おぢばにおかえり
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第四十一話 神戸でもその二
「お願いします」
「須磨の水族館ね」
「はい、あそことか」
「あそこはね」
須磨の水族館ならよく知っています、子供の頃から行っていますし。それで阿波野君に対してこう答えました。
「私もよく知ってるから」
「それじゃあ」
「ええ、よかったらね」
こう阿波野君に答えました。
「案内させてもらうわ」
「今からですか」
「今からだと朝早いわよ」
「まだ開いてないですか」
「だからね」
それでとです、阿波野君に言いました。
「今は無理よ」
「じゃあそれまでの間は」
「ちょっとうち来る?」
「先輩のお家にですか」
「教会にね」
阿波野君を見上げつつ提案しました。
「どう?」
「ああ、先輩のお家にですか」
「そうよ、そこでお茶を飲みながらね」
「お話しつつですね」
「時間を待って」
こう考えていました、この時は。
「それでいきましょう」
「朝早いですしね」
「まだ七時よ」
本当に朝早く起きて御飯を食べてすぐでした、私のお家も宗教のお家なので朝は早いのです。
「それじゃあまだ時間があるわ」
「わかりました。じゃあ先輩のお家までお願いします」
「ええ、そこまでも案内するわ」
「楽しみにしてますね」
「何で楽しみなの?」
「いえ、先輩のお家にお邪魔出来ますから」
だからだというのです。
「こんなことになるなんて」
「こんなことってうち教会だから」
「誰かが来ることはですか」
「結構あるし」
「特におかしくないですか」
「というか何でそんなに嬉しそうなの?」
阿波野君に怪訝な顔で尋ねました。
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