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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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70部分:第七話 関羽、山で三人の戦士と会うのことその三


第七話 関羽、山で三人の戦士と会うのことその三

「彼等の脅威を取り除きそのうえで力を蓄えることもできます」
「わかりましたわ。では水蓮、恋花」
「はい」
「内政ですね」
「取り込んだ者達は民として教化すること」
 それも命じるのであった。
「取り込み婚姻を進め完全に我が民となさい」
「ではこのまま」
「そうしていきます」
「青珠と赤珠にも命じておきなさい」
 二人にもであった。
「四州の内政はそれと共に進めるように」
「烏丸もですね」
「幽州は今は空き地ですけれど」
「はい、今は主がいません」
「ですが烏丸が傍にいます」
 田豊と沮授も誰かの存在を完全に忘れ去っている。無論袁紹もだ。
「彼等の脅威を取り込み無力化してからです」
「幽州に進みましょう」
「まずは四州の安定化と異民族の取り込みですわ」
 内政を優先させるというのであった。
「匈奴や烏丸を併呑し次は」
「そして羌を」
「そうしていきますか」
「ではこの者達はまずは将とします」
 あらためてキム達を見ての言葉だった。
「そして内政に使えそうでしたらそちらも任せなさい」
「はい、それでは」
「その様に」
 こうして新たに加わった彼等の仕事が決まった。袁紹軍の将となったのだ。
 キムは袁紹の前を退いてからだ。テムジンに対して言っていた。
「あんたのことは聞いているよ」
「そうだすか」
「アメリカのサウスタウンで孤児院をやっているんだな」
「その通りだす。ギースの奴から何とか守っていただすよ」
 こうキムに返すのであった。
「中々大変だっただす。あいつはあれやこれやと汚い手ばかり使ってきただすよ」
「ギース=ハワードね」
 キャロルもいた。彼女もこの名前は知っていたらしい。
「随分と汚い手を使ってのしあがって人よね」
「それに沢山の人を殺してきたよ」
「とんでもない奴だよ」
 ニコラとミハルは露骨に顔を顰めさせていた。
「僕達気付いたらこの世界にいるけれど」
「あいつはいないよね」
「さて、それはどうかな」
 キムは彼等の言葉にはいぶかしむ顔で返したのだった。その整った顔に陰がさす。似合っているが暗さは確かに増していた。
「ギース=ハワードも真獅子王もいなくても」
「他にもいるだすか」
「俺達がただこの世界に来たとはとても思えない」
 彼が言うのはこのことだった。
「何かあると思っていた方がいいな。ギースや真獅子王みたいなただ力があるだけの存在がいるかも知れないな」
「っていうと」
「一体何が」
「俺もそこまではまだわからないさ」
 キムはそのさらに暗くなった顔でニコラとミハルに返した。
「ただ、俺達以外にもこの世界に来ちまった奴は多いみたいだしな」
「ミッキー君やリーさんもいると聞いただす」
 テムジンは既に彼等が来ていることを聞いていた。
「ではやはり」
「ああ、何かあるのは間違いないな」
 こんな話をしたのだった。彼等も今は気付こうとしていた。何故自分達がこの世界に来たのかをだ。大きな謎が存在しているのは間違いなかった。
 関羽一行は今は戦いの中にはいなかった。丁度擁州に入ったところだった。
 鬱蒼とした険しい山の中でだ。張雲は相変わらず歌い続けている。
「熊除けか」
「そうなのだ。山の中は何がいるかわからないのだ」
「それはその通りだな」
 関羽も彼女のその言葉に頷く。
「熊だけでなく虎や豹、それに狼もいる」
「そうした相手とはいちいち闘っていられないのだ」
 張飛はその手に蛇矛を持ちながら言った。
「動物にも動物の都合があるのだ。無闇に倒したら可哀想なのだ」
「そうだな。それは確かにな」
 趙雲も頷いた。
 
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