恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
687部分:第五十四話 三姉妹、変装するのことその五
第五十四話 三姉妹、変装するのことその五
「それで」
「ええと、それは」
「それは?」
「何処に行こうかしら」
張角の返答は実にいい加減なものだった。
「それで」
「ひょっとして外に出たいだけで」
「何も考えてなかったの」
「だってお姉ちゃん」
ここで本領を発揮する彼女だった。まさに張角だった。
「自分でそういうの考えたことないし」
「やれやれね」
「姉さんらしいわ」
そんな長姉に呆れて返す妹二人だった。
「そういうところ本当に姉さんね」
「全く」
「駄目かな、やっぱり」
「一緒に来てよかったわ」
「地和姉さんに同じ」
怒りはしない。慣れているからだ。しかし言わずにはいられないのだった。
「子供の頃からずっとそうだったし」
「放っておけないから」
「そうなの?」
「そうよ、絶対に」
「だから一緒に来たし」
それでだとも話す二人であった。
「まあとにかくね」
「それなら」
「うん。何処に行くの?」
「街に行きましょう」
「そこにね」
二人の提案はこうであった。
「彭城の街にね」
「ここだけれど」
「ええと、彭城って」
その名を聞いてだ。張角はふと考える顔になって述べた。
「どんな街だったかな」
「項羽のあれじゃない」
「本拠地だった場所よ」
「あっ、そうだったわね」
言われてやっと思い出す張角だった。
「あの西楚の覇王ね」
「滅茶苦茶強かったのよ」
「それで一旦は天下を治めたのよ」
この人物のことはこの時代においてもよく知られていた。その強さは伝説にさえなっていた。そしてその名前はどうなっているかというとだ。
「そのまま孫策さんの仇名にもなってるし」
「小覇王」
「それって孫策さんはまだ項羽さんにまでなってないってこと?」
張角は何気にこう言った。
「流石にそこまではなの」
「まあそうね」
「確かに孫策さんも強いけれど」
妹二人もここで姉に話す。
「項羽まではね」
「いってないわ」
「三万で五十万以上の大軍を破ったからね」
「それもあっという間に」
「そんなに強かったのね」
そのことをあらためて知った張角だった。
「西楚の覇王って」
「袁術も覇王って自分で言ってるけれどね」
「どうしてかわからないけれど」
実はそんなこともやっている袁術だった。
「あの人も歌上手いらしいけれど」
「それもかなり」
「ライバルとか?」
張角はふと言った。
ページ上へ戻る