Re:童話姫たちの殺し合いゲーム
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お菓子な双子の物語~グレーテルside(4)
―愛しい 愛しい 兄さま
兄さまの 笑顔が好き
―でもたまに 兄さまの笑顔がどんなだったのか思い出せなくなります
兄さまの 優しい声が好き
―でもたまに 兄さまの声がどんなだったのか思い出せなくなります
兄さまの 暖かい手が好き
―でもたまに 兄さまの暖かさはどんなだったのか思い出せなくなります
愛しい ヘンゼル兄さま―
あれから数年 いえ数百年 もしかしたら数千、数万、数億年の月日がたちました。
「見てください、兄さまここが私達の新しいお家ですよ」
(「………」)
恥ずかしがりやさんな兄さまは時々 お話をしなくなる。
「ふふふ…意地悪な兄さま」
私達の新居は、森に造ったお菓子で出来た家。あの金髪の魔女が造った塔なんかよりもずっと美味しいお菓子の家です。
私とヘンゼル兄さまだけ 二人だけの 王国
「さあ兄さま、今日は凄く良いお天気ですよ。一緒にピクニックでもしませんか?」
(「そうだねグレーテル。僕はサンドイッチが食べたいな」)
「もう兄さまったら食いしん坊ですね。いいですよ、兄さまが大好きなたまごサンドを沢山作ってあげますからね」
(「わぁ、ありがとうグレーテル」)
「ふふふ……」
鳥籠を愛おしく抱きしめる。嗚呼―愛しい 愛しい私の兄さま
鳥籠から出られない可哀想な兄さま
鳥籠の中でしか生きられない兄さま
でも大丈夫ですよ、私が兄さまの欲しい物すべて用意します。
兄さまが望むなら何処へだって行きましょう。
「ヘンゼル兄さま……今日も日差しが暖かく、ピクニック日和ですね。
ふふふ…そんなに慌てなくても大丈夫ですよ。全部食べたりしませんから」
(「仕方ないよ、グレーテルの作ったたまごサンドが美味しすぎるのがいけないんだよ」)
「もうっ兄さまったら……いくら美味しいからってそんなにガツガツ食べていたら喉に詰まらせてしまいますよ?
世話のやける兄さま…ふふふ」
嗚呼―愛しい 愛しい 私だけの兄さま 永遠にずっと一緒にいましょうね。
ガッ
「……あ」
金属のような 硬い何かがぶつかったような音がしました。なんの音でしょうか兄さま?
『兄さま? どこへ行ったの兄さま? ヘンゼル兄さま?
兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま兄さま……ヘンゼル兄さまどこへ行かれたの?』
お菓子の家にも居ません。森の中にも居ません。周りの何処を探しても兄さまは居ませんでした。
兄さまは鳥籠の中
鳥籠の中の兄さま
と・り・か・ご―?
見つけた
腕の中に 大事に 大事に 抱きしめていた 兄さまを…
「……お前が兄さまを……」
血に濡れた赤い頭巾を被った魔女
「お前がヘンゼル兄さまを……」
『ニイサマ…? それは誰ですか?
あの "ボール”のことですか?』
ッ!? 愛しいヘンゼル兄さまがボール…?
私から兄さまを奪った 許さない 許さない―
「許さない……魔女!!」
兄さまが護身用にと誕生日の日に下さったナイフを魔女に向けて振り上げました。
「魔女! 魔女っ! 魔女!!」
でも小柄で華奢な魔女はすばしっこく逃げ足が速く仕留められません。
『アハハハッ♪ そんなのではボクはコロセませんよ?
サァもっとアソビましょう♪」』
愉快な魔女を見るのは不愉快だ。ヘンゼル兄さまを殺しておいて何故笑えるのです。私から愛しい兄さまを奪っておいて、何故!?
―兄さまが死んだ?
ヘンゼル兄さまはいつ亡くなりました?
私は何を言っているのでしょう、兄さまはたった今 目の前にいる赤い頭巾を被った魔女に殺された…そうそのはず…?
鳥籠の中には生き物が… 生命が… ヘンゼル兄さまが…?
「許さない…よくも…兄さまを
ヘンゼル兄さまを殺したな…魔女!
魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女魔女」
そう、そうだ兄さまを殺したのはこの赤い頭巾を被った魔女―
私じゃない 私が愛しい兄さまを殺したりなんてしない―
するわけがない あの美味しいお肉は兄さまじゃない―
ヘンゼル兄さまは甘味のお味 ヘンゼル兄さまは美味 ヘンゼルはお肉―?
「許さない…よくも…兄さま……兄さま……」
『アハハハッ♪ もっと もっとアソビましょう♪』
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