えずゆかりのご機嫌取りに……と、空間倉庫の中からシュークリームを取り出す。
マクロス世界に行っていた時、フロンティア船団の中にあるケーキ屋で買ったシュークリームだ。
本格的な味という事で、それなりの値段がしたのだが……基本的に殆ど金を使う事のなかった俺にとって、その店にあるシュークリームを買うのは全く問題なかった。
ちなみに、シェリルと同棲している時に何度か食べさせたが、かなり喜んでくれた。
「まず、これは見舞いの品だ。……まぁ、本来なら必要ないんだろうけど、ゆかりの機嫌が直るようにな」
「……それを言ったら、意味ないじゃない?」
苦笑を浮かべながら、ゆかりは俺の渡したシュークリームの入っている紙の箱を受け取る。
そして箱を開け……
「へぇ」
一言だけだが、感嘆の声を口にする。
まぁ、出来たてのシュークリームだから、それこそスーパーとかで売ってるような、皮の部分がふやけているシュークリームとは訳が違う。
「そのシュークリームを食べたら、恐らくゆかりは歴史に名前が残るかもしれないな」
「……え? どういう事?」
シュークリームの様子に目を奪われていたゆかりだったが、俺の言葉に我に返ったのか、そう尋ねてくる。
「単純に、そのシュークリームはこことは別の世界で作られたシュークリームだからな。このペルソナ世界で、異世界の食べ物を食べた事がある奴なんていないだろ?」
「……一応聞くけど、ペルソナ世界ってこの世界の事を言ってるのよね?」
「ああ。世界にも区別を付ける必要があるからな。そういう意味で、ペルソナ世界ってのは、この世界の特徴をよく捉えていると思う」
「そうでしょうけど……まぁ、いいわ。それは私が何を言っても意味がないものね。それで、この世界で初めて食べるシュークリームが、プレゼント?」
「いや、これはさっきのお詫びの品だ」
「ふーん……ま、いいわ。じゃあちょっと待ってて。準備するから」
そう言うと、ゆかりは皿を持ってくるとそれにシュークリームを取り分け、テーブルに置く。
シュークリームの横には、紙箱の中に入っていたプラスチックのフォークもある。
そして冷蔵庫から出されたペットボトルの紅茶を、紙コップに注ぎ、こちらもテーブルの上に置く。
ここまで1分ちょっと。
随分と手慣れているな。
「さ、食べましょ」
そんなゆかりの言葉に俺も異論がある筈がなく、シュークリームを食べる。
もっとも、ゆかりは器用にフォークを使って食べているが、俺は別にそこまで気取った食べ方をするつもりはない。
そのままシュークリームに手を伸ばし、噛みつく。
握り拳程度の大きさを持つシュークリームの生地は、焼きたてでパリッとした……パイに近い食感。
外側には粉砂糖が雪のように振りかけられている。
……手で直接持つと指に粉砂糖がつくのが面倒だが、それでもこの粉砂糖がシュークリームの生地を味わう時、最初の甘みを伝えてくる要素となっていた。
そして生地を囓ると、次に中に入っている生クリームが口に広がる。
普通シュークリームと言えばカスタードクリームなのだが、このシュークリームは生クリームが中に入ってるのだ。
ただし、甘さは控えめ。
まぁ、生クリームを大量に食べると気持ち悪くなる奴もいるって話だし。
その辺りを考慮しているのかもしれない。
カスタードクリームと生クリームの2つのクリームを使ったシュークリームを作りたいって話を店員が言ってたが……バジュラの騒動で、それどころじゃなくなったんだよな。
ああ、でもクイーンバジュラから譲られたあの惑星でまたケーキ屋を開いてるとか何とか聞いた覚えがあるから、もしかしたら今ならダブルのシュークリームもあるかもしれないな。
「美味しいわね、これ」
「異世界のシュークリームもなかなかだろ?」
「ええ。……ちなみにこれは好奇心で聞きたいんだけど、このシュークリームがある世界って、どんな世界なの?」
「宇宙人に攻撃されて、人間が一度絶滅寸前までいったけど、それを乗り越えて宇宙に広がっている世界」
「……聞いた私が馬鹿だったわ……」
溜息を吐くゆかりが、気を取り直すように紅茶を飲み、改めて俺の方を見てくる。
「それで、これがプレゼントじゃないって話だけど、じゃあ本来のプレゼントは?」
「ん? ああ、これ」
そう告げ、俺はゆかりに指輪を差し出すのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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