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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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582部分:第四十五話 魏延、一目惚れするのことその十四


第四十五話 魏延、一目惚れするのことその十四

「おかわり頂戴」
「よし、これだ」
 まさにすぐだった。彼女の前にもう一つ巨大な丼を出したのだった。
「ラーメンはかえたぞ」
「今度は何ラーメンなの?」
「豚骨ラーメンだ」
 見ればだ。スープが白かった。さっきのラーメンのスープは黒っぽく透明感のあるものだったが今度は違っていたのである。
「これでどうだ」
「うわあ、こっちも美味しそうだね」
「さあ、食え」
 崇雷はにやりと笑って言った。
「これもな」
「うん、じゃあ早速ね」
 こう話してだった。許緒はその豚骨ラーメンも食べはじめるのだった。その中であることに気付いた。
 ラーメンの中にだ。あるものが入っていたのである。
「あっ、これって」
「紅生姜だがな」
「それも入れたんだ」
「豚骨ラーメンにはそれだからな」
「これって中国じゃなくて日本の薬味だよね」
「実際に日本風のラーメンだがな」
「さっきのは中国ので?」
 こう崇雷に対して言う。
「それで今度はこれなんだ」
「ああ、日本のラーメンだ」
 また話す彼だった。
「そっちも食べてみるといい」
「うん、じゃあね」
 実際に食べてみる。その感想は。
「こっちのラーメンも美味しいね」
「そうだろうな。美味いように作った」
 自信に満ちた言葉だった。
「少なくともまずい料理を作るつもりはない」
「まずい料理はなんだ」
「時々そういう料理しか作れない奴もいるがな」
「うん、夏蘭さんのお料理って凄いからね」
「あいつはそもそも戦い以外にできるのか?」
 いぶかしむ顔で言う崇雷だった。
「できないだろ」
「ううん、からくり作るのは上手だけれど」
「ああ、あれですね」
 崇秀が今の許緒の言葉に顔を向けて言った。
「あのからくり曹操さんですね」
「手先は器用なんだよ」
「意外ですね」
 崇秀はふと毒のある微笑みを見せた。
「あの人に器用さが備わっているとは」
「待て待て待て!」
 ここでだった。本人が出て来た。
「崇秀!今何を言った!」
「あっ、おられたのですか」
「何か私の話をしているような気がしてな」
 腕を組んでこう話す彼女だった。
「それで来たのだが」
「耳はいいのですね」
「そうだ。私の身体は万全だ」
「身体はいいのですが」
「だから何が言いたいのだ」 
 夏侯惇はむっとした顔で崇秀に問い返す。
「引っ掛かる物言いだがな」
「そうでしょうか」
「私は確かに智略は苦手だ」
 それは自分でもわかっていることだった。
「しかしだ」
「しかし?」
「それでも華琳様を想う気持ちは誰にも負けない」
「いやいや、姉者。私もいるぞ」
 今度は夏侯淵が出て来た。
「勝てないにしても負けはしないぞ」
「むっ、そうだったな」
「そうだ。忘れてもらっては困る」
「済まない、それに夏瞬や冬瞬もいたな」
「我等の想う気持ちの強さは同じだぞ」
「そうだったな。済まない」
 それは謝る彼女だった。しかしだった。
 
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