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子供を戻すには

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第四章

 しかしだ、家の中にもいないとなるとだ。
「もうね」
「そうとしか考えられないから」
「外に出て探そう」
「二人で」
 もう脇目も振らずだ、二人は外に出てだった。
 自分達の子供を探した、しかし村の何処を探してもだ。ペーターはいなかった。二人は昼まで探したが子供は見付からなかった。
 ヘルナイゼンは日曜だったので教会のミサに出ていた、彼は敬虔なプロテスタントでもあるのだ。それで教会のミサで祈りを捧げ寄付もした。
 そのうえで教会から出て家に帰る時にたまたまだ、必死の顔で村のあちこちを見て回っているとマットソンと彼の妻を見た。それでだ。
 夫婦にだ、怪訝な顔になって尋ねた。
「どうされたのですか?」
「あっ、貴方は」
「はい、ヘルナイゼンです」
「妖精好きの」
「好きではないですが知ってはいます」
 お互いがどういった人間かわかっているのでだ、こうしたやり取りからはじまった。妖精を信じる者と信じない者同士で。
「わしは」
「そうですね」
「それはそうしまして」 
 ヘルナイゼンはトマットソンにあらためて尋ねた。
「どうされたのですか?」
「実はです」
 トマットソンはヘルナイゼンに困り果てた顔で自分達に朝起こったことを話した。
「かくした事情で」
「子供を探していますが」
「しかしです」
「何処にもいません」
「その子はひょっとして」
 その緑色の肌で大きな鼻が持つ赤子のことからだ、ヘルナイゼンは言った。
「取り替え子ですか?」
「取り替え子?」
「取り替え子といいますと」
「はい、トロルの悪戯の一つで」
 ヘルナイゼンはとマットソン夫婦に話した、二人が丁度必死になって探していた村役場の前において。初夏の昼の日差しの中で。
「子供を取り替えるんです、赤子を」
「そんなこと有り得ません」
 トマットソンは彼の考えから言葉を返した。
「絶対に」
「そう言われますね」
「そんな非科学的な」
 科学万能主義の考えも出した。
「有り得ません」
「まあまあ聞いて下さい」
 顔を顰めさせて否定するトマットソンにだ、ヘイナイゼンは穏やかな顔で返した。
「それならやり方があります」
「やり方?」
「はい、取り替え子なら」
 彼が知っているそれならばというのだ。
「あります」
「ですから妖精なんて」
「いえ、待ってあなた」 
 ビルギットはあくまで否定しようとする夫を止めてだ、こう言った。 
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