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レーヴァティン

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第十八話 素材その八

「そこが繁華街だから」
「それじゃあそっちに行ってだね」
「ちょっと遊んで来るな、お姉ちゃん達とは」
「君そうしたお店好きなんだ」
「というか行ったことないんだよ」
 口を尖らせてだ、久志は源三に言い返した。
「一度もな」
「リアルの世界でも?」
「ねえよ」
 ムキになって事実を言った。
「そっちでもな」
「じゃあ行ったら?お勧めはパールだね」
「その店に行ったらいいか」
「奇麗なお姉さん一杯いるから」
「じゃあ金持ってるからウハウハしてくるな」
「うん、じゃあね」
 源三はこう彼に返した。
「行ってきてね、ただパールはいいお店だけれど」
「他のお店にはか」
「性質の悪いお店もあるし」
「学術都市なのにかよ」
「いやいや、学校の先生が元締めでね」
 そうした店のというのだ。
「悪どく儲けてるんだよ」
「それマジかよ」
「本当だよ」
「学校の先生がそんなことするか、いや」
「学校の先生だからね」
「そんなこともするか」
 ヤクザ屋の様な悪事をとだ、久志は自分が否定しようとした考えをすぐに訂正してそのうえで言った。
「酷い奴も多いしな」
「こっちの世界でもそうだよ」
「悪ど儲けてるか」
「聖職者の仮面を被ってね」
「そうした奴って本当にいるな」
「そうしたお店を経営してるならまだましでね」
 悪質な売春宿、客から金を騙してまで毟り取る様な店を経営してもというのだ。
「もっと酷い奴もいるよ」
「この世界でもそれは一緒か」
「そうなんだ、僕も見ていて腹が立つよ」
「金に権力に女か」
「その為に手段を選ばない」
「学生さんにものを教えるよりもそっちか」
「当然そうした奴ばかりじゃないけれど」
 教師といってもというのだ。
「そうした奴もいるからね」
「注意しないと駄目か」
「そうだよ、それでそうした奴が経営しているお店にはね」
「注意してか」
「行かない方がいいよ」
 くれぐれもという言葉だった。
「本当にね」
「わかったさ、そうした店の名前わかるか?」
「ラハヨキとかダメカとかね」
「そうした店はか」
「うん、絶対に入らない方がいいよ」
「入ったらぼったくられるか」
「お店の人間も最悪だっていうし」
 そちらでも悪名高い店だというのだ。
「だからね」
「入らない様にするな」
「うん、お店の名前は覚えたね」
「ラハヨキにダメカだよな」
「そうだよ」
「他にもそうした店あるか?」
「ジャイアンツが一番酷いかな」
 源三はこの店の名前も出した。
「そうしたお店の中でも」
「巨人かよ」
「あえてこの世界を荒らしている奴等の名前を付けるセンスにも脱帽だけれど」
「そのセンスからしてわかるな」
「うん、店員も女の子達も酷くてね」
「ボッタくられてか」
「丸裸になってほっぽり出されるっていうよ」
 間違ってその店に入ったその時にというのだ。
「そうなるから」
「ああ、その店は入らないぜ」
「ジャイアンツだよ、名前は」
「その名前は滅茶苦茶覚えやすいな」
 邪悪そのものを象徴する名前だからだ、久志も他の悪質な店の名前以上に容易に覚えられた。
「それで覚えたぜ」
「そう、じゃあ絶対にね」
「というかそんな店とか裏にいる先生連中何とかしないとな」
「この街の癌になってるよ」
「癌細胞はさっさと取り除かないとな」
 久志は彼等の世界での医学のことから言った。 
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