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真田十勇士

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巻ノ百 後藤又兵衛その八

「ではわしもこれからはな」
「忍術をですか」
「その鍛錬をより励むとしよう」
「そうされますか」
「確かに馬から降りて戦う時もある」
 思いなおしてだ、後藤は答えた。
「ではな」
「はい、忍術もですな」
「より学ぶ、そしてな」
「馬から降りられても」
「戦える様にする、そしてな」
「そのうえで、ですな」
「最後の最後まで戦うとしよう」
 こう言うのだった。
「そしてな」
「そのうえで、ですな」
「武士として生きよう、真田殿と同じか」
「ですな、武士として生きるならば」
「馬から降りてもな、では今は」
 清海に激しい突きや払いを駆けつつ繰り出しつつ言った。
「清海殿に鍛錬をつけよう」
「はい、では」
「これはどうじゃ」
 後藤は数えきれないだけ連続して突きを繰り出した、そうして激しい攻撃を受けてもだった。清海はその突きの一つ一つを防いでだった。
 後藤に攻撃を浴びせる、そうして言った。
「これはどうでしょうか」
「よい、しかしな」
「これでもですか」
「槍にはこうした攻め方もある」
 槍を繰り出しながらだ、今度はだった。
 体当たりも浴びせた、これには清海も何とか防ぐので精一杯だった。
 だがここで後藤は突きだけでなく払いも加えて攻める、そのうえで言うのだった。
「これはどうじゃ」
「何と、体当たりからですか」
「うむ、相手の姿勢を崩してな」
「そのうえで、ですか」
「こうした攻め方もある」
「槍だけを使うものではない」
「わしはこれを馬術と共に行うこともある」
 こう言うのだった。
「だからな」
「拙僧もですな」
「こうした攻めも身に着けてもらう」
「それでは」
「御主達はこれを忍術と共に行えるか」
「はい」
 清海は後藤に確かな声で答えた。
「必ず」
「ではそうしてもらうぞ」
「それでは」
 清海も頷いてだ、彼もまた状況を見て体当たりも交えた。槍だけでなく身体全体を使いそれからさらにだった。
 気も使い槍にそれを込めて戦いもする、それで言うのだった。
「これはどうでしょうか」
「それもよい、わしも気は使えるが」
「これはいざという時ですな」
「気を込めれば確かに強い」
 槍、清海の場合は錫杖の威力がさらに増す。
「そして遠間にもな」
「気を放ってですな」
「攻めることも出来るし守りもな」
「それもですな」
「出来る」 
 そちらにも使えるというのだ。 
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