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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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589部分:第四十六話 馬岱、乳を羨むのことその三


第四十六話 馬岱、乳を羨むのことその三

「お姉ちゃんが牧になればいいのに」
「私?」
「そうなのだ。そうなったら鈴々達が全力で支えるのだ」
「私はそんな。牧なんて」
 そのおっとりとした調子で話す劉備だった。
「とても」
「いえ、そうでもないわ」
 だが、だった。黄忠がここでその劉備に対して言うのだった。
「桃香さんは皇室につながる方だし」
「それでなんですか?」
「それに人柄もいいから。絶対にいい牧になれるわ」
「けれど私何もできませんよ」
 ここでもこう言う劉備だった。そして自分でさらに話す。
「政も戦も。曹操さんや袁紹さんみたいには」
「できなくてもいいの」
 また言う黄忠だった。
「それは私達がやるから」
「紫苑さん達がですか」
「桃香さんは桃香さんのやることがあるのよ」
「そうなの?」
「そう。だから政とか戦のことは気にしないで」
 ただしだ。このことは言い加えたのだった。
「最後に裁可してくれればいいから」
「それだけですか」
「政や戦についてはね」
 こう言うのであった。
「それだけでいいから」
「はい、その通りです」
 ここでまた魏延が劉備に言う。
「私達がです。劉備殿を全力で支えますから」
「魏延さんもですか」
「是非。お任せ下さい」
 己の右手をその己の胸に当てての言葉である。
「この魏延文長が命にかえても」
「それはよくわかるな」
 関羽の言葉だ。
「魏延の姉者への想いは若しかすると」
「鈴々達以上なのだ」
「それがおかしな方向に向かっているがな」
「それが心配なのだ」
「だから私は何も」
「まあとにかくだ」
「先に進むのだ」
 二人も魏延にはあえてこれ以上言おうとしなかった。そしてだ。
 そのうえでだ。さらに先に進むとであった。
 一行はある場所に来た。そこは。
「ほう、これは」
「いい場所に来たよな」
 趙雲と馬超がそれぞれ笑顔になる。一行の前に温泉があったのだ。
「丁度汗をかいていたところだ」
「入るか?」
「うん、そうしよう」
 馬岱が笑顔で二人の提案に頷く。
「皆で入ろう」
「そうね。それじゃあね」
「入りましょう」
 神楽と月も頷く。二人はここでこんなことを話した。
「日本でも温泉は人気があるのよ」
「皆大好きです」
「そうなのか」
 魏延が二人の言葉を聞いて言う。
「貴殿達の国でもそうなのか」
「ええ、そうよ」
「それでは皆さんと一緒にですね」
「劉備殿、それではです」
 魏延はここでも劉備であった。すぐに彼女に声をかけるのだった。
「今から一緒に温泉に」
「あっ、はい」
 劉備は相変わらず魏延のその熱い視線に気付かない。
「それじゃあ今から」
「そうです。それでは」
 魏延は劉備の背中に回ってだ。彼女の両肩から押すのであった。
「一緒に入りましょう」
「は、はい」
「放っておいていいの?」
 馬岱はそんな彼女を見ながら眉を顰めさせていた。
 
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