| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

578部分:第四十五話 魏延、一目惚れするのことその十


第四十五話 魏延、一目惚れするのことその十

「字は文長といいます」
「そうですか。魏延さんですか」
「はい」
 熱い声で劉備に応える魏延だった。
「宜しく御願いします」
「はい。こちらこそ宜しく御願いします」
「それで劉備殿は」
 魏延は劉備に対してさらに問う。その熱い声でだ。
「どうしてここに」
「はい、実はですね」
 劉備はその事情を細かく話す。するとだった。
 魏延はその身体を乗り出してだ。彼女にさらに言ってきた。
「あの、それではです」
「それでは?」
「どうか南蛮まで私を。いえ」
「いえ?」
「これからもずっと私を」
「魏延さんをですか」
「はい、どうか同行させて下さい」
 こう申し出るのだった。
「御願いできますか」
「あの、魏延さんはまさか」
「はい、今は浪人です」
 そうだというのである。
「少し前まで劉表殿のところにいたのですが」
「ああ、あの人ですか」
「袁術さんの前の牧だった」
 孔明と鳳統がここで話す。
「もうお亡くなりになられましたけれど」
「それで袁術さんが来られて」
「袁術殿は何分非常に癖のある方なので」
 つまり合わないというのである。
「ですから去りです」
「去りですか」
「はい、それで益州で武者修行をしていました」
 そうだったというのである。それが魏延のこれまでのことだった。
「しかしここで」
「ここで?」
「貴女に御会いできました」
 また熱い顔で語る魏延だった。
「劉備殿に」
「むっ、これは」
「ああ、間違いないな」
 ここで関羽と馬超もようやくわかったのだった。
「この者、姉者にだ」
「ベタ惚れだな」
「そういう趣味だったのだ」
 張飛も納得した顔になる。
「ううん、そういえばかなり凄い惚れ方なのだ」
「そうですよね。あの人って」
「もう桃香さんに」
 二人の軍師もここで話していく。
「惚れ込んでますよね」
「何もかもが」
「あの、それでなのです」
 魏延は一直線に劉備に話していく。
 やがてその両手を取ってだ。さらに言うのだった。
「いいでしょうか」
「あっ、はい」
 劉備はむべもなく頷く。
「私達も旅は多い方がいいですし」
「おやおや、桃香殿はこう仰っているがだ」
 趙雲はそんな魏延を見て楽しそうに笑っている。
「果たしてどうなるかな」
「反対か?星は」
「いや、大賛成だ」
 こう関羽にも返す。
「是非来てもらいたい」
「是非か」
「面白いことになった」
 またこう言うのであった。
「実にな」
「悪趣味ではないか?そういう楽しみ方は」
「そうか?」
「そうだ。どうもな」
「けれどまあそうだよな」
 馬超も己のことを話す。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧