貴族も大変
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第六章
「貴族なのです」
「朝からスポーツを行い」
「学問にも芸術にも励まれ」
「休日もですね」
「今日の様にです」
「慈善施設を三つも回りました」
祖父、そして両親と共にだ。
「そうしましたが」
「これが普通です」
「貴族のですか」
「そして慰問だけでなく」
顔を出して話を聞くだけでなく、というのだ。
「寄付もです」
「それもですか」
「多額のそれをです」
まさにというのだ。
「必ず行います」
「そうなのですか」
「それも務めです」
貴族のそれだというのだ。
「まさに」
「それをしないとですか」
「貴族のなのです」
「お金は常にですか」
「惜しまないものです、そのうえで」
イアンはさらに話した。
「そしてです」
「そして?」
「はい、家もです」
それ自体もというのだ。
「栄えさせねばなりません」
「このハイデルバーグ家も」
「守りそしてです」
「栄えさせないとですか」
「なりません」
「難しいですね」
「はい、ですがこうしたことはです」
イアンは淡々とした口調でペーターに話していく。
「貴族、それもハイデルバーグ家位になりますと」
「当然のことですか」
「そうなのです」
「全てですね」
「そうです、まさに全てがです」
「やらねばならないことですか」
「そして学校で言われていると思いますが」
イアンはペーターにさらに話した。
「平民も爵位が下の方にもです」
「礼節を守りですね」
「その権利を保障し何かあればです」
「身を挺して守るですね」
「貴族です」
だからこそというのだ。
「高貴なる者の義務です」
「そのことですね」
「はい、そのことも絶対にです」
「守ってそのうえで」
「家を継がれて主となられ」
そうしてからだというのだ。
「家を守られ栄えさせて下さい」
「貴族も大変ですね」
ペーターはイアンの話を聞いてしみじみと思った、そして実際に言葉に出してそのうえで言った。
「やらねばならない、守らねばならないことが多いですね」
「しきたりもしがらみも多く」
「何かと大変ですね」
「それが貴族なのです」
「位があるだけに」
「そうなるのです」
未来の主に言うのだった。しかもこれで話は終わりではなかった。
「婚約者の方ともです」
「婚約者の」
「今度お会いして頂きますので」
「婚約者ですか」
「はい」
やはり淡々つぃた返事だった。
「その方とも」
「婚約者、そういえば」
「貴族ですので」
だからだという返事だった。
「こうしたこともです」
「当然ですか」
「家と家との結びつきを作る為に」
まさにそれが為にというのだ。
「婚約もです」
「決まっていますか」
「先代様が決められました」
彼の祖父となった彼がというのだ。
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