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レーヴァティン

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第十六話 あらためてその十四

「先輩と後輩か」
「ああ、ちなみにこれまで付き合った娘は二十人な」
「多いな」
「いや、何か昔医学部に凄い人いたらしいぜ」
 八条大学医学部だ、法学部と並んでこの大学では偏差値が全国トップクラスにあることで知られている。
「もう大学入学までに三桁とかな」
「交際相手の数がか」
「そんな人いたらしいぜ」
「それは悪田部防衛相では」
 順一はこの政治家のことではないかと智に話した。
「あの人では」
「あの人うちの大学出身だったな」
「法学部の」
「そうだったな」
「あの人もかなりの漁色家ですね」
「色々噂があるな」
「賄賂、謀略についても」
 とかく悪い噂にはこと欠かない、その中には疑惑の死もある極めて評判の悪い人物である。ただし政治家としての能力はかなり高い。
「言われていますね」
「国益派考える人だけれどな」
「しかし人間性はです」
 悪田部のそれはというと。
「極めて評判が悪く」
「女の人もか」
「ですからこの方かと思いましたが」
「いや、医学部でもな」
 あくまでそちらの出身の人物だというのだ。
「そうした人がいたんだよ」
「そうですか」
「何か八条家の人でな」 
 彼等が通う八条大学はおろか学園全体を経営している世界屈指の資産家一族だ、八条グループというやはり世界屈指の企業グループを経営している。
「それでな」
「漁色家で」
「相当だったらしいな」
「そうした人がおられたのですね」
「今は医者でな」
 医学部を卒業してその道に進んだというのだ。
「今もらしいな」
「女性とはですか」
「本当に好色一代男らしいんだ」
 そこまでの女隙だというのだ。
「その人はな」
「ある意味凄い人ですね」
「その人と比べたらな」
 智は明るく笑って話した。
「俺なんてまだまだだよ」
「比較対象がとんでもなさ過ぎだろ」
 まだそちらは知らない久志はこう突っ込みを入れた。
「幾ら何でも」
「それはそうか」
「そうだよ、大学入る時点で三桁かよ」
「それも何百人だったらしいな」
「どれだけ女好きだよ、そんな女好きだとな」 
 それこそと言う久志だった。
「そのうち女だけの島に行きそうだな」
「それそのまま好色一代男だな」
「そんなの俺には向かないな」
 久志は自分で言った。
「そこまではな」
「それじゃあ程々か」
「ああ、それ暗いだな」
 あくまでとだ、こう言ってだった。
 彼は仲間達と共にヨハネスブルグへの道を進んでいった、一つの冒険を終えて次の目的地に向かうのだった。


第十六話   完


                2017・5・3 
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