休めない王
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第一章
休めない王
シャルルマーニュは多忙であった、戦いだけでなく日々国の政も見ていた。字は知らなかったがとかく国のあらゆる政に目と耳を受けていた。
そうして国を治めていたがその彼にある日廷臣の一人が言った。
「王よ、少しでもです」
「休めというのか」
「はい、今日も政ばかり見ておられますので」
「わかっている」
シャルルマーニュは大柄な身体の上にある長く濃い髭がある顔から廷臣に答えた。服は青の上着とズボンにマントという質素な格好だ。
「それはな」
「では」
「しかしだ」
「王が休まれるとですか」
「国はどうにもならない」
「だからですか」
「そうだ、余は今日もだ」
これまでと同じくというのだ。
「政を見るのだ」
「そうされますか」
「そして国のあらゆる場所に赴きだ」
「そうしたこともして、というのだ。
「見ていくぞ」
「そちらもされますか」
「さもないとだ」
そうしたことを怠ると、というのだ。
「国が動かなくなりな」
「各地で、ですか」
「謀反も起こる、異教徒共にもだ」
国の南にいる彼等にもというのだ。
「対することが出来ない」
「だからですか」
「余は休めないのだ」
廷臣に強い声で言った。
「余が休めば国が動かなくなるからな」
「では」
「今日もだ」
「政を見られますか」
「そうしていく」
シャルルマーニュはこう言って実際に政を見ていっていた、彼のところに多くの政の話が来てそうしてだった。
彼は国を治めていた、各地を回って戦の場にも出てだ。
自ら治めていた、その王を見てだった。廷臣達は話した。
「王がおられるからだな」
「うむ、この国は治まっている」
「王おられるからこその国だ」
「このことは間違いない」
「王がおられる限りこの国は動く」
「治まっているし戦にも勝てる」
異教徒達にもというのだ。
「だから今は大丈夫だが」
「しかしな」
「王がおられなくなったら」
「果たしてどうなるか」
「この国は」
シャルルマーニュいればこそというのだ。
「近いうちにローマ皇帝になられるかもだが」
「法皇はそうお望みだ」
「しかしその皇冠は一代だけか」
「王だけのもの」
「かつてのローマとは違う」
「代々受け継がれるものかどうか」
「それが問題だ」
こう言うのだった、彼等は国の行く末に不安を感じていた。そして実際にだ、こうした話も出ていた。
「王の後だ」
「国をどうするかだが」
「ご子息の方々に治めて頂こう」
「そうしていこう」
「それぞれな」
「受け継がれた領土ごとにな」
こう話していた。
「どうも治めるには広い」
「今のままではな」
「そのこともある」
「だからな」
「王が崩御されれば」
「その時は国を分けよう」
ローマ帝国となった今の国をというのだ。
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