恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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563部分:第四十四話 怪物達、北にも出るのことその十
第四十四話 怪物達、北にも出るのことその十
「それで気配がしたって言われたんだな」
「これでも消したのよ」
「随分と腕の立つ人がいるのね」
「そうみたいだな」
何ともない調子で話す彼等だった。
しかし袁紹達は違っていた。血相を変えて叫ぶのだった。
「!?これは」
「妖怪!!」
まずは田豊と沮授だった。
「いけません麗羽様!」
「この者達は!」
「ええ、そうです!」
「ここはあたい達が!」
顔良と文醜もだった。袁紹を護る場所に出てそのうえでそれぞれの得物を出す。
「化け物、ここは行かせないわ!」
「絶対にな!」
「くっ、その妖怪達は!」
袁紹も剣を抜いて主の座から立っていた。
「一体何処から!」
「姿を消してここに来たのよ」
「そんなの簡単じゃない」
実に素っ気無く返す二人だった。
「だってダーリンだけ会うなんて酷いじゃない」
「私達だって袁紹様と御会いしたいのに」
「ああ、この連中は気にしないでくれ」
華陀が袁紹達に落ち着いて話す。顔良と文醜だけでなく田豊と沮授もそれぞれ袁紹の前に出てそれで主を護ろうとしている。
「何もしないからな。気のいい連中だ」
「そんな言葉信じられないわ」
「明らかに人間じゃねえだろ」
顔良と文醜がすぐに華陀に突っ込む。
「しかも姿が消せるなんて」
「妖術まで使えるのかよ」
「やっぱり、この二人」
「化け物かよ」
「いや、違うぞ」
華陀だけがそれを否定する。
「だからこその二人はだ」
「人間と言うのなら」
袁紹がここでその華陀に言う。
「その証拠を見せて御覧なさい」
「証拠?そんなの私達自身がよ」
「そうよ、証拠よ」
臆面もなくこう返す二人だった。
「この美貌を見てもそう言えるの?」
「人間としても最高の美貌の持ち主よ」
「見えませんわ」
袁紹ははっきりと言い切った。
「全く」
「ううん、悲しいわ」
「そう言われるなんて」
「とにかくでしてよ」
袁紹は剣を抜いたまま四人に告げる。
「その怪物二人は」
「退治ですね」
「やはり」
「その通りですわ」
こう田豊と沮授に答える。そのうえで顔良と文醜に話した。
「いいですわね」
「はい、わかりました」
「化け物退治も武将の務めですしね」
「覚悟しなさい!」
「成仏しやがれ!」
「仕方ないわね、これじゃあ」
「無駄な戦いをするつもりはないし」
こう言った二人にだ。華陀は落ち着いて問うた。
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