恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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620部分:第四十八話 厳顔、主を見つけるのことその六
第四十八話 厳顔、主を見つけるのことその六
「とりあえずこの街が困ることはない」
「それはそうね」
それは黄忠もわかっていた。
「それじゃあとりあえずは大丈夫ね」
「うむ。わしが中原に向かった後でもな」
「しかし袁術殿も思い切ったことをしたな」
関羽は袁術の立場になって考えてみて述べた。
「懐刀の張勲殿を送られるとはな」
「そうですよね。袁術さんにとっては一番頼りになる臣下の人ですけれど」
「その人をなんて」
「まあ一時的なことじゃ」
厳顔は孔明と鳳統にも話す。
「それはな。しかし益州の牧となるとじゃ」
「いないんですね」
「これといった人が」
「そうじゃ。そこが問題じゃ」
またこのことが話される。
「困ったことじゃ」
「誰か本当にいないと」
「益州が大変なことになりますね」
「今のうちはまだいい」
あくまで今のうちは、なのだった。
「しかしこれがじゃ」
「長引けばですね」
「よくありませんね」
「それを何とかせねばならんがのう」
深刻な話もしていた。しかしおおむねはこんな感じであった。
「あら太守さんこんにちは」
「今日は寄ってかないの?」
「どうするの?」
「うむ、今日は客人達がおるからのう」
こう店の者達に返すのだった。
「悪いがまたじゃ」
「そうなの。じゃあまたね」
「また来てね」
「ここにいる間はね」
「そうさせてもらうぞ。さて」
店の者達に応対しながらだった。劉備達に顔を向けてそのうえでこんなことを言ってきた。
「それでなのじゃが」
「はい。何か」
「この店に入ろうぞ」
見ればだ。厳顔は前にある店を指し示していた。そこは。
「この店の麺が実に美味くてのう」
「そんなにですか」
「美味くて安くて量も多い」
厳顔は満面に笑顔をたたえて勧める。
「特に特製大盛ラーメンがよいぞ」
「それ程いいのか」
「何か楽しみになってきたのだ」
「天下一品のラーメンもよいがじゃ」
こんな名前もさりげなく出る。
「ここの麺もよいぞ」
「ええと、益州というと」
「確か」
孔明と鳳統はそこから考えて言う。
「辛い味ですよね」
「それが特徴でしたけれど」
「うむ。無論この店も唐辛子と山椒をふんだんに使っておる」
その二つで辛さを出しているというのである。
「よいぞ。どうじゃ?」
「甘いお菓子はありますか?」
「そちらは」
「無論ある」
孔明と鳳統に胸を張って答える厳顔であった。
「ここは菓子もよいのじゃ」
「はわわ、それじゃあ」
「是非このお店に」
「むっ、御主達はどうやら」
厳顔は二人のことばを聞いてそうして言うのだった。
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