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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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554部分:第四十四話 怪物達、北にも出るのことその一


第四十四話 怪物達、北にも出るのことその一

               第四十四話  怪物達、北にも出るのこと
「何か帰って来てもなあ」
「忙しいって?」
「そうだよ。匈奴を征伐しておしまいじゃないからな」
 文醜が顔良にぼやいていた。
「そっからが本番って感じだよな」
「そうよね。それはね」
「あたい達武官でも書く仕事するなんて思わなかったよ」
「それもここまでね」
 二人は今お互いに机に座っていた。そのうえで木簡を開いてそこにあれこれと書いている。顔良は丁寧に書いているが文醜は雑な動きだった。
「四州に烏丸に匈奴かよ」
「これまで使った兵糧の帳簿整理なんてね」
「いつも黒梅姉さんがしてたしな」
「書類整理はね」
 そうしたことでは軍では彼女の担当だったのだ。しかしなのだった。
「けれどな。四州に二つの異民族だからな」
「軍も大きくなったし最近兵を動かすことも多かったし」
「兵糧の規模も消費もでかくなってか」
「私達もこうしてね」
「でかくなったのはいいさ」
 文醜もそれはいいとした。
「あたい達袁紹軍の威光も高まったしな」
「そうよね。けれどお仕事はね」
「こんなに増えちまったよ」
「花麗ちゃんと林美ちゃんも今忙しいみたいよ」
「あの二人だろ?幽州に兵隊進めるのは」
「ええ、そうよ」
 その通りだと話す顔良だった。手は止まらない。
「あの二人がね。今その準備をしてるわ」
「朝廷から正式に話が来たらすぐにか」
「ええ、幽州もね」
「袁紹様の統治下になるってか」
「そういうことよ」
「本当にそれ自体はいいんだけれどな」
 文醜のぼやきが続く。だが彼女も手は止めない。
「仕事が増えてなあ」
「袁紹様も今仕事に追われてるしね」
「ってそれまずいだろ」
 文醜はここでこう言った。
「麗羽様のストレスが溜まったらな」
「爆発するわよね」
「あの人そういうところが問題だからなあ」
 文醜は明らかにぼやいていた。
「変なストレス解消ばかり考えるし」
「あの鰻大会またやるんじゃねえか?」
「あれ?」
「そうだよ。鰻を胸で掴むあれだよ」
「麗羽様鰻お好きだしね」
「それか罰ゲーム大会な」
 それも有り得るというのだ。
「くじ引きに当たった奴がどんな罰ゲームを受けるか」
「足の裏をくすぐったりとかのあれね」
「とにかく変なことばかりするからね」
「ああいうムラっ気がなかったらいいんだけれどな」
「ただ。それだと」
 それはそれでと話す顔良だった。
「麗羽様らしくないし」
「袁家のお姫様らしくないよな」
「そうだからね。本当に難しい人よね」
「全くだよ」
 こんな話をしながら仕事をする二人だった。そして仕事をしているのは彼女達だけではなかった。常に袁紹を護る審配もだった。
 彼女はこの時も袁紹の部屋の前に立っている。それで主を護っているのだ。それが彼女の仕事だった。そうしているのだった。
 その彼女のところにだ。兵達が来て言ってきた。
「あの、今です」
「おかしな話が伝わってきたのですが」
「おかしな話?」
「はい、そうです」
「何でも青州にです」
 兵達は審配に対して話していく。
「奇怪な者達が現れたそうです」
「赤い髪の男に」
 まずは彼だった。
 
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