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第二章
こうした事件を調べていくことは楽だというのだ。通常の犯罪者の心理はだ。だがこうした異常な事件を起こす犯罪者についてはだ。どうかというのだ。
「非常に厄介です」
「サイコ事件についてはですか」
「そうしたのは」
「狂人は警察は苦手です」
本部長は苦々しい顔で二人に話した。
「それは精神科医の担当になりますが」
「基本的には専門外だと」
「そう仰るのですね」
「はい、実は」
そうだというのだ。この話をしてからだ。
本部長はあらためてだ。二人にこう言った。
「ですから今回はお願いします」
「はい、事件の解決とですね」
「犯人の心理の検証ですね」
「精神科医の方にもお願いしていますので」
本職のだ。そうした人物にも依頼しているというのだ。
「是非お願いします」
「わかりました。それでは」
「やらせてもらいます」
二人は本部長の言葉に頷いた。そうしてだった。
まずはその精神科医に会った。ショートヘアでモデルの様に整った顔立ちをしており背は一六〇を少し越えている。白衣の下は黒いズボンと青い上着だ。
そのラフな格好の三十過ぎの女がだ。二人に名乗った。
「宮里美智子です」
「貴女が精神科医の方ですね」
「今回の事件に協力してくれているという」
「はい、そうです」
その通りだとだ。宮里はすぐに二人に答えた。
「宜しくお願いします」
「こちらこそです」
「宜しくお願いしますね」
役と本郷は微笑んで宮里に応えた。そうしてだった。
早速だ。宮里にこう言ったのである。
「我々は今回の事件の犯人は間違いなくです」
「キチガイと思ってますがね」
本郷は砕けて言った。
「そうした類の犯罪者だと」
「宮里さんはどうお考えですか?」
「はい、私もです」
宮里は医者らしく落ち着いてしかも冷静な口調で二人に答えた。
「今回の犯人はそうした人物だと思っています」
「精神異常者の犯行」
「それですね」
「殺人をしていないところを見ますと」
これだけはなかった。とにかく手首を鋭利な刃物で切り落とし奪っているのだ。
「人の命には興味がなくです」
「人の手にですね」
「異常な興味がありますね」
「そうした人物です」
それがだ。今回の事件の犯人だというのだ。
「ただ。何故手首にこだわるか」
「それが問題ですね」
「第一の」
「そうです。それが問題です」
三人の見ているものは一致していた。そこだった。
「こうした異常犯罪者はとかく特定の物事にこだわりますが」
「何故こだわるのかが問題ですね」
「とかく」
「そうです。まずは犯人を捕まえましょう」
それが先決だとだ。宮里は述べた。そうしてだった。
まずは役と本郷が動いた。二人は宮里と別れた後に早速だった。
役が懐から何枚か白い札を出してそれを空に向かって投げた。するとだ。
札はすぐに鳥達になり空に消えた。その鳥達を見送って言うのだった。
「さて。彼等がだ」
「犯人を見つけてくれますね」
「妖怪やそうした存在でない限りだ」
「見つけることは簡単ですね」
「そしてだ」
そうしてだというのだ。
「見つけた後はだ」
「俺が働きますんで」
「犯人を取り押さえるか」
「そうします。絶対に」
こう言うのだった。
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