レーヴァティン
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第十七話 学術都市その九
「人が人を取って喰らう様な」
「おい、そんなのか」
「例えですが」
「いや、例えじゃないだろ」
かなり真剣にだ、智は順一に言い返した。
「欧州もそうした話あるだろ」
「だからですか」
「ああ、結構そうした話世界中にあるだろ」
特定の国だけではない、実は人類の歴史の裏側にはそうしたおぞましい話も各地に存在しているのだ。
「それでな」
「そこまではいきません」
「あくまで例えか」
「そうです、ただ追い剥ぎや強盗はです」
そうした者達はというのだ。
「存在していてです」
「食うや食わずか」
「そうした世界になっています」
「いつも戦争があってか」
「難民も生じていてです」
それでというのだ。
「そうした社会は荒んでいます」
「そうなんだな」
「戦乱が難民を生み貧困も生み」
「スラムもだな」
「他にも様々な要因がありです」
戦乱以外にも問題があるというのだ、問題が複数存在するのも人間社会の常ということである。
「スラムもあります」
「政治が悪いってか」
「そうした領地もあります」
「やっぱりそうか」
「そしてです」
「ああ、島を統一したらな」
「政治も大事になりますので」
統一されてそこでハッピーエンドとはならないというのだ、順一はここでその真実を話した。
「そのことも忘れないことです」
「さもないと島を統一してもか」
「それを維持出来ずです」
「崩壊だな」
「その統一も」
そうなるというのだ。
「それでは同じですね」
「だよな、それは」
久志が頷いた、順一のその言葉に。
「本当に」
「はい、貴方もデルフォイで政治のことも学ばれたと思いますが」
「あいつ程じゃないぜ」
英雄のことを思いつつだ、久志は順一に答えた。
「けれどそれでもな」
「学ばれましたね」
「それなりにな」
「ならそこからです」
「勉強しないとか」
「ならないです」
絶対にという返事だった。
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